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サンディの突然の言葉に、俺は新手の冗談だとすぐ判断して、肯定も否定もせずに荷物を持ちますよとトランクを掴んでそのまま運ぶ。


車についてきて下さいと声を掛けて歩き出す俺に、

「ねえ、無視しないでよ。」

とサンディが問いかけてくるので、さっきの言葉は本当にその気で言われたのだと気が付いて、振り返ってサンディの顔を見る。

ここは人が多いので、詳しい話は車の中でと俺が言うと、やっと納得してくれたのか、パトリックとともに2人はおとなしくついてきてくれた。


車のある場所に戻ると、スルワは車から降りていて、トランクを運んできた俺を見て、

「だから私が行くっていったのに!」

と言ってトランクをひったくり、一応サンディとパトリックに無言で一礼すると、ラゲッジを開けて手慣れた手つきで詰め込んだ。


俺はそんなに頼りないのかと若干思ったが、これもいつものことなので、2人を車の中に案内して、そのまま乗り込む。


そして発進した車の中で、まずはスルワの自己紹介をして、ミラー越しにスルワが頭を下げて挨拶したのを確認する。


「さっきも言ったけど、私は君にrathaに乗ってほしいと思う。それでいいわよね。」

サンディはそう言ってパトリックにも確認を促すが、先ほどから一切言葉を発しない彼女の弟はちらりと姉を見ただけで、また手元の本に視線を戻してしまった。


「この子もいいって言ってるし、どう?」


パトリックが肯定を表していたとはとても思えなかったが、2人の間ではそれで話が進んでしまっているらしい。


「ちょっと待ってください、何が起きてるんです?」


運転しながらこちらに問いかけてくるスルワに、サンディは俺をrathaの操縦者にするつもりである考えを説明する。


「ありえません!操縦者にはジュリー様がもう決まってるんです!!だいたいボブはただのロボオタクですよ、無駄にある知識で整備士やってるだけで・・・」


嘆きながら運転するスルワには反応せず、サンディは俺を見る。



「別にジュリー空将でもいいけど、ぜったい君のいいところを生かせる機会だと思うんだけどなあ・・・」


なぜか諦めないサンディ。というか、ジュリー空将は一応この辺境のトップみたいなものなのに、この態度でいいのだろうか、キャラの掴めない女性である。


今回の戦闘は、人死にを出さない大前提があるので、実質エキシビジョンみたいなものなのだから、パイロットは当然各支部の偉い人間が乗ることになる。多分、エースを出してガチで勝ちに行くほうが白い目でみられそうなことは、末端の俺でも十分想像できる空気だ。


そんな感じで車は来た道を戻り、軍本部に到着した。


俺とスルワが出てきた所ではなく、正門から入ると、大々的に迎えの準備が整っていて、皆整列し、楽団も指揮者の指示を待ちわびている。


整列する軍人たちを前に、ドアを開けるために先に降りたが、一気に空気に緊張が走ったので、なんだか申し訳なくなる。


ドアを開けて、サンディとパトリックが降り立つと、道の一番先から、

「総員、敬礼」

と、若いながらも貫録を感じる声がして、俺も含め皆一斉に敬礼する。


サンディとパトリックは、そんな歓迎に慣れているのか、特に驚きもせずに歩いていき、道の一番奥に立つ男性。ジュリー空将の前に立つ。


そして歓迎の式典が始まった。




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