表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自殺病  作者: 目々くじら
1/2

プロローグ

小説初挑戦です。更新ペース遅め。

学生椅子に腰かけ、ぼんやりと窓の外を眺めていた。校門の方から遅刻しまいと駆けてくる生徒が二、三人、小さく見えた。三学年に進級してひと月が経ち、この三階から見下ろす景色も日常になりつつあった。3-Aの生徒たちは進学するか、社会人になるかの二択を迫られていた。確固たる目標がある者もいたが、大半はなんとなく大学へ行ってサラリーマンにでもなろうと考えているだけだった。僕もその一人だった。


不意にガラガラガラと窓が目の前をスライドしていった。中と外との境界がなくなり、風が吹き込んでくる。視界の端に何か動くものを感じた。目をやると机の上に女生徒が立っていた。風に煽られたスカートが真っ白な太ももを見せたり隠したりしている。彼女は無表情で窓の外を見つめていた。


「あの・・・・・・」


僕は声をかけようとした、が、直後、彼女は水泳選手のように頭から窓の外へ飛び込んでいった。どすっと鈍い音がした。落ちた。真下の校庭にはピクリとも動かない彼女の体があった。首が本来あるべき位置からずれていて、助かりそうにないのが一目にわかった。5分も経たないうちに死体回収班が来るだろう。


チャイムが鳴った。あちこちに散って話していた生徒たちが自分の席へ戻っていく。最後の一人が席に着くのと同時に扉が開き、先生が入ってきた。タイミングを窺っていたみたいにピッタリだ。足早に教壇に上がり、抱えていた出席名簿で教卓を軽くトントンと叩くと、口を開いた。


「ホームルームを始めます」


いつもと変わらない日常だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ