表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/81

文化祭最終日《下》

更新しました。

宜しくお願いします。


『それでは、今年の最優秀賞を発表します』


 文化祭の時間は終わり、現在体育館でエンディングセレモニーが行われていた。

 ここまで一年A組は名前を呼ばれていない。

 三位から表彰され呼ばれるため四位以下か最優秀賞か、名前を呼ばれていないクラスは期待と不安の表情を浮かべていた。


『今年の最優秀賞は、一年A組です。おめでとうございます』


「「「「やったーーーー!!」」」」

 

 名前を呼ばれた直後、クラスは歓喜に包まれた。


「最後の回があれだったから正直ダメだと思ってたよ」


 佑真が俺にだけ聞こえるように呟く。


「俺も。よくあれで選ばれたな」


 俺自身、驚きを隠せずにいた。

 恐らく、その前までの人気が高かったのだろう。


『一年A組の代表の生徒は賞状を受け取りに来てください』


 全員の視線が唯に向く。


「え、私は・・・・・・」


 唯が戸惑った様子で周りに助けを求める視線を送る。

 加藤の足を怪我させたことを負い目に感じているのだろう。


「行ってこい代表」


 俺は唯に声をかける。

 俺に続きクラスの男子達が唯に言葉をかける。

 そのすべては彼女の背中を押すものだった。


「はい!!」


 唯は目に涙を溜め、満面の笑顔で答えた。


☆☆☆


「一緒に踊ってもらってもいい?」


 文化祭の後夜祭、教室から他の生徒のダンスを見ていると俺は一城さんに声をかけられた。


「俺なんかでいいのか?」


 俺は思ったことを口にする。

 正直、劇の時(キス)のこともあり気まずさがあった。


「澪君だからいいんだよ」


 一城さんは少し不満気な表情で呟く。


「分かった。行こう」


「ありがとう」


 俺は一城さんとホークダンスの会場となっている校庭に向かった。


「い、意外と難しいな」


 一城さんと踊りながら感想を口にする。

 周りから色々な感情が含まれた視線を向けられているが気にしたら負けだろうな。


「でも、踊れてますよ」


 俺は一城さんの動きを見ながら体を動かす。


「劇の時、・・・(キス)してごめんなさい」


 一城さんは顔を赤く染めながら呟く。


「いや、それは、えーと」


 何て返せばいいかわからない。


「気にしないでくれると助かるな」


 一城さんは少し苦しそうな表情を浮かべながら呟く。


「分かった」


 俺は一言だけ告げる。

 どの選択肢を選べばいいのかが分からない。

 

「でも、もし、もし叶うのなら」


 彼女は手を離して続きを口にする。 


「私を選んでほしいな」


 彼女は風でなびく髪を押さえながら告げる。

 炎の光が彼女を照らす。

 その姿は幻想的でとても美しいものだった。


「私は貴方の事が好きです。付き合ってください」


 それは二回目の告白だった。


「つっ!!」


 俺は言葉を詰まらせる。


「答えはいつか聞かせて。ずっと待ってるから」


 彼女は背中を見せながら言ってくる。


「どんなに時間がかかってもいいから、選んで欲しいな。私か宮内さんかそれとも他の誰かか」


 一城さんはそう言うと走り去ってしまった。


「誰かを選ぶ。必ず」


 俺は一人、炎に照らされながら呟いていた。

文化祭編終わりました!!

次話は明日更新の予定です。

宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ