四十二話
すみません。
またタイトルを話数にしちゃいました。
「久しぶりだな、澪君」
鈴音のストーカーを撃退したあと、俺達二人は警察で事情を聞かれた。
そんな俺達の保護者として祖父が迎えに来ていた。
「お久しぶりです」
俺は短く返す。
「澪君、鈴音を助けてくれて本当に、本当にありがとう」
祖父は頭を下げる。
「頭を上げてください。助けたのは鈴音が大切な妹だからなんですから。鈴音も待っているんでしょ?いつも通りにしていてください」
俺は祖父に告げる。
「ごめんな。これからは普段通りにさせてもらうよ、澪」
祖父は優しい声で俺の名前を呼ぶ。
あの日以降、初めて名前のみで呼ばれた。
「そうしてくれよ、じいちゃん」
俺は答えると祖父と共に鈴音の元へと向かった。
「おにぃ、ごめん」
鈴音と顔を合わせるとまた謝ってきた。
「もう気にすんなよ」
俺は妹の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「や、やめてよ」
鈴音は声を上げながらも反抗せず俺にされるがままにされていた。
「今日は二人でゆっくりと話なさい。これで美味しいものでも食べなさい」
祖父は俺の肩をポンと手で叩き手にお金を握らせるとそのまま帰っていった。
「こんな時間だし、なんか買って帰るか」
「うん」
俺の言葉に鈴音は頷き、スーパーで半額の弁当(全て安くなった後だった)を購入して家へと帰った。
☆☆☆
「ふぅー、もうお腹いっぱい」
俺は呟きながらお茶をコップにつぐ。
そして、お茶を一気に飲み干して、
「「鈴音ごめん!!」」
謝った。
のだが、鈴音と声が重なり、目を合わせたあと二人同時に笑ってしまう。
「ご、ごめん。真剣な話をしようと思ってたんだけど・・・・・・」
「ううん。私もごめん」
「先に話させて貰ってもいいか?」
「うん」
俺は一度深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
「鈴音、俺、あのストーカーの事気づいてたんだ。だけど、お前が気付く前に何とかしようと思ってた。ちゃんと話してたらお前が怖い目に合わなくて済んだはずなんだ。本当にごめん」
俺は頭を下げる。
「ごめんね、私も気づいてた」
「え?」
俺は鈴音の言葉に驚きの声を上げる。
「実はね、この家に帰ってきたのもあのキモ野郎から逃げるためだったんだ。それにおにぃが私の為に動いてくれてたのも気づいてた。だけど、おにぃに迷惑をかけるのが嫌だったから一人でケリをつけようとして浅はかな行動をしちゃったんだ。私がちゃんとおにぃと帰ってればおにぃはケガをしなくて済んだよね。ごめん」
鈴音は俺と同じように頭を下げる。
「だから、この件はこれで終わりにしよう」
鈴音は言いながら俺のケガをした頬を優しく撫でる。
「このお礼はいつかちゃんとする。絶対に・・・」
鈴音は小さな声で何か呟く。
だが、俺は間近にあった妹の顔に見惚れていたため何を言ってるか聞いていなかった。
「鈴音、もうひとつ話しときたいことがある」
鈴音は俺の言葉を聞いて姿勢を正す。
「まだ、全部を言える訳じゃない。たぶん全て話すにはまだ時間がかかるから。だけど、今じゃないと少しも話せないと思うから」
「うん」
鈴音は俺の言葉を真剣に聞き言葉を返してくれる。
「あの日のこと。父さんと母さんのこと、話すよ」
俺は鈴音に勇気を貰いながら二年近く話せなかったことを話す決意をした。
次回は澪の過去について触れたいと思います。
宜しくお願いいたします。




