ロングラブレターfromあなた
何気ないエッセイです。
皆様は、漂流郵便局って知っていますか?
それは、香川県にある小さな郵便局で、
普通の郵便局とは少し違うんです。
何をしている郵便局なのかというと、
差出人からの様々な対象に向けたハガキを集める私書箱を置いているそうです。
その、様々な対象にあてた手紙とは、人だけではなくてモノや生き物でもいいとのこと。
現実には渡すことの出来ない対象に向けてメッセージを送ることができます。
もう会えなくなってしまった人、故人、飼っていたペットへの想い、愛着ある持ち物などに向けて。
…色んな気持ちの集まる場所です。
住所も公開されているので、アクセスさえできれば第2、第4土曜日の月に2度だけは、訪れてそれらの手紙に触れることも出来ます。
また、自分宛の手紙だと確信したら、持ち帰ることも出来るそうです。
それは、何とも不思議な空間だと思います。
気持ちの吹き溜まり。
行き場のない気持ち、伝えたくても伝えられない気持ち、秘めておくべき気持ち…
気持ちは眩い塵のようにキラキラと細かくなって、時間の海、あるいは空間の海を彷徨うのかな。
まるで、人間の存在自体が形がない神秘的なもの、魂の塊だけに還元されてしまうかのような気持ちにさえなります。
そんな不思議な郵便局に、わたしも先日一通の手紙を出しました。
その気持ちは、一体どこに辿り着くのでしょう。対象となる方の心の奥底?
あるいはフラフラと時空を揺蕩うだけなのか?
…何も分かりません。
そんな郵便局の存在意義の持つあやふやさを愛おしく想う私は、いつかその、香川県にある漂流郵便局を訪れ、ジャンル分けできないような多くの気持ちたちと対話してみたいと考えています。
最後になりましたが、こんな一風変わった郵便局があることに、少しでも関心を持って頂ければ、嬉しく思います。
ありがとうございました!