12話
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あまり広くない部屋の中で、聞き取りは続く。
「なるほど、初めて次元の狭間を見てつい入ってみたと。」
「そうです。」
支部長は舞歌へと視線を移し、確認する。
「人払いの結界は張ってあったんでしょう?」
「えぇ、でも何故か効かないのよ、こいつ。」
そういってじろりと睨む、支部長はふぅと一息吐き考える。
「特異体質ですかね?見たところ霊力もそれほど高いようには見えませんし。」
目頭を押さえ揉むような仕草をしながら、「魔術師にも見えませんし・・・」と付け加えた。
(いいからさっさと巫女をだしたまえ。)
と思いながら、こんな所に巫女がいるわけがないよなと、事務所っぽい部屋を見渡す。
「報告終わったし、換金と補充したいからもういくわ。こいつヨロシクね。」
そう言って立ち上がり、フード付きのハーフコートを着こむ。
「おい、巫女は?」
「・・・あんた、大人しくついてきたと思ったら、そういう趣味なの?」
いや、そんな萌え趣味はないが、ポニテが似合うから巫女服は好きだけど!
「今は巫女様も忙しいので、会うのは難しいですねぇ」
だったらこんなとこに長居する必要はないな、さっさとお暇しよう。
出されたお茶を飲み干し、お菓子を頬張る。
「じゃ、モグ・・俺も帰るわ。モグモグ」
「・・・いいでしょう。もう次元の狭間には入ってはいけませんよ?」
「わかったよ。」
フードを被った舞歌と共にでていく。
「じゃ私はこっちだから・・・その、さっきは、アリガト。」
そういってさっさと走っていった。
相変わらず解りずらい気配、離されないように慎重に尾行いく。
・・・
・・
・
電車に乗り、二駅隣へとやってきた。
駅から出ればオシャレな店や若者向けの雑貨店など、雑多な街を歩いていく。
少し雑踏な路地から離れれば、名店らしきに並ぶ行列が見えたり、柄の悪そうな若者がいる。
そんな中、舞歌が向かったのは1階がカフェで2階が居酒屋3階はカラオケと、どう見ても商業ビルだった。
(まさか一人カラオケじゃないだろうな・・・)
友達いなそうだしな、と失礼なことを考えつつ後を追う。
5階へとエレベーターは上がっていく。
特にテナントは入っていない、いや外からでは解らないといったほうがいいのか。
5階へと上がると、カウンターと待合室になっており、カウンターにいた受付の女性に声を掛けられる。
「いらっしゃいませ。失礼ですがどのようなご用件でしょうか?」
「あー、いや換金?」
「そうでしたか、ではこちらへ乗せてください。査定には少々時間が掛かりますので、あちらの席で座ってお待ちください。」
犬を倒して手に入れた赤黒い小さな石をトレーに乗せ、促された席に座る。
席の前には曇りガラスの自動ドアがあるが、舞歌がいないということは中にいるのだろう。
査定はすぐに終わり、カウンターに呼ばれた、まぁ一個しか出してないしね。
「こちらが査定額です、ご確認ください。」
そういってタブレットに表示されたのは寂しい文字、ただその金額は予想外だが。
「5000ですか。」
「そうですね。あの大きさの物ですと、こちらではこれが限度ですね。」
思わず呟いたのだが、不満があると思われたのか、笑顔であしらわれる。
5千円を貰い、一応確認しておく。
「あの中って入っても・・・?」
「はい。どうぞゆっくりとご覧ください。」
なんともすんなり許可を頂き中に入る。
開かれた自動ドアの中は薄暗く、怪しげな道具で満ち満ちていた。
棚に陳列されている怪しげな札を手にと・・・らない。
(1枚50万!?こっちの数珠は・・・200万??)
雑誌の裏にありそうな怪しげな開運グッズ、どこぞの観光地にありそうな木刀など。
「ここは異世界か・・・」
「違うわよバカ。なんでいるのよあんた・・・。」
不意に後ろから声を掛けられる、空間把握でも感知しない。
「よお、奇遇だな。」
フード越しでもわかるジト目で睨まれる。
「はぁ・・・、ほんとデタラメね。ここも結界があるのよ?」
呆れたように、でもどこか愉快気にこちらを見やる。
「なんでコレこんな高いんだ?」
30万と値札のついた木刀を持ち、突きつけながら訊ねる。
鬱陶しそうに手で横にやり、バカにしたように手を振る。
「あんたのバットより役立つからよ。」
卑猥に聞こえた俺は、悪くない。
お読み頂き有難うございます。
まったり更新ですが、よろしくお願いしますm(__)m
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