表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/81

鈴音の優しさ

久しぶりの0時更新。

二日間更新が遅れてしまい申し訳ございませんでした。


「おにぃ、遅い」


 あっという間にクリスマス当日、俺は鈴音に呼び出されていた。  

 昨夜は、今日答えを告げることへの緊張から余り眠ることが出来なかった。


「悪い」


 とりあえず謝っておく。

 一応、集合時間の十分前には来てたんだけどな・・・


「さっさと買い物済ませるよ」


 クルリと前を振り向きながら言うと目的地であるショッピングモールがある方向へと歩きだす。


「コーデ宜しく」


 俺は一言告げ、彼女の後を追った。



「これとこれとあ、あれでもいいかも」


 ショッピングモールに着き、男物の洋服店へと入った俺達。

 鈴音は楽しそうな表情で俺の服を選んでいた。

 最初は俺が自分で選んでいたのだが、センスがないということで却下された。


「はい、試着してきて」


 俺は彼女が選んだ服を渡される。


「はいはい」


 俺は服を持って試着室に向かった。



「お~、意外といいな」


 試着室内、俺は選ばれた服を着た自分の姿を鏡で見ながら感想を呟いていた。

 黒いチェスターコートに赤色のセーター。

 黒スキニーに赤色のマフラー。

 自分で言うのも何だが中々大人っぽいコーディネートとなっていた。


「着たなら早く出てきて」


 鈴音の不機嫌な声が飛んでくる。

 

「はいはい」


「はいは一回」


「イエスマム!!」


 俺は、鈴音の男は将来尻に敷かれるだろうなぁなどと考えながらカーテンを開ける。


「・・・・・・」


 鈴音は口をポカーンと開けながらこちらを見つめる。


「何だよ?似合ってないか?」


 俺は彼女の様子が心配になり呟く。


「に、似合ってるわよ。元読モの私が選んだんだから」


 早口でまくし立てる。


「じゃあ、これにするか」


 俺は鈴音の感想を貰った後、着替えようとカーテンを閉めようとする。

 その時、彼女は俺の手を掴む。


「一枚、・・・写真撮らせて」


 鈴音は顔を真っ赤にしながら告げる。

 その後、店員さんに許可を貰い一枚写真を取った後、元の服に着替えて服を購入した。


「で、値札とかを切って貰ったのはいいけど何処で着替えるの?」


 鈴音は俺に声をかけてくる。

 現在、レストランでお昼を食べていた。

 ファミレスだと鈴音に悪いので前々からイタリアンレストランに予約を入れといた。

 今回のお礼を兼ねている為俺の奢りだ。


「うーん、どうしよう?」


 俺は何も考えていなかった。


「じゃあ、カラオケでも入ってそこで時間潰すのと同時に着替えちゃいなよ?」


 お昼は少し早めに食べているため待ち合わせまでまだ一時間ちょっとある。


「お前はこの後用事とかないのか?」


 俺はふと疑問に思ったことを訊ねる。


「何?嫌み?殺されたいの?」


 鈴音を包む気配が変わる。

 この間、彼女に思いを告げられたばかりだ。

 俺は言葉の選択を間違えたことに気づく。


「ご、ごめん」


 俺は素直に謝罪する。


「じゃあ、行くよ」


 そして、俺達はレストランを後にした。



「ねぇ、おにぃ」


 カラオケでパパっと着替えた後、時間を潰し終え退室しようとしたその時、鈴音に声をかけられた。


「どうした?」


 俺が言葉を返した直後、背中に抱きついてくる。


「ねぇ、おにぃは一城さんか唯さんのどちらかと付き合うことになった後も私の兄でいてくれるよね?」


 鈴音の声は震えていた。

 気丈に振る舞っていたが彼女に気持ちの部分での負担はあったみたいだ。

 俺は、兄として気付けなかったのを悔やむ。


「大丈夫。お前は俺の妹だ。ずっと傍にいるよ」


 俺は告げる。

 鈴音が求めている答えを。


「ありがとう」


 鈴音は一言呟き、俺から離れる。


 それからカラオケ店を出るまで彼女は終始無言だった。


「それじゃあ、言ってくる。ありがとうな」


 俺は彼女の申し出により、俺の衣服を預けていた。  

 

「うん」


 彼女は小さな声で呟く。


「言ってこい、おにぃ!!」


 彼女は後ろを向いた俺の背中をバンと叩きながら告げた。

 そっと振り向くと彼女は俯いていた。

 彼女の頬をそっと一筋の涙が流れていた。

 俺は自然と手に力が入る。

 抱き締めたい衝動に駆られる。

 だが、それは出来ない。

 これ以上、彼女の優しさを台無しに出来ない。

 だから、その涙を見なかったことにして前に一歩踏み出す。

 


 先に進む(誰かを選ぶ)ために・・・・・・



 

 

《次回予告》

 篠原澪は戦場へ向かう。

 大切な人を選ぶ為に。


 さて、今回は鈴音回でした。

 鈴音には可哀想な立ち回りをさせてしまったことに作者としては複雑な感情を抱きざる負えません。

 ですが、まだ鈴音にも希望はあります。

 (作者が誰かを選んでいない為)

 正直、主人公ではなく作者がヒロインを選ぶというのも個人的には何とも言えなくなってしまうのですが・・・

 最後まで読んでいただければと思います。


 ここで報告を。

 薄々感づいている方もいらっしゃると思いますが松輝は澪が誰かを選んだら物語は終了しようと考えています。

 理由としては、誰かを選んだ後の物語が書けないというのがあります。

 物語開始時からどのヒロインを選んでも大丈夫なよう三人それぞれのその後の展開を考えていたのですが物語として展開していけそうにないのが正直な理由です。

 ということで最終回まで残り何話だろう?ですが最後までお付き合いいただければと思います。

 最終話まで一気に駆け抜けていきますので皆様宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ