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桃太郎舞台裏

作者: 芥4653

「では、父上、母上。行って参ります」


 ―――……昔々、ある所に、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。


「おお、桃太郎や。気を付けてな」


 ―――おじいさんは山へ芝刈りに…


「桃太郎や、これを持ってお行き」


 ―――おばあさんは川へ洗濯に行きました。


「これは…吉備団子ですか!…ありがとうございますッ」


 ―――おばあさんが川へ洗濯をしていると、川上の方からどんぶらこっこーどんぶらこっこー。それはそれは大きな桃が流れてきました。


「大事な息子の門出なんだ。道中腹が減ったらお食べ」


 ———おばあさんはそれを川岸に寄せると、これはじいさんも喜ぶぞ、とそれそれは大きな桃をタライに入れ、抱え上げると持ち帰りました。


「ワシがお主にやったそれは、昔使っておったモノじゃが、業物じゃ。切れ味は保証する」


 ———おじいさんが山から芝を刈り終えて帰ってくると、それはそれは立派な桃がありました。


「…ッ!!何から何までありがとうございます!!私は、父上と母上の息子であることを誇りに思います」


 ———おじいさんが桃を割ってみると、中から一人の可愛らしい赤ん坊が出てきました。


「では、父上、母上。行って参ります」


 ———桃から生まれたその赤ん坊は、【桃太郎】と名付けられました。


「ああ、気をつけての」


 ———その赤ん坊は、やがて鬼を退治する宿命を背負うことになります。


「無理はせんようにな」


 ———そして桃太郎は大きくなり、鬼退治へと旅立ちました。


________________________



「桃太郎…無事じゃろうか」


「———おじいさん…そんなに行きたいのなら、行ってきてもいいのですよ?」


「…いきなりなんだ、ばあさんや」


「赤ん坊は斬らず、桃だけを斬る太刀捌き―――まだまだ衰えてはいないではありませんか」


「——————もう昔のことだ……。それに、海底の姫に爺にされ、最愛の娘を守れなかったワシ等に…今更何ができる……?」


「………」


「いつまでも、年老いた人間が出しゃばるのも違うだろう?」


「…そうですね」


「時代は変わる。未来は、あの子に託そう」


「……はい」


 これは桃太郎が鬼退治に出ている間に交わされた、二人の物語である。









童話って奥が深いですよね!!

ご愛読ありがとうございました。

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