選択
更新しました。
お待たせしました。
最終回まで全話投稿です!!
「二人とも、大切な事を伝えたい。聞いてほしい」
俺は緊張で震える手を強く握りしめながら告げる。
「待って」
だが、唯が俺の言葉を遮った。
「大事なことって、私達への答えだよね?」
美姫は優しい口調で訊ねてくる。
「ああ」
俺は美姫の言葉を肯定する。
拒絶されるのではという恐怖に包まれる。
「なら、私が北棟のクリスマスツリーの前に」
「私が南棟のツリーに行く」
彼女達の言葉も震えていた。
「だから、澪が選ぶ方に来て」
唯は優しく儚い笑顔で告げた。
「分かった」
結局、最後まで彼女達の優しさに俺は守られている。
その事が悔しくて、情けない。
「三人でこうやっていられるのもここまでか」
美姫が名残惜しそうに呟く。
「そうだな」
俺は彼女の言葉を肯定することしか出来ない。
これが俺が答えを出すことを選んだ結果なのだから。
「私、もう行くね」
唯が告げ南棟のクリスマスツリーがある方向へと向かっていく。
「私も行こうかな」
美姫も北棟の方向へと歩いていく。
俺は、去っていく二人の後ろ姿を見つめ続けた。
違う道を歩んで行く二人を。




