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異世界冒険奇譚 ~勇者の支援致します~  作者: 鉄火巻太郎
第1部「始まりの冒険者」第1章「向日葵の様な君と」
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第三話「美女と鷹と猫と俺」

御待たせ致しました、次話投稿です。

 壁の建材は何だろうか?石ではないと思う、だって継ぎ目が無いし・・・。コンクリートっぽい見た目だけど、触れてみた感じは金属っぽい?

壁と天井はそんな感じだ。明かりは半円形の突起物が天井から突き出てる、それが白く発行してるな。俺の世界の室内灯に似てる。

床はリノリウムっぽい何か。病院とかの床に使われてるあれね。触れてみると弾力が感じられる。

うん、俺が生まれた施設と大差はないね。ただ、俺が生まれた所は精々8畳位の部屋だったけど、こっちは20畳位あるんじゃなかろうか?


 「こちらの施設では真一様のお仲間様、3体が収容されています。調整室はあちらの部屋になりますよ。

今直ぐ目覚めさせますか?」

 「その前にこの施設の概要が知りたいですね。出来るのは調整って言うやつだけですか?」

 「この施設の主な用途は生体調整になりますね。素材があれば新しく造る事も出来ますし、部位欠損が発生しても

同じく材料があれば完治させる事も出来ますし。」

 「あ、部位欠損とか直るんだ・・・。」

 「後はそうですねー。一応、前の施設と同じで何か材料になる生物を狩って来ればご飯には事欠きませんし、宿泊も問題は無いと思います。」


 あれ?今迄食べてたのって昔の人が残した物じゃ無かったのね。何々?成分を抽出して別の固体に再構築?

記録に残ってる食べ物なら凡そ再現可能?俺の居た世界より技術力進んでるじゃん!もう滅んでるけどさ。


 「それとこの部屋の東側に設置されてる設備は『ストレージ』となってまして、倉庫としての使用が可能です。容量は・・・ざっとこの部屋の3倍位でしょうか?」

 「随分と入りますね・・・やっぱりそれも魔法的な技術で?」

 「ですね。細かい理論とか知りませんけどねー。」

 「後は向かって左側から『食料用のストレージ』『調理用装置』『室内制御用装置』『通信、記録装置』となってます。」

 「通信?記録?なんですか?それ。他の施設とかと連絡が取れるんですか?」

 「そうだと思います。ただ・・・他の施設に生き残りが居るとは思えませんので通信は使い道が無いと思いますけどね。」


 そらそうだ。確か40万年前なんだっけ?この文明が滅びたのって。ってこの施設もそんな前の物には見えないよな・・・

まるでつい昨日まで誰かが住んでいた様に見える位に綺麗だし・・・。まぁ追々調べていこう。

それじゃ、そろそろ仲間達と対面と行きますか!



◇◇◇



 部屋の扉は自動ドアだった・・・。横にスライドした扉を潜って目的の部屋に入る。建材はメインの部屋と同じだ。

ただ明かりは絞ってあるのか、ちょっと薄暗い。その部屋の中に3つのカプセルが並んでる。俺が寝てたのと同じタイプみたいだ。

まず一番手前のカプセルを覗いてみる。

そこには豪奢な金髪を揺らめかせ、水にたゆたう女性が見えた。見た目の年齢は30前後か?お姉様タイプだな。

身長は要望通りなら170センチ位だ、申し訳ないが彼女には『タンク』としての役割を担って貰う事になる。

次に隣のカプセル、真ん中に配置されたそれを覗き込む。

その中には鷹?鷲?がゆらゆらと浮かんでいる。中々精悍そうな顔つきに見えるな。

大きさは尾羽まで含めれば凡そ60センチ位。色は茶色。彼には高空からの偵察や哨戒等を任せる事になる。

最後に一番端に設置されたカプセルを覗き込むと・・・。

猫が丸まって浮かんでいる。うん、三毛猫だ。愛すべき日本猫。やっぱ猫可愛いね!

人によって猫の好みも分かれるんだろうけど、俺は昔飼ってた三毛猫が一番愛着があるからこう言う選択になった。

まぁ趣味も大分入っているけど、彼女には街中での斥候が主な任務になるだろう。


 「それでは順番に目覚めさせますね。まずは一番手前から起こします!」


 そう言って5号ちゃんが女性の入ったカプセル横の機械?を弄りだす。やがてガコンガコン言いながらカプセルの中の水位が下がる。

ほー、俺もこんな感じで起こされたのか。

やがて完全に中の水が排出されるとガラスっぽい部分が真ん中から割れて下にスライドして行く。

こう言うの見てるとホント、サイバーパンクの映画と同じだな。ある程度以上発展すると魔法も科学も同じになるのかね?

暫く見てると気が着いた様だ。やがて彼女が瞼を開く。


 「・・・・・・あ、おはようございますぅ。貴女がますたぁさんですかぁ?」



 あれ?なんか以上に間延びした声だな・・・寝起きだからか?


 「僕じゃ無いですよー、貴女のマスターさんはこちらの方です。さぁ、真一様。自己紹介をどうぞ!」

 「えーと、自分がマスター?になる中村真一ですよ。とりあえずは真一と呼んで下さい。皆そう呼んでますしね。」

 「わかりましたぁ、真一さんですねぇ、宜しくお願いしますぅ。」


 なんだかまだ寝ぼけてる見たいな感じだな。とりあえず例のバスローブを渡して待機して貰って次のカプセルに向かう。

次は鷹だか鷲だかのカプセルだ。要望通りに行っていれば・・・。


 「ふむ、おはようだな、マスター。主がワシのマスターで良かったかの?」

 「ですです。中村真一です。真一と呼んで下さい。」

 「ふむ。宜しくじゃ、マスター。」


 妙に年寄り臭い喋り方だけど、これは俺が要望した性格通りって事なんだろう。

所謂、人生経験豊富な味方が欲しかったからこうなったんだろうけど。さて、実際の所はどうなるかな?

何故か会話が成り立ってるけどその理由は『精神感応』、所謂テレパシーみたいな物で会話をしているから。

一応、仲間内ではこのテレパシーで会話が出来るように、マリアージュ様にはお願いしておいた。

さて、最後にぬこ・・・じゃなかった猫だ。

あ、ちなみに本人に聞いたら鷲だそうだ。ワシだけに?


 「ふにゃぁぁ、おはようですの。・・・・・・どなたが私のご主人様にゃんですの?」

 「・・・・・・あ、あぁ、俺・・・じゃなかった、自分がマスターの中村真一です。真一と呼んで下さい。」

 「真一様ですの?宜しくですの。それと、私達は貴方の従僕なのですから、丁寧語は不要ですの。」


 まぁ、それもそうか。つい今迄の流れでずっと丁寧な口調を心掛けて来たけど、

考えてみれば自分の仲間に丁寧語はちょっと無いよな。


 「わかった。これからは皆には普通にしゃべるよ。3人とも、これから宜しくな。」

 「はいですわ」

 「うむ」

 「はいですの」

 「わっかりましたー!」


 いや、天使様にはこれまで通り丁寧語で話しますよ?え?仲間外れは嫌だ?

そうは言っても相手は天使様ですしねぇ・・・。え?仲間外れにするなら今後手伝わない?

分かりました。分かりましたよ!


 「ところで真一様?お仲間さん達のお名前とかどうするんです?」

 「あぁ、それはもう決めてありま「真一様?」・・・決めてあるよ・・・。」

 「まずは君から。名前は『ベル』だ。戦闘では盾役をお願いする事になる。宜しく頼むよ。」

 「私の名前は『ベル』ですね~。がっちりガード!頑張りますねぇ~」

 「そして『ランディー』。戦闘では高高度からの奇襲、牽制、普段は同じく高高度からの警戒や偵察をお願いする。宜しく頼む。」

 「ふむ。『ランディー』じゃな、心得た。まぁこれから宜しく頼むぞい。」

 「最後に『タマ』「断固拒否致しますわ!」・・・じゃぁ『ミケ』「レディーににゃんて名前を付けますの!?正気を疑うですの!」・・・・・・。」

 「まぁ冗談はこれ位にして・・・。君の名前は『メアリー』だ。主に街中とかでの調査とかがメインになるかな?宜しくな。」

 「全く。ご主人様はお戯れが過ぎますの。『メアリー』、その名、確かに頂きましたの。これから宜しくにゃのですわ。」


 どっちも昔飼ってた猫の名前だから愛着があったんだけどなー。

それにしても危なかった。とっさに近所に住んでた外国人夫婦の娘さんの名前を貰っちゃったけど、危なかった・・・。

もし本当にタマってつけようとしてたとばれたら思いっきり引っかかれそうだな。

いや、それ以前に嫌われたらモフモフ出来なくなる!?まじで危機一髪だったな。危ない危ない。


 「さて、真一様。自己紹介も終わりましたし、今日の所はゆっくり寛ぎましょうか。

明日から暫く戦闘訓練も行うことになりますし。」

 「そうですね、とりあえずゆっくりしながら今後の活動方針なんかを軽く話し合おうか。皆もそれで良い?」

 「「「はーい」」」


 そうしてリビング的な部屋に戻って来た訳ですが・・・。すっかり忘れてたけど家具何も無いじゃん!?

個室って言ってた北東側に位置する部屋にもベッドとかは無かった。クローゼットはあったけどね。空っぽの・・・。


 「5号ちゃん・・・。大問題勃発です・・・。家具とかがありません!これでは寛ぐ所ではありません!隊長!」

 「ふっふっふ・・・。こんな事もあろうかと!そこのストレージを見よ!」

 「おおおお!こ、これは!・・・ってどうやって使うか分からんのだが。」


 5号ちゃんも意外とノリは良いんだなぁ・・・。

教えて貰った所、この施設にある大概の設備は所謂『タッチパネル』的な感じで操作出来るそうで、

例えるなら俺が居た世界でのタブレット端末みたいな感じの操作感覚だった。

まぁ、どれが何を意味するアイコンなのかまだ分からないんだけどさ。

とりあえず『ストレージ』に向かって手を出してみる。すると画面が起動したみたいで

ホログラフ的な画面が出てきた。こう言うの見てるとほんと此処が中世時代だって忘れるけども。

うーん、何となく感覚で操作しながらあれこれ弄ってると中身が大体理解できた。

出てきたウィンドゥに表示されてるのは殆どが家具。ちゃんとベッドとかテーブルとかもあるね。

あ、被服類も入ってるみたいだ。俺が最初に着たのもこんな感じで残ってた服なんだろうか?

まずは椅子を5脚とテーブル、ベッドを3つ呼び出してみる。

画面上には『再構築しますか?yes or no』の表示が出たのでyesを選択してみる。

と、今度は再構築する場所を選べるようだ、これはありがたいね。

この施設の見取り図が表示されたのでまずはそれぞれの個室にベッドを再構築。その後、リビングにテーブルと椅子を再構築。

これは中々使いやすいかも?ベッドの上に先程確認した被服類もいくつか出しておこうか。

ベルも、いつまでもバスローブじゃ可哀想だしね。なんか異常に似合ってるけどさ。



◇◇◇



 「さてと、それじゃとりあえず。今後の活動方針と言うか自分の使命的な物を皆にも共有して貰おうと思うんだが。」

 「真一さんの使命ですかぁ?確か100年以内に~、魔王討伐に必要な人員の育成と~環境の構築だったと記憶してますがぁ・・・。」

 「そうじゃの。現地人に対して『魔獣』にダメージを加えられる手段を提供する事になるかの。」

 「その為の遺跡巡りが当分の間、私達の活動指針となる筈ですわ」

 「・・・・・・なんで皆知ってんの?」

 「それはその様にマリアージュ様が記憶を作っているからですね!パーソナルな部分は過去の実在の人物等から吸い出してますけど

今回の真一様の任務に関わる事や自身の能力、能力の使い方等はあらかじめマリアージュ様が神器を使って焼き付けてます。」

 「それは皆も【アーカイブ】を使えるって事?」

 「いえ、真一様の持つ【アーカイブ】は真一様だけに備わった能力です。まぁその劣化版とでも理解して頂ければ・・・。

一応、魔獣との戦闘経験は蓄積されますし、その情報は天界の宝珠を経由して真一様にも共有される様にはなってますけどね。」

 「さらっと重要な情報をぶっこんで来るね・・・。自分の経験は皆には共有されないの?」

 「使われてる神器が6等級なので送信しか出来ないらしいですよ?」

 「等級なんてあったんだ・・・。了解、訓練は常に行っておいた方が良さそうだね。」


 俺だけがなんか優遇されてる気がして申し訳無い様な感じもするけど・・・。

どっちにしても、俺の持つ【インターフェイスシステム】の能力を生かすのならありがたい話だな。


 「それはそうとマスター。活動資金なんかはどうするつもりじゃ?この施設だけに限定すれば通貨等は要らんじゃろうが

そう言う訳にもいくまい?外は国家も存在するじゃろう、まさか窃盗行為を行う訳では無かろう?」


 そうだね。ドロボウ良くない!絶対!

とは言え、差し当たって直ぐに思い付く訳でも必要になる訳でもない。

まずは遺跡を探索するのであれば大陸中央部にあるここ、未開地が中心となるなら最初の内は人里には関わる事も無いだろう。

その議題は探索を行う合間に、色々と考えておく事に落ち着いた。


 「それで~、遺跡探索は~どの辺りから手を付ける予定なんですか~?」


 ふむ。それは確かに重要な議題だ。5号ちゃんに確認を取った所、5号ちゃんが探索を行っていたのは

主に大陸中央部も中央部、もっとも魔力汚染が強い場所を探っていたそうだ。

未開地の外周部だと旅人が迷い込んで来る可能性は極小だけどあったし、アンブロッサム文明で最も栄えた都市は中心部だったから。

まぁ実際には、目的に合致する施設で見付かった場所は外周部に近かったみたいだけどね・・・。

そんな訳で、中心部だと魔力汚染も酷いし外周部の近くを探っていく事になりそうだ。

この施設から中心部に向かった方向は5号ちゃんが探索済みと言っていたので、

とりあえずは北側に向かって足を伸ばそうと思う。


 「とりあえずは一週間。北に向かって遺跡探索をしつつ、回りの地形把握に努めようと思う。

だから食料その他はおよそ2週間分を用意してから出発かな。」

 「そう言えばこの施設には野営の道具等はあるんですの?」

 「あるんですの?5号ちゃん?」

 「あるですの、真一様。」

 「どうして皆で私の口調をまねるんですの!私をからかって楽しいですの!?」

 メアリーが毛を逆立てて怒ってる。しっぽまで直立してるや。

 「いや、ごめんごめん、なんか口調が移っちゃったよ。」

 「ですです、あまりにもしゃべりやすい口調なものだったんでつい。」


 俺と5号ちゃんで平謝りしたところ、なんとか宥める事に成功。いやー、なんかメアリーって反応良すぎて楽しいな。

なんて事は本人には口が裂けても言えないが。


 「寝袋やテント、他にも携帯コンロやランタンの類は大体ストレージの中に入れておきました。

マリアージュ様の指示で必要になるだろう道具は全部、天界で造っておきましたから。」

 「それ・・・まさか神器が交じってるって事無いよね・・・?」

 「まっさかー。流石に神器は入って無いですよー・・・(多分)。」


 なんか色々と不安材料が出てきたけど・・・考えない様にしよう。

マリアージュ様が指示して造ったって事なら害になる事はあるまい・・・たぶん。


そうしてやいのやいのと話が進み、夜も更けて行くのであった・・・。



いつもお読み戴き有難う御座います。


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