13話
薄暗い照明に照らされる怪しげな品々。
「呪術や術式が掛けられているからね、素材も希少品だし。」
それにしても高いんじゃないだろうか、自分の感覚がコンビニ店員だからか?
「作り手も少ないのよ。」
そう言いながら、札を選び補充へ戻る舞歌。
木刀を戻し、辺りを物色するが回復アイテムらしきものはない。
(あっても高すぎて買えねえよな・・・)
掛けた魔法の効果がどれほど持つか、帰ってテスト勉強もせねばならない。
「なぁ、巫女って・・・いねぇし。」
尾行られていたことに気付いたのか、別れの挨拶もなくいなくなっていた。
自宅へとワープで戻り、床に座りテレビを付けるが落ち着かない。
「異世界なら・・・」
前回もっとちゃんと探索しておけばよかったと、後の祭りである。
今日はバイトがないしテストは明日の2限目から。
「うーん・・・」
前回次元の亀裂を召喚したときは魔力が半分ほど、あくまで体感ではあるが使用された気がする。
行って帰ってこれないとなると最悪だ。
だが怪我を直さないと痛みでテストどころではない。
「行くっきゃないな。」
そうと決まれば、服装を変えて、持っていく物を準備しないと。
あちらのお金がないので、換金できる物を用意していかないといけない。
スニーカーに緑のカーゴパンツ、灰色っぽい無地のロングTシャツ、地味な服装でいけばいいかぐらいの考えだ。
「胡椒と砂糖と・・・」
次に異世界へ行くときに持っていこうと思い、購入しておいた胡椒と砂糖、定番である。
「後ダンボール・・・」
売れるかわからないが、コンビニのダンボール置き場がいっぱいで片づけられなかったから、ストレージにしまってあったモノ。
「前回倒した魔物も持ったままだな。」
これも早めに売ってしまいたい、時間止まるから別に腐りはしないのだけど。
「問題はポーションがどれくらいするのか。」
あるかどうかも判らない、いざとなったら現地調達で資金を得ればいいなと、準備は整ったようだ。
「ディメンション・ゲート!」
服の内側に仕舞っていたネックレスが発光し、急激に魔力が消費される。
辺りに魔力の波動が走り、次元の亀裂が召喚される。
そう言えば、異様な魔術の波動ってこれのせいか?と隈のひどい支部長の顔を思い出した。
「まぁ・・・いいか。」
次元の狭間が増えたのも俺のせいだったらどうしようと思いつつも、光り輝く亀裂へと一歩踏み出した。
爽やかな風が青草の匂いを運んでくる。
見渡す限りの草原、若干日が傾き始めている。
「前と同じ草原か・・・?」
特に目立つ目印があるわけでもないのでよくわからないが、小高い丘にワープする。
小高い丘から見下ろす景色には、赤茶色の舗装されていない道が見えた。
「たしかあっちの山のほうに馬車がいってたよな。」
自身にクイックを掛け、砂埃を上げながら山の麓の森へと走っていく。
クイックを掛けても体力が上がるわけではないが、かなりの距離を走ったというのに、たいした疲労もない。
森へと入ると空間把握に何かの気配が引っかかる。
「うん?・・・あそこに何かいるようだけど。」
森の木々の間、藪の中にでも何かいるのかもしれないと、気にせず進むことにした。
「これは・・・」
そう思わず呟いた、かなりの数の気配を感じるが、そこには木しかない。
つまりは木自体が生きているのだろう。
「鑑定!」
マールスエント Lv3
情報の少なさに、あの頭痛でこれかと爺さんに文句を言いたくなる。
とりあえず襲ってくるようなことは今のところない。
森の中で解りずらいが、日が陰り始めているし先を急ぐ。
『『オオーン!』』
獣の雄たけびに体を急停止させる。
続いて聞こえる悲鳴や怒声、まだ空間把握には引っかかっていいないがイベントの気配だ。
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