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~いつかどこかで とある冒険者の日常~

この度、初投稿、初お目見えとなります、鉄火巻太郎と申します。

小説家と致しましては素人もいい所なので、多々、至らぬ点がありますでしょうが、寛大な心で見守って戴けると幸いです。


「これが冒険者の仕事かぁ?」

「はいはい、そこー!しゃべってないで腕動かして!今日中にあの木の所まで収穫しないとダメなんだからねー!」

「いやいや、あの木ってそうとう遠いぞ、これほんとに終わんのかよおい・・・」

「大丈夫だリット、黙々とやってりゃ今日中に終わる。」

「ほんとかよディーン、まぁ終わんねぇと依頼失敗になるからやるけどさ・・・」


俺はリット。さっきも言ったと思うが、俺は『冒険者』だ。

え?冒険者って何かって?

そりゃぁ・・・読んで字の如、世界を冒険するのが冒険者ってやつさ!

なんてな。まぁ実際はご覧の通り、畑でイモの収穫なんかしてたりするんだけどな・・・ははは。

でも先輩の冒険者達は皆凄いんだ。

こないだもなんか人間なんかよりも馬鹿みたいにでっかい魔獣を倒したって人達がいたし、地下迷宮で財宝を見つけた人達だっていた。

いやまぁ、そんなのは一握りだってのは分かってるけどな。でも俺だって夢を見たいじゃねぇか。


あぁ、そういや俺自身の事は話してなかったっけ。

俺は元々、山村に住んでた木こりの三男坊だったんだ。俺が冒険者になったきっかけは10年位前かな?俺がガキの頃に村に来た冒険者グループを見てからだ。

その日は山に魔獣が出ちまって犠牲者が出たんだ。

木こりって言ったって別に弱かねぇんだ。山に入れば熊だって出るし猪だって出る。そんときゃ自分で倒さないといけねぇしな。

だから木こりだって獣は撃退出来る。それに狩りを生業にする狩人だって村にはいたしな。

でも『魔獣』には全く歯が立たなかったんだ・・・。

今なら解るけど、『魔獣』ってのは特殊な武器を使うか魔法じゃねぇとまず傷がつけられねぇ。

その辺の斧や鉈じゃ全く歯が立たねぇんだ。矢も刺さってなかったし。魔法だって村の連中が使う程度の魔法じゃ大して役に立たなかった。

そういう状況だったから、村で冒険者を雇って魔獣を退治して貰ったんだ。

『冒険者ギルド』でも結構有名な人達だったらしい。

俺が冒険者になる為にギルド行ったら偶然その人たちが居て、しかも俺達の事を覚えててくれたんだ。

おっと、これは別に関係ない話か。

まぁついでに説明しておくと、『冒険者ギルド』ってのは俺たち冒険者が『冒険者』として活動する為には必要な組織なんだ。

例えば、色んな所からの依頼を受けて間に入ってくれてる。勿論、手数料とかで上前は取られるけど、商売なんだからそれは当たり前。

そうやって間に入ってくれるから、依頼内容に対して小難しい事とかわかんなくても仕事が出来るし、トラブルとかも起こり難い。

それに依頼の内容とか、俺達の力量に合わせて仕事をくれるから、よっぽどヘマしないかぎり失敗する事もないしな。

後これが重要なんだけど、魔獣に対して攻撃が通用するようになる『破魔の護符』とかを売ってる。

他にも魔獣が落とした素材を買い取ったりもしてくれる。俺達、冒険者の為のギルドだ。

そんな冒険者ギルドから依頼を受けて俺達の村に来た冒険者達は、来たその日の内に魔獣を退治してくれた。

その日はお礼も兼ねてお祭り騒ぎだったよ。俺みたいな村の子供達も皆で色んな冒険の話を聞かせて貰ったんだ。

色んな話を聞いてる内に居ても経ってもいらんなくなって、「俺も冒険者になる!」って騒いでたのは良い思い出だ。

まぁ、実際には成人した後も、村の働き手が居なくなると困るからって一時期は諦めてたんだけどな。


ところが一昨年、近隣の農村で飢饉が発生したんだが、そこと取引をして食料を仕入れてた俺の村も影響を受けちまった。

で、俺は三男だし、いつもつるんでたディーン(横でイモ掘ってるこいつな)も四男だしってんで、

口減らしついでに一緒に村を出ることにした。俺達は揃って冒険者に憧れてたしな。

で、今に至る。と言う訳さ。


20年前なのか、30年前なのか、それとももっと前なのかも良く知られてはいないけど、色んな国で『魔獣』が出始めたらしい。

昔は『魔獣』なんて物は居なくて、冒険者ギルドが出来た頃でもそこまで頻繁には見かけなかったらしい。

他の国はどうか知らないけど、俺達が暮らしてる国だと2~3年に1回見かける位だったらしいし、

今だって一月に2~3匹、出るかどうかだしな。

あ、「らしい」ってのは、俺が生まれた時にはもう、そんな感じだったから、魔獣がいない時代なんて知らないからだ。

昔、ほんの4~50年前までは魔獣の魔の字も居なかったそうだけど・・・。

いつの頃からか、どこからともなく現れ始めたそうだ。老人連中の中には「この世の終わりじゃー!」なんて言うのもいるけどさ。

でもほんとに世界が終わりなら対抗できる人、つまり冒険者なんて今でも居なかったはずで・・・。

まぁもっとも、俺もまだ魔獣退治の仕事はしたことねぇんだけどな。あっはっはっは。

魔獣に対して効果を発揮する『破魔の護符』が買えるのはある程度、冒険者として信用を得てランクが上がらないと駄目なんだ。

まぁ、新人とかにぽんぽん渡してると死者続出になるから、ある程度は戦える位になるまで経験を積んで、それから手に入れられる様にって話らしい。

俺もいつかは護符を手に入れて、世界を冒険したい!だから今は頑張って今出来る事をやるしかないよな!


「おいリット、手が止まってる。終わんねーぞ・・・」

「やべ、わりぃわりぃ!」

「冒険者さーん、お昼にするから休憩しましょー!」

「おお、ありがたい。いい加減に腰がどうにかなりそうだったんだ。」

ディーンがそう言って腰を伸ばすとあちこちから「ボキボキ」と音を立てる。俺もいい加減腰がどうにかなりそうだったんだ。同じく「ボキボキ」音を鳴らす。

「とりあえず飯食って。収穫頑張って。依頼達成するぜー!」

「あぁ、そうだな。頑張って依頼を終わらせて帰ろう。」

「そして俺達もいつか!」



・・・今日も雲一つ無い蒼穹がどこまでも広がっている。いずれ来る「災厄の刻」はまだ遠い。






今回はすでに物語中盤を折り返した辺りの時間設定となっております。

次回更新分より本編が始まります。

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