3日目 【つまり、お婆さんは川へ洗濯に行きました状態である】
後書きにてお知らせがあります。
「ただいまー」
「今帰っ…うぼぇおぉえぇ!!!!」
ぎぁあぁぁ!! またやったぁぁぁ!!!
話数をまたいでもなおですか!!
絶対に今が完治するタイミングでありチャンスだったでしょうに!!
「ちょ、お姉ちゃんどうかしたとね!?」
僕におぶさっている体調最悪の姉を見るやいなやそう声を上げながら近づいてくるのは、小学6年生で現在11歳の妹。
よく語尾が変わったりする変な妹だが、姉の状態を心配して大丈夫なのかを聞いてくるなんて……姉の惨状を見て見ぬ振りをしている両親とは出来が違う。
あと関係ないことだが、僕は姉をおんぶしている状態にあるので、さっきから背中に当たる柔らかい感触と、先ほどから僕の左肩をじわりじわりと濡らしてくる異臭を放つ酸性の液体的なモノがとても気になるのだけど。
だが気にしてはいけない。僕は今、強い心を持つことをしいられているんだ。
「お兄ちゃんてば、左肩にリバーサースキル発動されてるし」
「みなまで言わないでぇ!!」
あぁもう生きていけない!! 我が家には当然替えの服などないから着替えられないのよぉぉ!!
つまり、お婆さんは川へ洗濯に行きました状態である。洗濯機なんハイテクな代物はこのサバイバル空間には存在しないのですよ。
まぁ、川じゃなくて近くに水道があるんだけどね。そこの水道が我が家の給水場代わりでもあるわけなのさ。もちろん、風呂もそこを利用する以外に方法はないのです……。
「うわ! この鳥、お兄ちゃんが全部とって来たとね!?」
妹が僕の持っていたスーパーの袋の中身を見て、元気にはしゃいでいる。
ははは、妹はよくわからん野鳥の丸焼きが大好きだもんなー。
「妹! これはお姉ちゃんが全部ひとりで狩ったのよ! ケンタはなにもしていないのでござるの巻!!」
急に元気になった様子の姉は、僕の背中から乱暴に離れると妹に向き直りそう言い放った。
まぁ、姉として妹に頼りになるところを見せたいのはわからんでもないのですが。
だから一言だけ。僕からはただ一言だけ告げよう。
僕は姉の両肩を乱暴に掴み、むりやり体ごと僕の方を向かせた。そして。
「僕はケンタじゃなくて翔太!! 主人公的ポジション故にただひとりだけ名前の概念がある翔太!!」
「しょうた?」
「そう!」
「しょうた」
「そう、翔太」
「そうしょうた!」
「そうはいらない!!」
「しょ○たん!」
「しょこ○ん違う!!」
「しょたこん?」
「それも違う!!!」
「イッツァショータイム!」
「急に英語!?」
……そしてその後、約30分間にもわたる説明の末――――
「しょうりゅうけん!」
「もうケンタでいいです……うぅ」
僕はめでたくケンタとなった。
出ゲロ注意。