表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/123

私を作った漫画たち(一)魚喃キリコ作「ストロベリー・ショートケイクス」

※monogatary.comのお題「私の好きな漫画」から起稿したエッセイです。

 私は子供の頃からリアルタイムで有名どころの漫画でも未読の作品が多く、決して漫画ファンとは言えません。


 それでも、「好きな漫画」と聞くといくつか浮かぶ作者や作品があります。


 例えば、学生時代は魚喃キリコさんの作品が好きで数冊買いました。


 映像化された「ストロベリー・ショートケイクス」もロードショーで観ました。ご存知の方も多いかもしれませんが、摂食障害に苦しむイラストレーターの塔子は作者の魚喃さんご本人が演じられています(演技者としてのクレジットでは『岩瀬塔子』)。


 「ストロベリー・ショートケイクス」の塔子や幼なじみのOLちひろを始めとして、魚喃さんの作品は地方から上京した若い女性の悩みや痛みをどこか露悪的に、しかし、決して断罪調にではなく描いたものが多いです。


 福島から上京した学生時代の私には作中の女性たちがどこか自分の分身や同級生の友達のように近しく感じられました(ちなみに魚喃さんも新潟出身で福島と比較的近いです)。


 「ストロベリー・ショートケイクス」の漫画版でも映画版でもホテトル嬢の秋代は正に心身を一へらずつ削られるような日常を送っています。


 職場でも恋愛でも挫折を強いられるOLのちひろにも根深い自己否定感が見えます。


 魚喃さんご本人の投影と思われる塔子も一見イラストレーターとして時代の最先端にいるようで実は中年男性の編集者からは侮蔑的な応対をされる等、常に傷を負っています。


 フリーターの里子には唯一明るさが見えますが、これは他の三人より年少の彼女がモラトリアム的な立場にいるからこその余裕にも思えます。


 作者さんにそうした意図があったかは不明ですが、「現代日本女性の生き難さ」というジェンダー問題に目を向ける契機になった点でも印象深い作品です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ