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スコール  作者: aotohana
9/11

凍雨


あいつとの関係がなんかぎくしゃくしてる。

この間用事あるって断ったからか?


けど、空に今までみたいに


「うちこいよ」って言えるわけない。


俺に会うと、あいつは逃げようとする。

よく意味わかんねぇ俺は、空のクラスの奴に声をかけ呼んでもらった。


廊下…


「おい、何怒ってんだよ」


「別に怒ってない」


目を合わせようとしねぇし。

ぜってぇ、なんか怒ってるよな。


「こないだ、俺用事あったからか?」


……。



「違うけど…あの日…」


「ううん…なんでもない。私次移動だから行くね」


教室に入って行ってしまった。

なんなんだよ、いったい。







もやもやする。

こんな私知らない。可愛くない。


正門…今日は私の方が早かったみたい。

寒い…早く来ないかな、航…。


遠くからやってくるのが見えた。

私に気づくと、どこかほっとした笑顔を見せる。


「お前…いねぇと思った」


揺れる瞳で彼は言う。

普段強気なクセにこういうのってずるい。


無視してられなくなる…。




「あの日…まどか先輩と何してたの?」


あの日?…合宿の日のこと言ってんのか?

心臓が大きな音をたてて脈打つ。


「いや…俺…なんも言い訳できねぇけど…けどさ…」


…。


「最低!!…なら、私ともう付き合う意味ないじゃん」



空…泣きながら怒ってる。

けど、俺のしたことだから…どうしたら泣き止むか分かんねぇ。


黙ったままの俺に…空は突きつけた。

ずっと分かっていた答えだった。


「航、別れよ…私もう無理だよ」





まどか先輩とのこと…


「違う」


そう彼からの否定の言葉を聞きたかっただけなのに…


ひどいよ、航。





俺…先輩が卒業したらこの関係を終わらすつもりでいた。

気持ち伝えるって決めてた…じゃなきゃ結局諦めきれねぇし。



けど、終わりはなんかあっけなかったな。

過去の間違い…

俺だって、後悔してる。

けど、その事実は消せなくて。





3月…


明日は卒業式。

私が別れるって言わなかったら、明日までは航と付き合えていたのかな…。



けど、航もまどか先輩と浮気したってことがとてつもなく、悲しかった。

祐也先輩と同じじゃない。

結局、私とは航も本気じゃなかったのかな。


この1ヶ月…航と口聞いてない。

こういう時、違うクラスなのは救いだ。





私と別れたんだし、またすぐ前みたいに誰かと遊ぶのかって思ったけど…


航の隣に女の子の姿はなかった。

中学の頃に戻ったみたいに、男子とふざけあって笑っていた。


自分から言ったのに、どこかほっとしてる。




「なにぼけっとしてんだよ」


2階から外を眺めていると、佑都に頭を叩かれた。


「また、お前空ちゃん、みてんの?」


「ちげーし、俺ら別れたから」


「うわ…マジで?けど、なんで?」



なんでって…



「昔の浮気」



「昔のって、なんだよそれ」


佑都は笑った。




空とは少しずつ仲良くなってるって思ってたんだ。


けど…


あいつは、まどか先輩と俺が付き合ってるって勘違いしてて…それ知って、やっぱ俺のことそういう風に見てねぇんだって分かった。


高1の夏…

部活の合宿が、テニス部と一緒になった。

あいつとの関係は進展しなくても、ただ一緒に過ごせるだけでも、嬉しいって思った。


その日の練習が終わる頃…洗濯物出すの1個忘れてて先輩に聞いたら、洗濯機に入れていいって言われて…


そしたら空と祐也先輩がキスしてた。



なんかどうでもよくなって…

けどマジでへこんで…


まどか先輩にそんな時、声かけられた。

先輩には、年上の彼氏がいて、よく相談されていた。俺の兄貴とたまたま同じ学校だったから、余計に。


それと…俺の空への気持ちがバレてた。

部活の時、空のこと見てたから分かったって。

俺…別にそんなに見てねぇと思うんだけど。


だから、たまに俺と空のこと聞かれてたりした。

よく言われてたのが、


「意気地無し」だな。

さっさと告白して砕けろとか、いつも強気なクセに草食だとか…マジでまぁ色々。


その日も…先輩の彼氏への不満を聞いた。

どうやら、彼氏が浮気っぽいらしく。


俺は…半分うわの空だった。

あいつと先輩の姿だけが浮かぶ。


「ねぇ、航…私たち付き合っちゃおうか?空ちゃんどうせ脈なしなんでしょ」


先輩が近づいてくる。


「なぁ、先輩…俺やっぱ無理なんかな?」


!?


いきなり先輩が俺の唇をふさぐ。

キスしているうちに…先輩の吐息が漏れて…


俺の手をつかんで…自分の胸に触れる…。





「どけよ」


俺はまたがっている先輩を押し退けた。

先輩はそのまま部屋を出ていった。


なんだよ…これ。

心臓がすげぇ勢いで脈うっていた。


息を思いきり吐き出した。

罪悪感…何に対して?


空と別に付き合ってるわけじゃねぇし、俺がこんなん感じる必要ねぇって思うのに…


どうでもよくなって、流されそうになった自分が

どうしようもなくて…俺を最悪な気分にさせた。




そんな状況、空に見られるなんて思わなかった。


「最低…触らないで!!」


軽蔑したような俺を見る空の目がキツかった。

言い訳できねぇし、何て言っていいか分からなかった。


合宿の日を境に、空は俺とのかかわりを切った。


俺…自分がしたことなのに…

なんで空分かってくんねぇの?って腹が立った。



あいつのこと忘れるために…告ってきた女と遊んだ。キスをねだられたらしてた。こんなんたいした意味ねぇって。



拗ねて、ガキくさくて。マジ最悪だった。




卒業式…祐也先輩はいなくなる。


けど、先輩がいなくなっても、結局なんにも変わんねぇんだよな。


2階から、窓の外を眺める。

花束を持った卒業生は、写真を撮ったり、仲間と学校への別れを惜しんでいた。



女の人だかりに囲まれてるのは、祐也先輩だ。たぶん、ボタンとかやってるっぽい。あと写真頼まれてる。



こうやって見てっと、穏やかで優しそうな先輩なのにな。二股って…


まぁ、俺も人のこと言えねぇのかな…。


先輩が…ふいに視線を移す。

その先にいるのは…空。嘘だろ…



俺…気づいたら鞄つかんで、一気に階段降りてた。





「空ちゃん…」


帰ろうとした時…祐也先輩から声を掛けられた。

平然と話しかけてくる先輩の無神経さに腹がたった。


「ちょっと話いいかな?」


また笑顔…気持ちが落ちてしまう。


「先輩卒業おめでとうございます」


私は笑顔で答える。私の反応に表情がちょっと曇ると…


「空ちゃん、たくさん傷つけてごめんね。最後にもう1度謝りたくて…俺さ…」



「先輩…私、今航のこと大好きで、航しか見えないから…先輩からされた色んなこと、もう忘れてます。本命の彼女は大事にしてくださいね」



先輩が口を開きかけた時…



息を切らして走ってきたのは…



航…なんで?




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