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スコール  作者: aotohana
2/11

霧雨


航とは幼なじみだ。一応…。

だって仲良くないし。


幼稚園の時はたぶん一緒に遊んだこともあったと思う。あんま覚えてない…はっきり記憶があるのは小学生からだ。あいつは、女子から人気があった。



好きな子の話になると、必ず名前があがる。

「空ちゃんは幼稚園から一緒でいいね」ってよく言われたっけ。


航はいろんな子といつもふざけあってて、楽しそうだった。私もまざりたいけど、今とは違って引っ込み思案だった私はなかなか話しかけることはできなかった。



あんまり話したことはなかったけど、人気者の彼にどこか憧れていたのかもしれない。



私の中で…勝手に彼のイメージを作り上げていった。


けど…実際に話せるようになって知ったこと。

最低な奴…


母から買ってもらったお気に入りのゴムをつけていった日…友だちも可愛いってほめてくれた。

嬉しかった。その時気になっていた男子にも言われたから余計に。



可愛いって言われて単純に喜んだ私もバカだけど…


「可愛いくねぇよ。空こんなんつけてもブスのままだぞ」


こんな奴だったなんて。




なんで、こんな奴がもてるんだろうって思った。

みんな騙されてる。ちょっと顔が良くて、背が高いだけじゃない。


「お前また背伸びただろ、でけぇよ。女じゃねぇな」


私にはこんな態度なクセに…他の子には優しい。

腹立つ。





中1の時、私にもちゃんと好きな人ができた。

部活が一緒だった祐也先輩、1つ上の先輩で笑顔が素敵だった。何よりも優しい。


テニス部、男子と女子に別れて練習するけど…試合とか交流はあった。


カゴに入った大量のボールを運ぶのは1年の仕事で…けどたまに先輩が運んでくれたり、男がやるもんだって手伝ってくれてた。


女の子扱いがどこかくすぐったかった。




部活が終わった後…先輩に声をかけられた。

一緒に帰ろうって…。

何話したか、ドキドキしすぎて覚えていない。

別れ際、先輩から告白された。


まさか私なんてって思ってたから、驚いたし、

すごく嬉しかった。



先輩と付き合うようになって…すぐ噂が広まった。


「なぁ、お前…祐也先輩とさ…その…付き合ってんの?」


いつも強気なクセに…航の瞳がなんか揺れてる。


「付き合ってるよ、コウには関係ないでしょ」



またなんか意地悪なこと言ってくると思ったのに…



「……そっか、そうだよな」


彼は私に笑顔を向けた。

それは初めてみる航の表情だった。




それから航は私に構わなくなった。





航の隣には決まってある女の子がいるようになった…3年のまどか先輩。先輩は美人で派手目…学校では目立つ存在だった。付き合っているって美咲から聞いた。



航のこと好きな子けっこういたのに…男友だちとばっかつるんでるから、てっきり恋愛とか興味ないんだと思ってた。


まどか先輩みたいなのがタイプだったんだ。

なんか面食い…。



先輩が卒業するまでは、よく一緒にいるのを見たけど…卒業後どうなったのかは分からない。




中2…航とはクラスは別になっていた。


祐也先輩と私の関係はというと…とにかく彼は優しかった。話もよく聞いてくれるし…怒ったりもしない。毎日が楽しかった。


けど…


先輩は誰にでも優しくて…だから人気があって、知らない先輩から嫌味を言われることも度々あった。



「ほら、あの子だよ…祐也も趣味悪いね」


「祐也はもっと可愛い子が好みだと思ってた」


「まぁ、すぐ別れるんじゃない」



女子の先輩は私にも聞こえるようにわざと言う。

そういう感情をこわいとただ思った。


「空…ひがみだから、気にしなくていいよ」


いつも親友の美咲が慰めてくれた。

別に平気。先輩はわかってくれてる…そう思ってたのに。





帰り道…


「ねぇ…空ちゃん、もう少し愛想よくできないかな?」


「え?」


先輩が何を言っているのか理解できなかった。


「いやさ…ほら、友達が空ちゃんのこと文句言ってて、やめた方がいいとか俺散々言われて困ってんだよね」


笑顔で言う先輩に戸惑う。


「迷惑…かけましたか?」



「いや、迷惑とかじゃなくてさ…えっと…俺空ちゃんってもっと可愛い子かと思ってて…」



……。


「あ…別れるとかじゃないんだよ…ただちょっと俺も受験だし卒業までさ…」



こんな時まで先輩笑ってる。

優しい人…ほんとに?

私そう思ってたんだよね。





「なんかおちてんの?」


3階の廊下…ぼんやり窓の外を眺めていたら、

聞き覚えのある声が背後から聞こえた。

振り向くと、航がいた。久々に話す。



「私ってやっぱ可愛くないよね」


……。


紙パックのストローを食わえたままのコウは不思議そうな顔で私を見る。


「まぁな…何?可愛いとか言われてぇの?」


ほんと腹立つ。聞いた私も悪いけど…


「けど…可愛いとこもあんじゃねぇの?俺は知んねぇけど祐也先輩は知ってっだろ。それに…ひがんでる性格ブスな奴等より、お前の方がマシだから、安心しろよ。」


彼もまた笑いながら言う。


私変かも…コウの言葉に気持ちが軽くなってしまった。



「なんか、コウ…ありがと」


「別に。じゃあな」


航は教室に入って行った。





あの日から、先輩の受験が終わるまで会えなくなった。12月…クリスマス、もしかしたらその日だけは会ってくれるかもって思ってた。


でも叶わなかった。

しょうがない…春までの我慢。

そう思って気づかないフリしてた。


「なぁ、お前1人で帰んの?祐也先輩、さっき屋上にいたぞ」


靴に履き替えてたら、コウに声をかけられた。


「そう…。けど、先輩には会えないから…」


「なんか変じゃね?最近、一緒にいねぇじゃん」






結局、なぜか航と一緒に帰ってる。


「ねぇ、コウはまどか先輩と会ってる?」


「まどか?あぁ、たまにな。高校どうせ一緒だからまた会えるし。先輩、またマネージャーやってんだ、で俺にサッカー部入れってさ」


航は寂しくないのかな…1年間しか学校一緒にならないし。



「私はさみしい…祐也先輩が遠い」


……。


「よく分かんねぇけど、早く仲直りしろよ。お前がそんなだと調子狂うし…」


通りかかった自販機の前で彼は立ち止まる。



「しょうがねぇから、やる。お前これ昔から好きだろ」



手に落とされたのはいちごオレ。

なんで私が好きって知ってんだろ。

胸がぎゅってなる。嬉しいような、どこかせつない。



「あの…航…」


ありがと…

私に向いていた彼の視線が遠くをみる。



「空ちゃん、いた、よかった」


祐也先輩?なんで?



「よかったな…じゃ、俺行くから」


航は私に笑いかけると、背を向けて去っていく。




「先輩…会えないんじゃなかったんですか?」


「うん、けどクリスマスだし。空ちゃん俺に会いたかったよね、ごめんね。受験が終わるまでだから。」



また先輩は笑ってる。

前まですごく好きだと思った笑顔のはずなのに…嫌な気持ちになる。なんでだろ…。


私が会いたかったんじゃなくて…

聞きたいのはそうじゃなくて…


先輩は私に会いたかった?


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