コマーシャルの記憶(一)謎の子守唄の響き
今まで印象に残ったコマーシャルというと、それこそ沢山ある。
例えば、AC(公共広告機構)の地球温暖化や覚醒剤撲滅、発展途上国の飢餓など社会問題を訴えるコマーシャル。
これらは一見してゾッとさせられるようなインパクトのある映像が多く、ネットでもちょくちょく話題にされている。
私も「アーヨーネーエ」というアカペラのソロの女声の歌い出しで始まる、発展途上国のワクチン不足を訴えるコマーシャルは見掛ける度に背筋が寒くなったので覚えている(私は『発展途上国の飢餓を訴えるコマーシャル』と記憶していましたが、改めてYouTubeで見直すと、『ワクチン不足』だったので訂正します)。
恐ろしくも哀しい異国の子守唄(に聴こえる)が流れる中、胸のはだけた幼い黒人の子供がほぼ空になった皿からなおも掬って食べようとしている(これも『半裸に近い子供が視聴者側を見上げている』と記憶していましたが、改めてYouTubeで見直すと違っていたので重ねて訂正します)。
痩せ細った小さな体もそうだが、何よりその眼差しの虚ろさにこの子の置かれた状況の絶望的な荒廃が透けて見える。
多くの日本人にとって耳慣れない言葉、メロディーで歌われているBGMが
「この子は遠い異国にいる」
「日本人の私たちがすぐに手を差し伸べられる場所にはいない」
「恐らくはもう死んでいる可能性が高い」
という絶望感や無力感を増幅させる。
このコマーシャルはBGMの歌い出しから「アヨネ」という通称でネットでも「怖いCM」の定番の扱いになっているようだ。
私もこのコマーシャルを見てから「悪魔の手鞠歌」とかいうタイトルを目にすると、「アーヨーネーエ」というあの女声の歌声が耳に甦るようになった。
このBGMの曲が実際の所は何語でどういった意味合いの歌詞なのかは未だに分からない。
しかし、このコマーシャルに関してはその謎めいた響きが肝であるようにも思う。