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更新しました。

宜しくお願いいたします。


 夏休み初日、俺は進級する(補習の)ために学校に来ていた。


「先生、ちょっと休憩させてください」


 俺は頭を押さえながら先生に告げる。


「どうした?体調が悪いのか?」


「頭痛が酷くて・・・・・・」


 俺は理由を告げる。

 

 今日、目を覚ますと何故かお風呂にいた。

 何故そんな場所で寝ていたのかわからない。

 起きた時には既に頭は痛かった。

 鈴音に聞いて見たのだがなにも教えてくれなかった。


「じゃあ今日はここまでにしよう。一応二時間ちょっとやってるからな。お疲れさん。また明日な」


 先生は部屋を出ていく。

 俺は少し休んだ後、部屋を出て教室へ向かった。


「え?」


 教室の中を覗き、俺は驚きの声を溢した。


 そこには、一城さんが居た。

 何か必死に身ぶり手振り動いていた。

 

「王子様、お願いです・・・・・・」


 一城さんの声が聞こえ、彼女が何をしようとしていたのか理解した。

 彼女は一人、演劇の練習をしていたのだ。


「お疲れさん。張り切ってるな」


 俺は一人練習する彼女に声をかける。


「し、し、篠原君!?いつからそこに?」


 彼女は動揺しながら呟く。


「ちょっと前から」


「つっ~~~~~!!」


 一城さんは顔を真っ赤に染め言葉にならない声をあげる。

 可愛いな。

 普段では見れない彼女の姿にそんなことを思う。


「だ、誰にも言わないでくださいね」


 涙目で俺を見てくる。


「わかった。だけど何で練習してたんだ?」


「私、人前で何かをやるのが苦手なんです。だから、人前でやっても緊張しないように練習しないとと思って」


 俺の言葉に一城さんは答えてくれる。

 スポーツ万能、成績優秀で正直、何でも出来ると思っていた人から苦手という言葉を聞き驚いた。


「あのさ、俺にも手伝えないか?王子様役や他の役の練習相手必要じゃないか?」


 努力する彼女の力になりたいと思った。


「え、でも・・・・・・」


「頼む、手伝わせてくれ」


 俺は断ろうとする彼女に頭を下げて頼む。

 無理を言ってるだけなのだろうが頑張ってる彼女の為に何かをしたいと思った。


「うん、お願いします」


 僅かな間の後、彼女は微笑みながら答えた。


☆☆☆


「篠原君、今日はありがとうございました」


 練習を終え、校門へと向かい歩いていた。


「いや。こっちこそ無理矢理ごめん」


 俺は自分の行動が恥ずかしくなり謝る。


「ううん。一人より二人の方が練習しやすいから助かります。これからもお願いしてもいいですか?」


 彼女は遠慮がちに聞いてくる。


「俺なんかで良ければいくらでも」


 俺は頼られたことが嬉しくなり笑顔で答える。

 

 そこに、


「ねぇ、人をファミレスで待たせといて自分は彼女とイチャイチャしてたの?最低」


 鈴音がいた。

 鈴音とは一緒に買い物に行く約束を(無理矢理)させられていた。

 補習のこともあったためファミレスで待っていてくれとお願いしてそれっきり忘れていた。


「す、鈴音、ごめん。ちょっと先生の手伝いをしてて遅くなった」


 俺は鈴音の後ろに鬼のようなものが見え、恐怖のため思わず嘘をつく。


「ふーん。で、一城さんでしたっけ?兄とは友達って言ってましたよね?」


 鈴音は低い声で一城さんに尋ねる。


「はい。まだ、友達です」


 一城さんは含みのある言い方で言葉を返す。


「そうですか。このあと兄と買い物するんで失礼します」


 鈴音は言うと俺のことを引っ張っていく。


「ごめん、また明日」


 俺は口パクで一城さんに告げ、鈴音に連行されていった。

 俺は、この時、妹の、鈴音の強さを知った気がした。






 次回予告

 鈴音ちゃんとのデート回・・・・・・かも


 次話は明日更新の予定です。

 宜しくお願いいたします。

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