-1-非日常の始まり
この国はどーかしているといつも思う。
せっかくフィリップ王が平和を治めたと言うのにまたいろんな争いがはじまった。
そして常に起こる争いにあたしも巻き込まれ、両親の死によって孤児院に捨てられたらしい。
もしあたしが王様になったならこの世界を変えてみたいわ!
平和でいつも笑顔が溢れている、世界にね!
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「おはよう」
と教室に入った時、少し心の中でいってみた。
だけど心の中でいったってだれも気づかないし、普通にいってもだれも返してくれることなんてありえなかった。
暗い顔でクラスの窓際の一番後ろの端にある自分の席に座る。
図書館で借りた少しむつかしい本を読んで授業がはじまるまでの時間を待った。
その本は人生とやら、世界とやら、宇宙とやらを解いた哲学の本。
やはりまだその本は少し難しすぎたようでやはり読んでいて意味はわからなかった。
なのでもう一冊本を取り出してみる。
その本はむかーしむかし、まだ世界が大災害が起こる前のもっと前に本当にあったある国が革命を起こした話。
その本をぱらぱらっと読んで人は立ち上がれば色々と変わるのだなと思った。
だけどあたしに協力してくれるひと何ぞこの田舎町にはいなかった。
やはり王様になるなんて無理な話だと思った。
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学校中に低い鐘の音が鳴る。
下校時間だ。
あたしは鞄に本をしまってだれも居ない教室をでた。
今日もやっぱり、だれからも声をかけらなかったし、かけもしなかった。
前みたく「本当」の自分をださなかったから、前見たく悪い目ではみられなかったけれどやはり退屈な日々であった。
そう思いながらまだ少し明るい夏空の夕焼けに向かってとぼとぼと歩いていた。
そんなときだった。
また鐘がなった。
だけど今回は教会からである。
「ハロルド・エズナブル王が死去しました。葬儀は…」
王様の死去についての知らせだ。
たしか先月あたりハロルド王の息子と家族が失踪したという話を聞いたわ。
じゃあ、今度の王様になるのはだれなのかしら。
「あたしじゃだめかな?」
ふっと口にした願望。バカらしすぎて笑っちゃう。
夕日を見ながら家までの道のりを歩いていると黒塗りの高級車が自分の横を通っていった。政府の車かしら?
少し興味を持ち、後ろを見てみるとサングラス姿の男がでてきた。
ちょっと危険を感じ、逃げようとするがいきなり後ろから手首をつかまれ、車にひきずりこまれた。一応抵抗をした。いや、一応ではなくむちゃくちゃした。だけどその男の力にはかてず引き込まれた。
「王様になれないかしら」と思ったからなの!
そんなんで取り締まるの!この政府は!
いや政府?ただの誘拐じゃない?
でもあたしの未来はお先真っ暗ね。