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ありふれた人生に終止符を  作者: 雑音
プロローグ
8/10

「人は非道か否か」




さて、夏の暑さから解放される筈もなく、午後の授業をあのくそ暑い教室で受ける気の無い私は音楽室へと来ていた。


何故か。

何故かと問われればただ、ここが一番まともだからと言うしかない。


机はなく、椅子しかない音楽室。

今日、月曜日の午後はどの学年もクラスも音楽が無い。

それを生徒で知っているのは私だけだろう。

たまたま月曜の昼休みにここで転寝をしていたらいつの間にか放課後まで寝倒していて気付いたのだ。

本当に偶然。


まあ、どこかが授業変更していれば被る可能性もあるが、音楽なんて即効潰される教科の一つだから、どこかの授業が入れ替わりでないかぎり無くなる方が多いだろう。


だからといってなんだと言う訳でもないが、ここは静かで良い。


運動場で体育をしている時があるが、その声さえ無視すれば程良く快適な空間なのである。

遮るものが無いため、窓を開け放てばそこそこ良い風が吹き込んでくるし、絨毯だから寝転がる事も出来る。


つまり、サボるのに恰好の場所なのだ。


教室ではサボっている私に気付かず授業が進められている事だろう。

こう言う時、本当に影が薄くて助かると思う。

何もしなくても、とりあえず出席扱いになるし、探されない。

前に結構悪い感じの人がサボっていた時、先生が授業を放棄してまで探していたことがあった。

家に帰ろうとしていたその者を引きずってまで教室に連れ帰って来た。


そんな面倒で、うざいことがないのだから楽でいい。

クラスで何人気付いているだろうか。

私だって、誰かが休みの時でも気付かないことが結構あるから誰も気づいてないだろう。


人間はこう言う時非情であると感じる人は何人いるだろうか。

少なくとも私は非情であるとは思わない。


今私が、一日の途中でこうやってサボタージュして気付かれ無い事がある。

もし、朝からいたことを気付かれていなかった時、人はどう感じるのだろうか。

まあ、今日の私は先程の女子の眼に映っていたようだから最低、一人からは存在を認識されている筈だ。

それか、既に、もう「誰かに頼んだ」という、曖昧な存在へと変わっているくらいか。


人の視界と記憶は不思議だと思う。

目に入っていない…と思えば結構入っていたり。

一点しか集中していなかったり、視野を広くして見ていたり。

以外に見えないところまで見えるという優れものだったり。


そして、記憶したいことを頑張っても覚えられなかったり、どうでもいいことばかり覚えてしまったり。

ながら作業を得意とするのは女性だという。

それがどういう根拠なのかは分からないけれど、少なくとも私は確かに得意かもしれない。


勉強はしないが、色んな作業を同時に、しかし交互にどういう順でやるかということは結構得意だ。

能率というのか、効率というのか。


だからといって、別に特技になるようなことではない。


私の特技と言えば、多分、環境への順応性だろう。





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