表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ありふれた人生に終止符を  作者: 雑音
プロローグ
5/10

「死活問題ですよ」



熱い。


僅かな微風を起す扇風機は意味が無い。

こちらまで風が届かないのだ。

寧ろクラス全体に届いていない。


保健委員が持っている温度計では現在の気温「37度」を示しており、とても授業をやってられるような雰囲気ではない。


クラスの皆、持参したうちわや下敷きで仰いでいる。

中にはズボンのすそを捲ったり、スカートをバサバサとふる女子生徒までいる。

先生にはしたないから止めなさいと言われても暑さには勝てないらしく、止めない。

男子も制服をギリギリまで崩し、そのまま廊下などを歩き回るものだから先生の注意する声が止まない。


今年の夏は梅雨明けが早いということで、急激な気温の上昇に皆、項垂れていた。

かくいう私もその一人であり、暑さに項垂れ、何も考えられなくなっていた。

現実の暑さはとてもじゃないが、やる気が全く起きない。

起させてくれない。

知り合いに聞いた話だと、別の市の一部の小中学校ではクーラーを設置するための工事をしているそうだ。

それは羨ましいが、その反面、夏休みが短くなると言っていた。

高等学校と同じように七月末まで授業があり、八月下旬に新学期を迎えると言う、夢の長期休暇があっと言う間に擦り減らされるらしい。

それは嫌だなと、暑さによって茹っているような気分に陥る頭でクーラー設置の噂を否定した。


いくら涼しかろうと、詰まらないものを受けるが為に来るのは嫌だ。

ただ涼みに来るためならばまだマシだが、そこに授業という項目が増えるだけで登校拒否へと陥りそうだ。

今、登校拒否にならない理由はたった一つだ。

親が登校拒否を許してくれないのだ。

学校に行かなければネット回線を切ると言い出す始末なのだ。

今の所インターネットが無ければ確実に暇によって喰い殺されそうな勢いにある私にとって、ネットの回線が切れれると言うのは本気と書いてマジ、またはガチの死活問題なのである。

もともと学校へ行く気がないのに、しぶしぶ学校へ行き、受ける気が毛頭ない授業を受けた所で確実に身が入る訳が無く、だらだらと「暇」と「退屈」に耐えて過ごしている。


ただ、そのインターネットですら暇となって来ている今、私は日を追うごとに「死」と見つめ合っている気がしている。

今生きていることで確実に「死」へと向かっている事が寿命よりも恐怖だということを知った。

ただ、それでも私にとって解決策が浮かばない為に「旅に出る」などという短絡的かつ安易な考えに至ったというわけだ。


ただ、現状はとても爽やかでは無い。

テレビの中の人が、中学生の時、高校生の時に何をしたかで「旅をしていました」などと答えているところをみると簡単に出来るのかと思ってしまうが、現実はそう簡単には行かないものだ。

私の今の目標。


旅に出る為の資金集め、といったところか。


中学生でバイトなんて出来るはず無いじゃないか。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ