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スコール  作者: aotohana
3/11

かすみ雲


「先輩はお前のそういうとこ可愛くねぇって」


航の言葉はキツかった。


「 俺と付き合えよ」


なんか何にも分かんないくせにって…腹が立って…。

付き合うって言っちゃったけど…。


何がなんだかさっぱり分かんない。

航…私のこと心ん中ではきっと笑ってる。

からかってるんだ…ほんと最低…。




「今日部活終わったら、正門とこ行っから」


話かけてくるわけでもないし、昨日のアレって冗談だよね…


そう思ってたのに、部活に行こうとしたら航に声をかけられた。



部活中、そのせいでなんか落ち着かなかった。

正門…夕日に照らされた背の高い陰。


「おつかれ」


航…ほんとにいたし。


「なにぼけっとしてんだよ?ほら、帰るぞ」


二人並んで歩く。会話ないし…気まずい。


「あの…さ、からかってんの?」


勇気を出して聞いてみる。



「何?別にそんなんじゃねぇし」


怒ったような口調の航。

ますます分からない。


「安心しろよ、祐也先輩卒業するまでだから」


また、あの時の表情だ。

中1の時…先輩のこと聞かれて航には関係ないって言った時…


「そっか…そうだよな」


そう言って笑った顔。





「なぁ、これから帰れっ時一緒に帰んね?」


「別にいいけど…コウ今私といていいわけ?」


最近の航はいろんな子と付き合っては…別れての繰り返しだった。かなり遊んでるっぽい。



「あぁ…平気。俺今彼女と別れたばっかだし」


へらっと笑う。




正門…また航いる。

先輩を見返すって言ってたけどどうするんだろう…


「ごめん、遅くなった」


「お前、試合でスカってただろ」


航は思い出したのか吹き出す。


「な…なによ、コウだってシュートはずしてたじゃん」


テニスコートからは離れてるけど、校庭…今日はサッカー部がメインで使ってたから、つい見てしまった。


「うっせぇよ、ってか空俺のこと見てたの?」


顔をのぞきこまれる。近いし…


「ち、違うよ、たまたま…だから」


私は慌てて航から離れた。


「だよなぁ、お前が見てんのは先輩だもんな」


……。


!?


急に引っ張られる。肩に航の腕が乗る。

何!?


彼の視線は歩いてきた集団へ向いている。


「さようなら」


航はその集団に声をかけていた。

集団の中には祐也先輩の姿があった。


「おつかれ…さまでした」


私も挨拶をする。まだ先輩の顔よく見れないのに。


「空ちゃん…おつかれさま、また明日ね」


先輩は何事もなかったかのように…笑いかけた。



……。




空と一緒に帰るようになった。

俺が無理矢理始めたこの関係。

バカなことしてるっては分かってんだけどな…。


空と話してたら、集団の中にあいつの姿を見つけた。あいつは、空とは別に彼女がいたらしくて…。


こいつがもう先輩のこと、何とも思ってねぇって、見せつけるためにやったのに…


何挨拶なんかしてんだよ。

ほんと腹立つ。




「何話かけてんだよ、未練あんのバレバレ」


航は呆れたように、大きくため息をつく。


……。なんで先輩は笑えるんだろ。ちゃんと本命の彼女がいるから?


「空…今日うち来いよ」


「え?なんで?」


「なんでって…一応付き合ってんだからいいだろ」


半ば無理矢理、彼の家に連れて来られる。

私の家と割りと近いんだよね。河原の橋を挟んですぐ。





「あ、兄貴おかえり、あれ空さん?なんで兄貴と?」


部屋からでてきた弟くんに会った。


「高貴、邪魔すんなよ」


1つ下の高貴くん…中学の時以来だ。新しくできた西校に行っているらしい。



「あぁ、最近まどか先輩こねぇと思ってたら…そういうこと」


……。


「高貴…余計なこと言うなよ、空こっち」


彼の部屋の方へ引っ張られた。





少年マンガやらCDやら重ねて無造作に床に置いてある。テレビにベッド、小さなテーブル。



「そこ座ってて、なんか飲みもん持ってくっから」


階段を降りていく音。


はぁ…なんか落ち着かない。弟くんの言葉…やっぱりまどか先輩もこの部屋来てんだ。なんで私、航の部屋に来てんだろ。


ふいにあの日の河原でのことを思い出してしまう。

あんなキス…



ガチャ


扉のあく音にびくっとなる。


「何びくついてんの?」


不思議そうに私を眺めている。小さなテーブルにはグラスに入った2つの麦茶が置かれた。


「じゃあ、やろうぜ」


無邪気にテレビの下からゲーム機を取り出す。


「おまえ、こっちな」


コントローラーを渡された。





気づいたら2時間たってた。窓の外も暗くなっていた。


アクションゲーム…初めてやったけどすごく面白かった。航には下手って言われたけど。


さっきまでゲームに夢中だった彼が私をみる。


「ど?少しはスカッとした?」


あ…そっかさっきの…だから誘ってくれたんだ。


「うん、ありがと。私そろそろ帰るね」


「送る」


河原を並んで歩く。

なんでだろ…さっきまで悲しかったはずなのに…


私笑ってる。

そんな私を見て、彼も笑った。






親友の美咲が私の前で呆れた表情を見せる。


「で、何?どうなってんの?」


「え?だから…先輩とは別れて…」


状況を説明しようとしたんだけど…


「いや、そこじゃなくて、なんで航くんと一緒に毎日帰ってんの?」


「あ…あのね…なんか付き合うことになってね…」


「なんで?空、あいつのこと嫌ってたじゃない」


「そう…だけど…、先輩のこと見返すの手伝ってやるって。航は本気で付き合ってるわけじゃないと思うし、平気だよ」


また美咲は大きくため息をつく。


「航くん遊んでる奴だし、騙されないよう気を付けなよ、あいつ手早いから」




手早い?

そんなことないっては言えない…あの日のこと知ってる。


高1の夏…


まどか先輩と航は愛し合っていたから…。

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