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四十四話

すいません、今日もタイトルを話数で更新させていただきました。


「送ってくれてありがとう」


「おう。婆さんに宜しく伝えといて。それじゃあ、次は墓参りの時に」


「うん。じゃあね、おにぃ」


 俺は鈴音を祖父母の家へと送っていた。

 ストーカーが理由で俺の家に来ていた妹は祖母の指示で戻ることになった。



 鈴音を送り届けた後、佑真と合流して家に帰って来ていた。

 時間は既に四時を回っていた。


 家に入り座った後、直ぐに本題に入る。


「で、どうだったよ?」


 俺の言葉に佑真はニヤリと笑みを浮かべ答える。


「大丈夫だったよ。8月20日から23日までの二泊三日でどうかな?」


 今日は前に話していた旅行について話し合うため集まっていた。

 本当は唯にも来てほしかったのだが唯はテニスの試合があったためこの場には来ていない。


「私は大丈夫だよ」


 スマホから唯の声が響く。

 彼女は今試合会場から車で帰ってきている途中だった。

 なので電話越しでの参加となった。


「私も大丈夫です」


 もう一人、別の人物の声がスマホから響く。

 一城さんだ。

 彼女は現在家族旅行でハワイにいる。

 スマホは持っていっていたため頻繁にメッセージが来ていた。


「俺もその日なら大丈夫だな。佑真ありがとうな」


 俺は感謝の言葉を告げる。


「僕は叔父さんにお願いしただけだから」


 佑真は遠慮しながら呟く。


「じゃあ、旅行について決めていこう」


 佑真はそう言うと別荘の場所や必要な物などを語り始める。

 一城さんや唯も意見を出しながら話し合いは進んでいき、二時間後、話し合いは終了した。


「じゃあな」


「うん。また今度」


 佑真を見送り、扉を閉める。

 直後、スマホが震え始める。


 唯からだった。


「どうした?佑真は帰っちまったぞ」


 俺は応答ボタンを押し告げる。


『え~と、旅行の件じゃなくて・・・・・・』


「そうか。何について?」


『お祭り・・・・・・一緒に行って、欲しいな、って』


 唯は小さな声で呟く。


「祭り?ああ、月末の花火大会?」


 俺は掲示板に張り出されていた告知を思い出しながら呟く。

 この街には毎年7月31日に花火大会がある。

 小年生の頃までは唯と一緒に行っていた。

 中学に入ってからは男友達や部活メンバーで行っていたため気づ時には唯とは行かなくなっていた。


『うん。ダメ、かな?』


 唯は不安そうな声で答える。

 その声はズルいと思う。


「いいよ」


 俺は答える。

 唯から誘ってもらえたのは正直、凄く嬉しかった。


『え、いいの?・・・・・・やった!!今車だから帰ったらまた連絡するね。ありがとう、澪』


 唯は弾んだ声で捲し立てる。


「おう。じゃあな」


 俺は言って電話を切る。

 小声でやった!!と言っていたがスマホのマイクはその声をしっかり拾っていた。

 うん、可愛いかった。



 その夜、唯と電話越しに詳しいことを決めて眠りに着いた。

 いつもより眠るまでに時間がかかったのは内緒にしておこう。

 

 次話は明日更新の予定です。

 宜しくお願いいたします。

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