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夜空の下

更新しました。



「「「「ご馳走さまでした!!」」」」」


 俺と鈴音が作ったカレーは直ぐに無くなり、全員満足した表情でお腹を擦っていた。


「美味しかったです。篠原君が料理上手なのは知ってましたけど鈴音さんも料理お上手ですね」


 一城さんが呟く。


「おにぃが教えてくれたんです。私一人じゃここまでの味にはなりませんよ」

 

「へぇ~、今度、私にも料理教えてもらえませんか?」


 一城さんはこちらに視線を向けて言ってくる。


「俺でいいならいつでも」


 俺は答えると一城さんは笑顔を浮かべ鈴音はジト目を向けてきた。

 鈴音が何かを言おうと口を開きかけた直前


「女子が先にお風呂行ってきなよ?僕と澪で片付けはしておくからさ」


 佑真が助け船を送ってくれた。


「お言葉に甘えさせてもらいます。行きましょう、鈴音さん、宮内さん」


 一城さんは二人の手を引っ張り風呂場へと向かって行った。


「わりーな。早く片付けしちまおうぜ」


「ああ」


 佑真に声をかけ片付けに取りかかった。


☆☆☆


「鈴音さん、水着姿の時にも思ったんですけど肌ピチピチですね」


 露天風呂に浸かりながら一城さんが言ってくる。


「そうですか?一城さんも肌が白いし髪の毛は綺麗な銀色だし、凄く羨ましいです」


 私は一城さんの姿を見ながら言葉を返す。

 空には月が上がっており、月光が一城さんの銀色の髪を照らす。

 その光景はとても幻想的だった。


「ありがとう。小さい頃はこの髪のせいで色々言われたんだけどね」


 一城さんは自分の髪を指に絡めながら呟く。


「やっぱり一城さんはその口調のほうがいいですよ。普段より親しみやすいです」


 私は思ったことを口にする。

 今は唯さんがいないので気が緩み敬語ではなくなったのだろう。


「そうかな?他の皆の前だと敬語になっちゃうんだ」


 一城さんは口調を崩して言う。


「何で敬語になっちゃうんですか?」


「それは・・・・・・」


 一城さんが私の問いに答えようとしたその時、


「皆早いね~」


 唯さんが入ってきた。


「やっぱり」


 私が呟き


「大きい」


 一城さんが自分の胸部を触りながら私が言いたかったことの続きを口にする。

 私は一城さんにつられて自分の胸に手を当てる。

 そして、二人で目を合わせ笑う。


「いつの間にか仲良くなってるし!!」


 唯さんは驚きを言葉にする。


「唯さんは敵です」

 

 私は唯さんを正確にいうと唯さんの揺れる果実を睨みながら告げる。


「ひど~い」


 唯さんは悲しそうな表情で言う。

 私と一城さんはそんな唯さんを見ながら笑っていた。

 それに唯さんも加わり一頻り笑った後、


「ねぇ、恋バナしない?」


 唯さんが告げてきた。


☆☆☆


「ねぇ、澪。澪は誰選ぶの?」


 三人がお風呂に入っている頃、俺と佑真は片付けを終えた後、砂浜に来ていた。

 夜空に照らされる海を眺めていた中、突然佑真は聞いてきた。


「突然だな」


 俺は呟きながら佑真を見る。

 佑真は真剣な顔で俺の言葉を待っていた。

 俺が答えないと動かないとでも言うように。


「分からない」


 俺は正直な気持ちを口にする。


「何でだい?」


 佑真は俺の心を覗き込むように瞳を見つめてくる。


「俺、今二人のこと同じくらい好きなんだと思う」


 俺は口にしながら考えを言葉にしていく。


「最低だよな」


 俺は呟くが佑真は何も言葉を返してこない。


「これまで恋愛とかそういうのはどうでも良いと思ってたんだよ。自分の中でやっと一つ片付い(ケリがつい)たんだ」

 

だから


「二人の気持ちにちゃんと向き合おうと思ったんだ。答えを出さないといけないってわかってる。おじさんの言う通り長くなればなるほど二人を傷つけることになるから。だけど、今の俺は二人のことが両方とも好きなんだ。二人とも同じくらい好きで大切なんだ。だからちゃんと決める。だけど今はまだ決められない。だから佑真の問いに答えられない。ごめん」


 俺は考えていたことを全て話した。


「ならいいよ。考えてないなら怒ってたけどちゃんと考えてたみたいだから僕は何も言わない。だけど、刺されないでよ?インタビューであいつは良い奴でしたなんて言いたくないから」


「わかってるよ」


 佑真はそれっきり二人のことには触れず他愛もない会話を交わし続けた。


☆☆☆

 

「良いですね恋バナ。やりましょう」


 私は唯さんの言葉に同意する。


「え?え?」


「じゃあ誰からやる?」


 一城さんは混乱しているが唯さんは会話を進める。


「言い出しっぺからじゃないですかね?唯さんの好きな人を教えてください」


 私は唯さんに問う。


「私から?まあいいけど。私の好きな人は澪だよ」


 唯さんはなんてこともないように告げる。

 わかっていたこととは言え私は驚き、心臓がドキリと跳ね上がったのを感じた。


「あれ?驚かないね」


 その言葉は私に向けて言われていた。


「気づいてましたから」


 私は一言告げる。


「ちなみに告白したから」


 それは初耳だった。

 だけど、最近のおにぃの様子を考えるとすぐに納得出来た。


「次は鈴音ちゃんか一城さんだね」


「じゃあ、私が」


 混乱状態から回復した一城さんが立候補する。


「私の好きな人も篠原君です。宮内さんは知っていますが私も告白しました」


 一城さんが告げる。

 好きなのは気づいてたけど告白してたのは意外だ。


「おにぃは絶賛モテ期到来中ですかね?」


 私は思わず笑いを溢しながら呟く。


「かもね」


 唯さんは苦笑しながら答える。


「最後に私ですね」


 私は二人に立ち向かう覚悟を決める。


「私が好きな人はおにぃ、篠原澪。私は篠原澪を異性として、一人の男性として好きです」


 今さらかもしれないがこれ恋バナというより宣言会じゃないかな?


「やっぱりそうだったんだ」


 唯さんは納得していた。

 一城さんは無言で私を見つめていた。 

 だが、視線は優しいものだった。


「あ~あ、鈴音ちゃんもってことは三人の中から一人か~」


 唯さんは軽い調子で呟く。


「鈴音さんも恋敵(ライバル)ですか。負けませんよ」


 一城さんは明るい笑顔で告げてくる。


「私も、二人には負けません。おにぃは私の物ですから!!」


 私は二人に向かって宣言する。

 

 今日、この時、やっと二人と同じ舞台に立った気がした。

 それと同時に、初めから差がついていることにも気づいた。


 その後、それぞれが篠原澪を好きになった理由やおにぃに関わる話をした。

 

 一城さんはおにぃ達の前で敬語だった理由を話してくれた。

 初めて話かけた時、緊張のあまり敬語で声をかけてしまって以降タメで話せなくなったということらしい。

 それを知った時は可愛いと思ったのと同時に思わず笑ってしまった。





「私はおにぃに気持ちを伝えられるのかな?」


 夜空が輝く中、私はおにぃに気持ちを伝えた二人を見ながら静かに呟いていた。

 今回は澪と鈴音視点のお話でした。

 

 ブックマーク、評価の方してくださると嬉しいです!!


 次話は明日更新の予定です。

 宜しくお願いいたします。

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