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スコール  作者: aotohana
11/11

青天


空にちゃんと触れるのは2回目だ。

初めてん時は…空に気持ちねぇって思ってたから、無理矢理したって思ってて…



けど、今は違くて…

空も俺に気持ちがあって…そう考えるとたまんなくなる。



今日はひどく幸せで…

俺は何度も…空にキスをして…

彼女は可愛すぎる顔で何度もないた。




それから、1週間後のある日…

航の家の前でまどか先輩を発見する。


もう、昔のことなんて関係ないってそう思うのに…

心が曇る。ざわざわ揺れる。


「先輩!?何やってんの?」


航も普通に話しかけてるし…


「あ…コウ、よかった。これ、高貴に渡して置いて。チャイム鳴らしたんだけど、いないみたいだし」


先輩の笑った顔…キレイ…

胸が苦しくなる。私今どんな顔してるんだろ。


「せっかくだし、中入ってあいつ来るまで待ってれば?」


先輩は私の様子を伺う。


「平気なんで、先輩も一緒に…」


私ちゃんと笑えてる?






「あぁ…マジかよ、高貴帰ってっぞ、靴あるし」


玄関を入ると、革靴があった。その隣に女物の靴。


「高貴~、彼女きてんのか?ちょっと降りてこいよ」


航はおかまいなしに、大きな声で呼ぶ。

しばらくして…階段を降りる音がする。



「兄貴…何!?こないだ邪魔した嫌がらせかよ…」


不機嫌そうな声の高貴くん。



「って、空さん?…と先輩も?」


私たちもいることに気づき…弟くんはばつの悪い顔をしている。


「はい、こないだ言ってた本あげるよ」


渡していたのはサッカー関係の本だった。


「マジで?先輩サンキュー」


弟くんは無邪気に喜ぶ。


「先輩、俺にはこういうのくれたことなかったよな」


いじわるそうにコウが言うと


「あんたは頭で理解するより、身体で覚える人でしょ、やったってコウはこんなん読まないし」


3人で笑いあってる。

私なんか入れない…。


「あ…俺部屋戻るから、先輩、兄貴に茶でも出してもらって」


そういうと彼は2階にあがっていってしまった。




リビングでなんで3人でお茶してるんだろ。

時折、先輩の視線を感じる。


航はしばらく世間話をした後、部屋に行ってしまった。まどか先輩が元サッカー部顧問の住所を知りたいらしく、それを探しに行ったのだった。



「空ちゃん、ごめんね」


突然先輩から謝られて驚く。


「私ずっと謝りたくていたの…コウと私…」


やめて…聞きたくない。

目頭が熱くなる。


「私…先輩と航が合宿でしてたのみて…知ってます」


「うん、ごめんね。私が無理矢理コウにキスして…」



無理矢理って…?



「コウから聞いてない?私の彼氏浮気ばっかで…私もってヤケになって…」


先輩の瞳が泣きそうに揺れる。


「あのとき、私、コウといいかなって誘って…けど結局冷たく突き放された。これでも、彼に許してもらうまで時間かかったんだよ。」


先輩は揺れる瞳のまま、無理に笑った。


「何も…聞いてない…です」


「コウはああ見えて、一途だしね。間違いでも、無理矢理でも他の女とキスしたのが、許せなかったんじゃないかな。」


……。


「けど…航は色んな子と付き合って、軽くて…」


「うん…コウ、空ちゃん諦めるのに必死だったからね。けど今一緒にいるってことは、2人うまくいったんだね…よかった」


『よかった』最後にそう言った先輩は優しい瞳をしていた。





「先輩…あった、これでって…何二人で驚いてんの?」


紙を手に入ってきた航が不思議そうに私たちを見る。私たちは慌ててごまかした。


「じゃ、私、お邪魔だから帰るね」


先輩はそういうと、帰って行った。

私の耳元であることをささやいて。





航の部屋…


「なぁ、お前何にやけてんの、気持ち悪りぃ」


「別に…」



だって…



『拗ねてバカやってたみたいだけど、キス以上はあいつ誰ともしてないよ。もちろん私とも。コウは、空ちゃんが初めてだから…ね』


まどか先輩はいたずらっぽく笑った。



心のもやもやが一気に晴れていく。



「なに見てんだよ」


航は照れて私から目をそらす。

だってさ…全然そんな風にみえないのに…

一途って…。


今さら…すごくドキドキする。


……。


「ねぇ、航」


隣で雑誌をぱらぱらめくる彼を呼ぶ。


「なに?」




「大好き」


彼に私からキスをする。


!?


「なっ…お前何して…」


みるみる彼の顔は赤くなった。







★☆


空(航)と…こんな日がくるなんて思わなかった。


誤解して、すれ違って…仲直り。

けど、またケンカして、素直になれなくて…


分かってほしくて、悲しくて…嫉妬して…

けどやっぱり好きで一緒にいたくて…

幸せで…苦しい



俺(私)の心はころころ変わる。

まるで天気のようだ。


雨が降ったり、曇ったり、風が吹いたり、雷がなったり…けど、いつかは晴れる。



今日は青天…



俺(私)たちは晴れ渡る空の下、もう一度キスをした。


end


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