一城家
嫌ーーー遂にジャンル別日間ランキング外になっちゃったー
投票の方も全然なくってランキングにならないー
ということで更新しました。
宜しくお願いいたします。
一城さんの家で勉強を始めてから二時間近くが過ぎていた。
時間は8時をまわっていた。
「もうそろそろ帰るわ。これ以上遅くなると迷惑がかかっちゃうから」
俺は勉強道具を鞄にしまいながら告げた瞬間。
扉の鍵が開く音がした。
「嘘、もう帰って来たの?」
彼女は呟くと玄関の方向へと駆けて行った。
「ただいまーーー」
元気で可愛らしい声が響く。
「ただいま、あれ誰か来てるのかしら?」
「今帰った。おい、誰の靴だ?」
優しさのこもった声の後に重々しい声が聞こえてきた。
「お、おかえりなさい」
一城さんの動揺した声が聞こえてくる。
俺は覚悟を決めて部屋を出た。
玄関の方に視線を向けると、綺麗な大学生ぐらいのお姉さんと凛々しい顔立ちのお父さん、一城さんに良く似た小さな少女がいた。
「お邪魔してます」
一城さんのご家族に挨拶をしようとした直後、
一城さんの妹(?)に勢い良く抱きつかれていた。
「え、ちょ、おま」
俺は衝撃のあまり言葉を上手く言葉に出来ないまま妹さん(?)にしがみつかれる。
「おにーちゃんだ。あの時のおにーちゃんに会えた」
少女は嬉しそうに騒ぐ。
ランドセルを背負っているところを見ると小学一年生ぐらいだろう。
俺は一城さんに視線を送る。
「えーと、私の妹の雪なんですけど、雪、お兄ちゃん困ってるでしょやめなさい」
俺に言ったあと妹さん、雪ちゃんを説得しようと試みる。
「やだー。おにーちゃんは私の物だもん」
雪ちゃんに無邪気な笑顔で所有物宣言されてしまった。
「ごめんなさい篠原君、普段はこんなことはしないんだけど・・・・・・」
一城さんは困った表情で小声で俺に告げる。
「別に大丈夫だよ」
俺は彼女に答えながらしゃがんで雪ちゃんに視線を合わせる。
「雪ちゃん、知らない人にいきなり抱きついたらダメだよ」
「違うよ、おにーちゃん知らない人じゃないもん、雪の命の恩人だもん」
「え?」
雪ちゃんの言葉に驚きの声をあげる。
一城さんの両親に関しては口をポカリと開けていた。
「やっぱりそうだったんだ。篠原君、妹を助けてくれてありがとうございました。確証がなくて中々言い出せなかったのごめんなさい」
一城さんが頭を下げてくる。
「はい?どういうこと?」
俺は心辺りが無さすぎて一城さんに確認してしまった。
「篠原君が中学二年生の冬の時のことなんだけど覚えてないかな?」
「冬、えーと」
俺は必死に記憶を探る。
助けた?命の恩人?中二、冬・・・・・・
「あ、もしかしてあの時の女の子?」
俺は一つだけ思いあたり思わず大きな声を出してしまった。
「はい。あの時はありがとうおにーちゃん」
雪ちゃん満面の笑顔でお礼を告げてくる。
「そっかーあの時の子が雪ちゃんだったんだ」
俺はあの時のことを思い出しながら彼女の頭を撫でていた。
「えーと、美姫、えーと、何のことだね?」
お父さんは必死に考えた結果思い出すことを諦めていた。
「雪が交通事故にあいかけたって言ったでしょ。その時に助けてくれたのが彼なの」
一城さんは自分のお父さんに説明する。
「あ、あの時の男の子ね」
「そう」
一城さんのお姉さん(?)は思い出したらしい。
「篠原君だったかしら、あの時は娘を助けてくれて本当にありがとう」
一城さんのお母さん(だったらしい)が頭を下げてくる。
「頭をあげてください。自分は出来ることをしたまでですから。雪ちゃんが無事でよかったです」
「篠原君、娘を助けてくれて本当にありがとう」
お母さんに言った直後、お父さんの方も頭を下げて来ていた。
「気にしないでください、頭をあげてくださいって」
俺はお父さんに頭を下げられたのが気まづ過ぎて耐えられなかった。
「篠原君、もしよければ晩御飯を食べていかないかい?」
「え、いえ、大丈夫ですよ。今からだと遅くなってしまいますから」
申し訳無さすぎるので断ろうと必死に試みる。
「おにーちゃん、一緒に食べよー」
雪ちゃんが上目遣いで俺を見つめる。
そんな顔されると・・・・・・ずるい。
「篠原君、娘もこう言ってることだし、帰りも送るから大丈夫だよ」
「おにーちゃん、お願い、一緒に食べよー」
「分かりました。お願いします」
結局、俺は雪ちゃんに負けて折れてしまった。
その後、学校での事など他愛もない話をしながら食事は終わり、俺は帰ろうとしていた。
「大丈夫かい?家まで送っていくよ?」
「ここからあまり距離は離れていないので大丈夫です。今日はありがとうございました。晩御飯美味しかったです」
俺はお父さんの提案を断りながら感謝を告げる。
「あら、嬉しいわ。またいつでもいらっしゃい。篠原君なら大歓迎よ」
「ありがとうございます」
お母さんにもお礼を告げる。
「おにーちゃん、また来てね」
「うん。また遊ぼうな」
どこか寂しげな雪ちゃんに声をかけ頭を撫でてやる。
「私、途中まで送って行くね」
一城さんは家族に向かって声をかける。
「一城さん送ってもらわなくて大丈夫だよ。帰り一人になっちゃうだろ。こんな時間に女の子を一人で歩かせる訳にはいかないから。」
俺は一城さんに告げ、彼女が顔を赤くしている間に靴を履いてしまう。
「今日はありがとうございました。お邪魔しました」
俺は挨拶をして家を出た。
「明るい家族だったなー」
俺は歩きながら一城さんの家族の事を思い出していた。
また、いつもと違う一城さんが可愛いかった。
しばらく歩いた後、俺は自分の家にたどり着いた。
「ただいま」
明かりのついていない暗い静かな家に・・・・・・
前書きでも書きましたが、
キャラランキングの方が投票が無さすぎて作者としてはとても複雑な心境です。
ジャンル別日間ランキングまで遂にランキング外に・・・・・・
気持ちを切り替え、一城さんの妹雪ちゃんの登場です。
雪ちゃんはヒロインではございませんご注意ください。
ちなみに一城さんのお母さんの容姿は20歳前後に見えるらしいです(澪視点)。
一城母「え?実年齢?秘密です♥️」
次話は明日投稿の予定です。
宜しくお願いいたします。




