プロローグ
小説初挑戦です。更新ペース遅め。
学生椅子に腰かけ、ぼんやりと窓の外を眺めていた。校門の方から遅刻しまいと駆けてくる生徒が二、三人、小さく見えた。三学年に進級してひと月が経ち、この三階から見下ろす景色も日常になりつつあった。3-Aの生徒たちは進学するか、社会人になるかの二択を迫られていた。確固たる目標がある者もいたが、大半はなんとなく大学へ行ってサラリーマンにでもなろうと考えているだけだった。僕もその一人だった。
不意にガラガラガラと窓が目の前をスライドしていった。中と外との境界がなくなり、風が吹き込んでくる。視界の端に何か動くものを感じた。目をやると机の上に女生徒が立っていた。風に煽られたスカートが真っ白な太ももを見せたり隠したりしている。彼女は無表情で窓の外を見つめていた。
「あの・・・・・・」
僕は声をかけようとした、が、直後、彼女は水泳選手のように頭から窓の外へ飛び込んでいった。どすっと鈍い音がした。落ちた。真下の校庭にはピクリとも動かない彼女の体があった。首が本来あるべき位置からずれていて、助かりそうにないのが一目にわかった。5分も経たないうちに死体回収班が来るだろう。
チャイムが鳴った。あちこちに散って話していた生徒たちが自分の席へ戻っていく。最後の一人が席に着くのと同時に扉が開き、先生が入ってきた。タイミングを窺っていたみたいにピッタリだ。足早に教壇に上がり、抱えていた出席名簿で教卓を軽くトントンと叩くと、口を開いた。
「ホームルームを始めます」
いつもと変わらない日常だった。