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9話


解体された獲物を受け取り、ストレージへと仕舞っていると。


「さて、儂はそろそろ行こうかのぉ。」


「どこへ?」「なんで?」と聞こうと思ったが、面倒ごとの匂いを感じたのでやめた。


「ほっほっ、こちらの世界の人間、特に神を信仰しとる様な奴らに見つかると、面倒な奴がくるのでな。」


そう言いながら杖を取り出し、光輝く次元の亀裂を召喚した。


「ではのぉ。」


光の渦へと消えていった。


・・・

・・


 赤茶色の踏み均しただけの道、不思議とここを歩いていると、魔物が襲ってこない。


何か魔物除けの様なものが、撒かれているのだろうか?


ゴトゴトと音を立てながら馬車が通り過ぎていく。


こんな場所で一人軽装でいても、御者が特に気にした様子もなかった。


「あれ・・・金とか持ってないんだけど・・・」


ついでに身分証も無い、と消えていった爺さんに聞いておけばよかったと後悔する。


「服装も怪しいよなぁ・・・、とりあえず帰るか。」


初めての異世界はなんとも中途半端に終わるが、まぁ仕方がない。


それよりも・・・。


「あの次元の亀裂、出せるかな・・・」


出せないとマズイ、来週からテスト週間が始まるのだ、と内心焦る。


「ディメンション・ゲート!」


急激な魔力の消費、魔導書の魔力もごっそり持っていかれ、おおよそ半分くらいを消費した所で、呪文が完成する。


「ふぅ・・・、何とかなったけど、戻ったら帰ってこれないな。」


帰りの魔力を考えれば、しばらくは厳しいだろう。


若干名残惜しいが、次元の亀裂へと歩を進め、異世界を後にする。




 戻ってきたのは実家の自室、眩しい夕日が入り込んでいる。


両親はもう帰ってきいるようだったので、玄関から入りなおした、もちろんワープを使って。


両親とたわいもない会話をし、夕飯を食べトウモロコシにがっつきながら、今日のことを思い返していた。


「うーん、こっちでは時空間魔法以外は厳しいか。」


魔法でコップに水を出せるか、試してみたがやはりでない。


(まぁ時空間魔法使えれば問題ないよな・・・)


この世界では魔物など出ないのだから、そんな風に考えていた。



・・・

・・


 翌日実家から帰り、貰った過去問で試験勉強をして過ごしていた。


昼食は外食で済ますかと、最近ランチセールが無くなったファーストフード店へと向かった。


(なんだ・・・?)


今までは気にも留めなかった、なんの変哲もない路地裏。


でも空間把握による察知が何かを感じ取る。


気のせいか蒸し暑い夏だというのに、そこだけヒンヤリとした空気が漂う。


本来はコンクリートの壁があるはずの場所は、黒い靄の様になっている。


(次元の亀裂・・・ではないかな、なんか黒いし)


一点の光もない黒、手を触れてみれば吸い込まれる様に入っていく。


(どうする?ヤバイ気もするが・・・)


一歩踏み出せば後戻りできない、そんな狭間。


「・・・やめた、明日からテストだし・・・。」


ちょうどいい言い訳に助けられ、その場を後にする。



『・・・・』


その背を見つめる瞳があることを、彼は知らない。
























読んでいただき有難うございます。

まったり進行ですがよろしくお願いしますm(__)m

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