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四十一話

更新しました。

宜しくお願いいたします。

「俺の妹に何してやがる!!」

　俺は鈴音の姿を見かけた瞬間叫んでいた。

　そして、鈴音に誰かにつけられていることを話さなかったことを激しく後悔していた。

　本当だったら鈴音が気付かない内に対処しようと考えていた。

　鈴音のことを掴んでいた男は俺の声に驚き鈴音を離す。

　鈴音は直ぐに男の側を離れこちらに走りよってくる。

「おにい、助けて・・・・・・」

　鈴音は涙を目に溜めながら俺に告げてきた。

　その声を聞いた瞬間、俺の中の何かが壊れる音がした。

「てめぇ、よくも俺の妹を泣かしてくれたな」

「違う。鈴ちゃんは僕の妹だ!!」

　男は言いながら鞄の中からナイフを取り出す。

「何言ってんだてめぇ？こいつは俺の妹なんだよ。それにな、その名前で呼んでいいのは俺だけだ糞野郎!!」

　俺は男と向かいあう。

「お、おにぃ、逃げて、おにぃが・・・・・・」

　鈴は声を震わせながら呟く。

「大丈夫だよ鈴。ちょっと待ってろ」

　俺は妹の頭を撫でる。

「お前を殺せば鈴ちゃんは・・・はは、ははははは」

　男の声は俺には届いていなかった。

　俺は怒りに支配されていた。

　あいつを殺せと心が叫んでいた。

　だが、怒りと対称的に頭は冷静だった。

「(普通にケンカをするだけなら勝てる。刃物さえ何とか出来れば・・・・・・)」

　男はぽったりとした体型、まぁデブだ。

　体重(質量)はあるだろうが足(機動力)はない。

　刃物さえ取り上げれば勝てると確信していた。

「はぁ!!」

　俺は男より先に行動した。

　一気に距離を詰めて蹴りを脇腹に入れる。

　だが、脂肪のためか効いた様子はない。

　男は気味の悪い笑顔を浮かべ俺に向かってナイフを突きだして来る。

　ナイフは俺の目を狙ってきていた。

　俺は顔を反らしてナイフを避ける。

　だが、至近距離だった為完全には避けることはできず刃が頬を掠める。

　直後、頬を熱い痛みと死への恐怖が体を襲う。

「(鈴音が感じた恐怖はこんなものじゃないはずだ。動け俺!!)」

　俺は震える体を気合いで動かす。

　男はナイフを引き次の行動を起こそうとしていた。

　その時、何かのスイッチが入ったのを感じた。

　相手の動きがゆっくりに見え、相手が次に何をしようとしているのかを簡単に予測することができた。

　恐らく、スポーツでいうゾーン状態だろう。

　集中力が極限まで高まっているのを頭で理解しながら自分が行うべき行動を考える。

　男が再びナイフを突きだしてくる。

　それを体を捻らせて避ける。

　捻らせた反動を利用して相手の顔面に右拳を入れる。

　さらに、左足の回し蹴りをナイフをもつ右手の甲に入れる。

　男はナイフを手放す。

　俺は地面に落ちたナイフを遠くに蹴り飛ばす。

　そして、ナイフを蹴ったことによって出来た間で男は殴ろうとしてくる。

「(避けれない)」

そう思い、歯を噛み締めた直後、

「今だ、押さえろ!!」

知らない男性の声が聞こえた。

　そして、声と共に四人の男性が男を取り押さえていた。

「は、離せ、離せよ」

　男は大人四人には勝てないことをわかっていながら必死に抵抗を続けた。

「え？」

　俺は、気が抜けてしまったためか間の抜けた声をだしてしまう。

「大丈夫かい？怪我をしてるじゃないか。私がもっと早く他の人達を呼べてれば・・・・・・」

　一人のお婆ちゃんが俺に声をかけてきた。

　その言葉で男性達はお婆ちゃんが呼んできてくれたことを理解した。

「い、いえ。お婆さんありがとうございます。助かりました」

　俺は頭を下げる。

「いやいや、お兄さんのほうが凄いよ。刃物持った相手に立ち向かったんだから。遅くなっちゃって本当にごめんよ」

　お婆ちゃんは悲しそうな顔をしながら呟く。

　そんなお婆ちゃんにどう声を掛ければいいか迷っていると

「お、おにぃ」

鈴音が俺の服の裾を摘まんで呟いていた。

「警察は呼んどいたから。私はこれで失礼するよ」

　お婆ちゃんは優しく微笑み去っていく。

「鈴音、大丈夫だよ。もう終ったから」

　俺は恐怖の為か未だ震える鈴音に告げる。

「お、おい」

　俺は鈴音に抱きつかれ動揺する。

「ごめん」

　俺は鈴音の口からでた謝罪の言葉に目を見開く。

「ごめん、ごめんおにぃ。私の、私のせいでおにぃがケガしちゃった。ごめん、本当に、ごめん」

　鈴音は泣いていた。

　俺の為に泣いていてくれた。

「バ～カ。そんな事気にしなくていいよ。お前の身に何も無くて良かったよ」

　俺は鈴音の頭を撫でつつ告げる。

「でも、でも」

　鈴音は涙でびしゃびしょの顔で俺を見つめる。

「妹を守るのは兄の仕事なんだよ。もう我慢しなくていいからよ」

　俺は自分に出せる精一杯の優しい声で鈴音に告げる。

「おにぃ、ありがとう」

　鈴音はそれっきり何も言わず、俺の胸に顔をうずめながら泣き続けた。

　遠くからパトカーのサイレンが聞こえていた。

　俺は、鈴音が泣き止むまで鈴音のことを抱きしめ続けた。

　今回、良いタイトルが浮かばず話数をタイトルとさせていただきました。

　最近、タイトルを考えるのが大変になってきたため今後はタイトル無しでいくかもしれません。

　こちらで謝罪をさせていただきたいと思います。

　昨日、同じ話を２話投稿していました。

　コメントを貰い確認したところこちらの手違いで投稿していたので削除させていただきました。

　ページを開いてしまった皆様本当に申し訳ございませんでした。

　そして、コメントをくださり本当にありがとうございました。

　コメントのお陰で気付くことが出来ました。

　今後はこのような事がないよう努めていきたいと思います。

　本当に申し訳ございませんでした。