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ありふれた人生に終止符を  作者: 雑音
プロローグ
4/10

「平和とは何か」



「例えばここが広い草原に覆われた、他に何もないただ一つの学校だとしたら」


つまらない授業の中私は「例えば~だとしたら」ということをひたすら、提出する気が全く無いノートに書き連ねていた。


「例えばここが黒しか見えない暗黒の文字すらもないただ一色のみの世界だとしたら」


「例えばここが炎に覆われ生物が全く生きて行けない環境だとしたら」


「例えば今、私が存在しているところが内だとしたら、外はどうなっているのだろうか」



自分では測れない何かの可能性を託したただの幻想を、ただただひたすらノートに一行ずつ書き連ねていた。


隣の席の奴は授業中は必ず寝ているため、見られる心配は無い。

元より影の薄い私が、授業中に当てられる事も無い。

こればっかりは奇跡としか言いようがない事実である。

中学に入学して一年と三カ月ばかりが過ぎた今日まで、私は一度も授業で当った事が無い。

挙手をしていても、だ。

そればかりか、気まぐれな先生による適当な当て方。

例えば、その月の数字の入った出席番号、月日の足し算、日にちで当てるなどなどのことでも一度も当った事が無かった。

それほど私は「空気」と化してしまった人間なのかもしれない。

それなりに存在はしている筈だろう、なのに、私は殆ど存在していない。


他の人と話してやっと「私がいる」という存在が明らかにされるようなもので、人と話さなければおそらく中学三年間、誰にも意識されずに過ごす事となったのだろう。

それこそ、さっきの男子だって、私がただ一人、下駄箱のところでのんびりと歩いていたから気付いただけで、他に人が居れば絶対に気付かなかった筈だ。


不思議と世界は、自分から主張しなければ存在が確かにされることはないらしい。

まあ、全ては私の持論だが。


数学のノートだったはずのノートには数学にはあまりない、短文の羅列。

これらは全て、私の、私による、私の為の持論と幻想。


リンカーンを真似たってちっとも偉いとは思えない。

世界は本当に平等なのだろうか。

平等を目指そうとしているのだろうか。


私には、借金を全力で増やしているようにしか思えない政治や、世界中で相次ぐ内乱騒ぎも、とうとう破綻した国から連鎖しそうな国々の騒ぎも全て、自己満足と体裁だけで成り立ってる様にしか思えない。

いっそのこと、全ての国に統一して見たら面白いかもしれない。


その国の文化を守るというなら守ればいい。

ただそれはただの国立公園や文化遺産的な何かとして残す。

そして、国は本当に「ただ一つ」にまとめ、支部を作り、それぞれ支部長が大統領だったり総理大臣だったりすれば良い。

では、その「一つ」となった国の天辺は誰か?となれば、それは「国民」全員。

国民の意見をまとめあげ、検討するのはそれこそ政治家や裁判官とかでいい。

ただし、全ての意見を見つめ世界を広げる。

それでいいのではないか。


全ての人間が「家」を持ち、「職」を持ち、「家庭」を持ち、平等な「生」を授かる。


それで世界は救われるのではないだろうか。


バカで、頭の回転が悪く、厨二病になりつつあるただの平和主義な女子中学生が考えた結果だ。


平和主義なら、「つまらない」や「暇」以上に望むことはないと思ってしまうだろう。

余計な争いが無い、特に可もなく不可もなく、取り立ててよくも悪くもない人生。

ただ「普通」で「平平凡凡」で「平穏」で「安定」した人生。


でもそれだけでは「生きている」とは言わない気がする。


何か、非常識的な「アクション」が欲しいと言っている訳ではない。

ただ、何かをしなければそれこそ「廃人」と化している気がしてならないのだ。


だから私は「旅」に出たいのかもしれない。


これはある意味、「自分探し」という人生の分岐点の一つなのかもしれない。



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