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モ ノ ク ロ 世 界  作者: 蒼河 漣
一学期
4/4

四日目

「ここが図書館。結構な蔵書量でさ、ウチの学校の生徒がいっぱい来るらしいぜ」


そう説明した東シンジ。つぅっと汗を滴らせ、地図と睨めっこしながら説明してくれた。

連は制服のネクタイのノットを弄り、図書館を見上げる。まだ何やらシンジが話していたが、殆ど耳に入ってこなかった。

__俺、何か悪いことしたっけ?

雫下のひん曲がった口に、汚物でも見たかのような目つきの理由を考える。だが、考えても考えても答えは見つからない。


「・・・ってオーイ?連サーン?」

「あ、あぁ悪ィ。聞いてなかった」


素直にそう答えれば、シンジは「やっぱり」と呟いて苦笑した。

「雫下のコト、考えてたろ?」

いきなり核心を突かれ、驚きで目を瞠る。なんで解ったんだ。表情を見たシンジは、手を頭の後ろで組んで答えた。

「さっきの雫下の目付きといい口つき?といい・・・って話だろ?」

コクコクと頷き、「そんで?」と続きを聞く。早く真相を聞きたい。

するとシンジは、声を低くして顔を近づけてきた。口から出た言葉は、真相では無いにしろ、大切な事だったのだ。

「あいつと中学二年間、クラス一緒だったんだ。

そん時もだよ、クラスの中で浮かれてた。人を寄せ付けずさ、むしろ跳ね返すんだ。アイツの事、嫌ってる奴・・・というか皆興味ねえんだよ。いない存在として扱ってた」


言い終わり、顔を遠ざけたシンジの顔を無言で見つめる。

そんなんで、いいのかよ・・・そんなんで、いいのかよ。

ずっとその言葉が頭の中を回っていた。


連は、無意識に下唇を噛む。あまりにも、雫下が不憫だったのだ。

アイツは只たんに、交流が無いだけであって・・・性根はいい奴なのに・・・多分。


雫下に散々嫌がられても、なんとかしてあいつと仲良くなろうと心に決めた連だった。

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