5話
天使との邂逅後、喫煙所でタバコをふかしながら、自分の台詞に悶えていた。
あれではまるで、ポニテマニアの変態だ。取り巻きがいたら、ストーカーに間違えられていたかもしれん。
授業の終了を告げるチャイムがなり、ぞろぞろと人が出てきた。
藤原の顔に似合わない、悪戯っ子のような笑みに、イラっとする。
「佐藤君、どうだった?話せた??」
話せましたよ、変な奴だと思われただろうけどな!
「おかげさまで・・・」
はぁ・・・と溜息交じりに答えると、察したのか更に顔を綻ばせる。
「・・・ドンマイ」
神田に慰められつつ、次の講義の教室へと向かった。
週末、実家の自室へとワープした。
今まで行ったワープとは比べ物にならないほど長距離だが、MPはほとんど消費していない。
魔導書は魔力を蓄え、魔術使用時の補助魔力として使えるが、『マルゴモスメノス』の最大保有魔力は半端ではないらしく、まだまだ余裕がありそうだ。
両親は出かけているようでいなかった、一応きたことはメールで報告しておこう。
どこでイノシシやシカが狩れるのか、確認するため父方の実家に向かった、東京に就職にいった姉の車を使わせてもらう。
「イノシシやシカ?今は狩猟期間じゃないから取ったらイカンぞ。」
伯父さん曰く、害獣指定されていても狩猟期間以外は自ら取りに行くのはダメで、柵なんかのある敷地内に入ってきたら駆除してもいいらしい。
イノシシ倒してレベ上げ、ついでに金策計画は開始前に頓挫した。
まぁ、計画なんて言えるほどの物でもなかったが。
「まぁこれでも持ってけ」と大量のトウモロコシを貰った、なんとも寂しい収穫である。
実家に戻り貰ったトウモロコシを早速ゆでる。
ミーンミーンと蝉の声が鳴り響くなか、トウモロコシをがっつく、自然な甘さが口の中に広がる。
不意に自身の後ろに違和感を感じ振り向く、一瞬の魔力の揺らぎ、その後には一人の人物が立っていた。
「・・・爺さんかよ、ビビらせるなよ」
「ほっほっほっ!儂の転移に気付くとはなかなか良い感知じゃのぉ。」
どこか、上機嫌そうにこちらを見つめてくる、いやトウモロコシか。
「ほほっ、すまんのぉ」
差し出されたトウモロコシにがっつく爺、全くなんだというのか、こっちはレベ上げ詰んで困っているというのに。
「ほほっ!お前さんが困ってそうな気配を感じてのぉ、トウキビの礼に解決してしんぜよう。」
と言うなり、襤褸のマントに手を突っ込み、木で出来た杖を取り出した。
一見すると凄そうに見えないが、俺のネックレスと同じく魔力の流れを感じる。
俺のネックレスを見やり、白鬚を揺らしながら語る。
「こういった者は、魔具と呼ばれるのぉ、魔道具や魔装具とはまた違ったものじゃよ。」
濁った黄金色の瞳は、やはり俺の心を読んでいる、まぁ今更驚かないが。
「では、行こうかの!」
そう言った爺さんの目の前には、光り輝く時空の亀裂が存在していた。
猪などについて、だいぶ前に聞いた話なので、現在どうなっているかは不明です。




