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演劇《前》

更新しました。

宜しくお願いします。


「お前!!何者だ!!」


 舞台上で俺は台詞を口にしていた。


「我は魔王。この女の身は戴く。この女を助けたければ我が魔王城に来るがいい!!」


 魔王役の佑真が告げるとお姫様役の一城さんを連れて去っていく。


「姫よ、必ず。必ず貴女を助けます。例えこの手を血に染めようとも」


 俺が台詞を言い終え舞台袖に戻る。

 現在、劇は無事に進行していた。

 元々、最終回のナレーションをやる予定だった為一通り流れは頭に叩き込んでいた。 

 また、一城さんと練習をしていたこともあり覚えている台詞はスラスラ口にすることができた。


「凄い、篠原君まだ一回も台詞間違えてない」


 女子の一人が驚いた様子で呟く。


「まぐれだよ。ここから間違えたらフォロー宜しく」


 俺は出番がない短い間に他の人達に静かに告げる。

 聞いた生徒達は静かに首を縦に振ってくれる。

 

「ありがとう」


 俺は小声でお礼を伝えて再び舞台へと上がった。



「王よ、これより姫を助けに向かいます」


 片ヒザをつきながら言葉を口にする。

 観客席では主人公が変わったことに多くの生徒が不満を溢していた。

 加藤も学年でそこそこ人気の高い男子だからだろう。


「うむ。隣国の王子よ我の娘を頼む」


 王様役の桜井は偉そうにふんぞり返りながら告げる。

 

「必ずや」


 俺は告げて立ち上がる。

 本当はここで何かをしなければならないのだが、どういうことをしたらいいのか覚えていないのでアニメで見た騎士礼をする。

 俺はマントを翻し去っていく。

 舞台袖ではサムズアップした仲間(クラスメイト)が待っていた。


☆☆☆


 劇は進んで中盤、戦闘シーンが多くなっていく中、一部はアドリブで乗り越えここまで無事進行していた。


「ここが魔王城か」


 俺は魔王城のセットを見ながら呟く。

 本当だったらここで魔王役の佑真が出てくる予定の筈なのだが、


「「「ここから先は通さない!!」」」


 予定外のことが起きていた。

 内のクラスのオタク三人が勝手に登場していた。

 何やら芝居道具の剣とロケットランチャーまで持っている。

 ロケランは世界観壊すから止めて。

 彼等の服装(衣装)はあるスクールアイドルアニメの推しキャラTシャツだった。

 それは衣装じゃない。勝負服だ!!

 予定外の行動に思わず舞台袖に視線を向けるがそちらも混乱している様子だった。


『野生のスライムが三匹現れた』


 俺の代わりにナレーションをしている桜井が告げる。

 うん。アドリブだね。


「な、何でスライムが魔王城に!?」


 俺もアドリブで台詞を考え呟く。


「うるさい。俺達はスライムではない。・・・・・・何故お前なのだ。何故?」


 スライム1が口を開く。


「何故、お前だけがモテるのだ」


 スライム2が言葉を繋ぐ。


「俺達はモテないのに。何故お前にはラノベの主人公の様なイベントばかり起きるのだ!!」


 スライム3が涙目で告げる。


「・・・・・・」


 俺は言葉を失う。

 何か、現実のことが混ざっている気がした。


「何でお前だけが得をしているんだ、篠原澪!!」


 どうも気のせいではなかったらしい。


「知らねぇーよ!!」


 俺は思わず叫んでしまう。

 観客席からは笑いが起きる。


「「「ラノベ主人公には天誅を!!」」」


 お前らオタクだろ。主人公は否定するなよ・・・・・・


「ジェットストリームアタックだ!!」


 中央に立つスライム1が叫ぶ。

 この為にロケランを持ってきたらしい。

 本当に止めてほしい。


「行くぞ、マ〇シュ、オル〇ガ!!」


 なるほど、だからスライムであることを否定したのか・・・

 観客席ではちょうどガン〇ム世代の大人が笑いを堪えていた。


「くそ!!」


 三人が縦に並んでやってくる。

 俺は思わず吐き捨てる。

 さすがに現実でやられると迫力がある。

 だが、服が推しキャラTシャツだと気が抜ける。

 黒で統一すらしていない。

 赤、青、緑の順で攻めてくる。


「くらえ!!」


 何か黒い物がバズーカから発射される。

 いや、マジでなんだよこれ!?


「ちぃ!!」


 俺は剣で謎の黒い物質を弾く。

 黒い塊は後ろへと飛んでいく。


「せぁ!!」


 スライム2が掛け声てと共に全力で剣を振るってくる。

 俺は剣で防ぐ。

 本気で振るんじゃない。剣が壊れる。手が痛い!!


「ここだ!!」


 スライム3が叫び、つばぜり合いをしている俺に剣撃を見舞う。


「まだだー!!」


 俺は叫び、スライム2の剣を防ぎながらスライム3の刀身に蹴りを入れる。


「うわっ」


 スライム3が驚き情けない声をだす。

 蹴りの勢いに耐えられず剣を手放す。

 俺はスライム2の剣を弾き上げるとそのままスライム3に止めを刺す。

 本当はア〇ロ君みたいに一人を飛び越えたかったが身体能力的に不可能なのでこれぐらいが妥当だろう。

 スライム3がやられた時点で歓声が上がる。


「スライムなんて敵じゃない」


 俺はスライム3の剣を拾う。

 そしてやりたかったことをやる。


「スターバースト・ストリーム!!」


 俺は誰にも聞こえない音量で静かに呟き、二本の剣で二人に連撃を喰らわせる。


「せぁ!!」


 丁度、十六回剣を振るった後、スライム1と2は倒れていた。


「魔王!!待っていろ!!必ず貴様を倒し姫を助ける!!」


 俺は早く終わってほしいと心の底から願いながら本来の台詞を口にしていた。

 

 

 

次話に続く


 二話に分けさせていただきました。

 次話もネタを突っ込みながら書いていきますので宜しくお願いいたします。

 ガン〇ムネタが多い?それは作者の趣味です。

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