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試験とその後

更新しました。

宜しくお願いいたします。


 一城さんと勉強を始めてから試験までの時間はあっという間に過ぎていった。


 放課後学校に居れるギリギリの時間まで一城さんと理系科目に取り組み、家に帰ってからは一人で文系科目を勉強し続けた。

 試験前日から試験最終日までは次の日の試験科目を二人で復習した。




「終わった~~~~」


 最後のテストが終わった直後、俺は叫んでいた。


「お疲れ様。どうだった?」


 佑真は少し弾んだ声で尋ねてくる。


「わからん。解けたとは思うけど合ってるかは分からない」


 俺は言い切った。

 全力は出しきった。

 だが、元が元だ、自分の自信は当てにならない。


「澪~~、最後の問題の答えなんて書いた?」


 唯が疲れきった表情で聞いてくる。

 彼女はテスト期間中もテニスの大会が近いということでスクールに通い続けながら勉強をしていたのだから大したものだ。


「最後のやつは・・・・・・」


 俺は答える。


「ねぇ、佑真、・・・・・・合ってるの?」


 唯は信じられないといった表情で呟く。

 佑真に聞くなら最初から聞くなよ・・・・・・


「え~と・・・・・・すごい、たぶん合ってるよ」


 佑真は確認してから答える。


「へぇ~~、澪で答えられるなら私も合ってるか」


 唯が酷いことを言ってくるが前回の成績のこともあり言い返すことは出来なかった。


「ねぇ、私今日は久しぶりのオフなんだけど二人ともどこか一緒に行かない?」


 唯は佑真に何か視線で語りながら突然言い出す。


「僕は今日用事があるからダメなんだごめん。澪はどうなんだい?」


「わりー、俺もパスだわ。今日は先約が入ってる。今度な」


「むぅ~~~~」


 唯は俺の言葉に納得出来ないのかムスーーーと顔を膨らませながら目で何かを語ってくる。


 なんか、可愛い。


「わかった。わかった。唯がテニスの大会で優勝したらどこかに奢りで連れてってやる。それでいいか?」


 彼女と視線を合わせているのが恥ずかしくなり早口で捲し立てる。


「やった~~」


 唯はガッツポーズして教室を去って行った。


「ところで、用事って何なんだい?一昨日ぐらいまではフリーって言ってたじゃないか?」


 ジト目で見つめながら聞いてくる佑真。

 男にジト目で見られても何も思わないのだが・・・・・・


「今日は一城さんとご飯食べに行くんだよ。ずっと勉強教えてもらってたからお礼にな」


 お礼の部分を強調しながら答える。


「へぇ~~、デートなんだ。唯にバレないように気を付けなよ」


 佑真は俺に忠告すると、その後お礼(デート)の話題には触れずホームルームまでの時間を過ごした。


☆☆☆


 学校が終わった後、一度着替えてから駅前に来ていた。

 理由は一城さんにお礼をするため。

 それ以上でも以下でもない。


「篠原君早いですね。私も早めに来たつもりだったのですが・・・・・・。待ちましたか?」


 一城さんは待ち合わせ時間の十分前に来た。

 俺はソワソワして落ち着けず三十分前に来てしまっていたのだがそれは内緒だ。

 一城さんは赤いワンピースを着て薄く化粧をしていた。

 いつもと違い少し大人っぽい彼女に他の人にも聞こえているのではないかと思うほど心臓がドキドキする。

 性別問わず多くの人が彼女に視線を向けていた。


「大丈夫。今来たところだから。喫茶店だろ、

行こうぜ」


 THEテンプレ文を答えてしまう。

 全身ユニ〇ロコーデで来てしまったことを激しく後悔しながら喫茶店へと向かった。


「へぇ~、ここか。結構おしゃれだな」


 一城さんに喫茶店に連れてこられた少し興奮気味に呟く。

 

「ここのケーキが物凄く美味しいんですよ」


 一城さんは見るからに上機嫌な様子で扉を開き店内へと入る。

 

 店内は外と同じようにおしゃれでありながらどこか落ち着く雰囲気を持つ様子だった。


「いらっしゃい、いつもありがとうね。あれ、隣の男の子は彼氏さん?」


 知り合いらしい店員さんに声をかけられる。


「ち、違います。ただの友達です」


 彼女は顔を真っ赤にしながら首を横にふる。

 そんな様子を可愛いく感じながら奥の二人席の腰を掛けた。


「オススメのケーキってどれ?」


 俺はメニューを眺めながら呟く。


「ショートケーキですね。シンプルだからこそ美味しいのがよくわかりますよ」


「じゃあ、それにしようかな?」


 俺は彼女の言葉を聞き、ケーキの種類を決める。


「決まった?」


「はい。私はオリジナルコーヒーとショートケーキにします」


「わかった。すいません」


 彼女に答え、店員さんを呼ぶ。


「ショートケーキ二つとオリジナルコーヒー、ミックスジュースをください」


「はーい。ちょっと待っててね」


 店員さんは答えて奥に戻って行く。


「私、少し席を外しますね」


 彼女は小さな声で呟き、お手洗いがある方向へと向かって行く。


「君も幸せだね~。あんな可愛い子に好かれてるなんて。実際のところ付き合ってるのかい?」


 ケーキと飲み物を持ってきた店員が声をかけてくる。


「自分でも何故彼女に好意を向けられているのかわかってないんですけどね。彼女とは付き合ってませんよ」


 俺は苦笑いを浮かべながら答える。


「そうか。これは私からの忠告だけどね、気づいたら他の男に取られてたなんてことにならないように気を付けるんだよ。後悔だけはしないようにね」


 店員さんは笑顔で告げた去っていった。


「お待たせしました。来てたなら食べてて良かったんですよ?」


 一城さんが戻ってきて告げる。


「いや、せっかくのデートなんだから一緒に食べたいじゃん?」


 言ってから自分の失態に気づいた。

 もうイヤ、超恥ずかしい。帰っていい?


「デートだと思ってくれたんですね」


 彼女は顔を赤く染めながらも嬉しそうに呟く。


「ま、まあな」


 答えてからそれっきり言葉が途切れてしまう。


「ケーキ溶けちゃうし食べようぜ」


 俺は呟き、ケーキを口に運ぶ。

 ケーキはとても優しい味がした。

 ケーキ屋さんのケーキとはまた違った美味しさだった。


「美味しいでしょ?」


 彼女はニコニコしながら告げる。


「ああ」


 そこで、店員さんを含め他の客からも優しい視線を向けられていることに気付き、顔が赤くなるのを感じながらケーキを食べた。

 他愛もない会話をしながら飲み物を飲み、気づけばこのお店に来てから二時間が経っていた。

 どうも、この喫茶店には時間を忘れさせる力があるらしい。


「もうそろそろ出ないと迷惑になっちゃいますかね?」


 一城さんは店内が混雑し始めたのを感じて呟く。


「そうだな。先に店を出といてくれ。会計してくるから」


 俺は彼女に告げて会計へと向かう。

 そのまま二人分の料金を払い店を後にする。


「私の分いくらでしたか?ちゃんと払います」


 一城さんは言いながら財布を取り出そうとする。


「別にいいよ。勉強を教えてもらったお礼なんだから俺に払わせてくれよ」


 俺は微笑みながら断る。

 二人分で千円ちょっとなのだ。

 店の料金設定が今時破格だし一城さんとのデート代と考えればかなり安いだろう。


「暗くなる前に帰ろう。家まで送るよ」


「え、悪いんでいいですよ。ここから近いですし」


「いいから、いいから」


 俺は並んで歩き始める。

 一城さんの家に着くまでお互い無言だったが何故だかとても心地が良かった。


「今日はありがとうございました」


 彼女は家に着くとお礼を告げてくる。


「いいよ。こっちこそありがとうな」


 俺は答えて自分の家へと向かう。


 家に着いた俺は喫茶店の店員さんの言葉を思い出しながらその日を過ごした。


 自分のテストの結果がどうなっているかも知らずに・・・






「あいつ、何でこうなるんだよ・・・・・・」


 担任の伊藤先生の声が誰もいない職員室に静かに響いた。

 サブタイトルを考えるのが疲れてきた・・・

 そんな作者の思いはさておき、澪君の試験は取り敢えず終わりました。

 少し駆け足だった気もしますね。


 澪の成績はどうなったのか必見です(笑)


ジャンル別日間ランキング22位になってました(作者確認時点)。

日間ランキングよ私は帰ってきたー(笑)

 

 ブックマーク、評価してくださった方々ありがとうございます。


 そして、ランキング投票の方が昨日と変わってなさそうです。ヤバいですね(笑)


ということで、次話は明日投稿の予定です。

宜しくお願いいたします。

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