薄明光線
★
雑貨屋…
茜と佑都がにやにやしながら俺を見ている。
あいつらぜってぇ面白がってるよな。
ファミレス…
「いつのまに、空ちゃんとそういうことになってたんだよ、お前」
「空ちゃん、先輩と別れたから?」
甘そうなパフェをつっつきながら、茜も聞いてくる。
「まぁな…そんなとこ」
俺はめんどくせぇから、適当に答える。
「あの…さ、言いにくいけど…祐也先輩、空ちゃんとより戻したいみたいだよ。」
は!?何いまさら…ふざけんなよ。
「ほら、高校入ってから、空ちゃんモテてるから、先輩惜しくなったんじゃない?」
……。
「あぁ、確かに周りでけっこう気にしてる奴いるわ。あ…コウ、お前取られんなよ」
佑都が忠告する。
……。
「もう、俺誰にも渡す気ねぇし」
☆
「これ、やる」
別れ際…航から小さな袋を渡された。
あけてみると、星形の小さなネックレス。
石がついてて可愛い。
「どうしたの、これ?」
「今日お前誕生日だろ、気にいんねぇかも知れないけど…」
「あ…ううん、すごく可愛いよ。ありがと」
誕生日…知ってたんだ。
なんか嬉しいかも…。
こういうとこ、マメ。付き合った他の彼女にもしてたのかな…まどか先輩とか。
気持ちが曇る。ううん、気にしない。
「空…今日俺んち来いよ」
「…うん」
☆
コウの部屋。
何度か来ている。最初は緊張したり…気まずかったりしたけど…
ゲームしたり、雑誌をみたり、一緒に勉強したり…だんだん慣れて、楽しい時間になっていった。
DVDを見てたら…
「なぁ、さっき俺やったのつけていい?」
「ネックレス?いいけど…高かったんじゃないの?」
「いや安物、それにバイト代でたし」
私からネックレスを受けとると、航は私の後ろにまわり、つけようとする。
「バイト?毎日部活あんのに、いつしてたの?」
「ん?あぁ、土日で部活ねぇ時だけな、中3に教えてんの、俺先生」
得意気に言う。嘘…航って頭いいの?
「嘘…コウ勉強教えられんの?」
「失礼な奴だな…俺数学だけは順位一桁だし…って集中できねぇから、黙れよ」
航の息が首すじにかかる。心臓また…はやくなる。
「できた…ほら」
私の胸元には小さな星形が光る。
「可愛い…ありがと」
!?
そのまま背後から抱きしめられた。
「先輩の前でもそれしてて…周りに聞かれたら彼氏からもらったって言って」
背中から伝わる航の鼓動もはやい。
「そしたら…先輩も焦っから」
…そうだった。
見返すの彼は手伝ってくれてるだけだった。
☆
「空ちゃん、いいかげん無視しないでほしいんだけど」
ネットを片付けていたら祐也先輩がやってきて、手伝おうとする
「1人でできます。それに、先輩と私もう何も関係ないですよね」
私は冷たく言った。
この人いったい何なんだろう…
あの日…合宿の日、無理矢理キスされて、それ以来無視してた。だって勝手すぎるし…これ以上先輩を嫌いになりたくなかったから。
初めて好きになった人だから。
「ねぇ…それ、そのネックレス、最近ずっとつけてるけど航くん?」
「そうです、彼氏にもらいました」
先輩は大きなため息をつく。
「俺…忠告したのに、なんで付き合ってんの?あん時俺ちゃんと言ったよね」
あの時…
そう…河原でビールを飲んだ日。
あの日…先輩に言われたこと。
合宿の時から、先輩は私の前に度々現れるようになった。無視してたのに、しつこくて…
「先輩は、私とまた付き合っても絶対浮気しますよ、女ぐせ悪いし」
言い過ぎたかなって思った…そんな自分が間違いだったってすぐ気づく。
「女ぐせ悪い?それは…空ちゃんの幼馴染みだろ、航くんだっけ?彼…空ちゃんにも言い寄っただろ…中学ん時から一緒にいるの、俺知ってたし」
先輩は感情的になって、訳わかんないことを言い出す。
「先輩…何言ってるんですか?」
「だから、俺だけ責めんなってこと。空ちゃんだって浮気してたんだろ」
「最低…航は先輩とは違います」
怒りで震えるなんて初めてだ。
感情が抑えられない。
「やっぱ可愛くないな…航くんにも言われるでしょ」
…。
私は何も言えず、走って逃げた。
☆
もう心が壊れちゃいそうなぐらい、ぐちゃぐちゃで…
そんな気持ちを航が救ってくれたんだ。




