2日目 【あぁ、姉は学ばない子だったんだっけ。忘れてたなぁ】
汚いのが苦手な人は見るべし!
「おい姉ちゃん、いったいなにしてるのさ」
現在我が家として利用している洞窟まで、時間にしてざっと3分位の距離なのにもかかわらず、姉は道草を食い始めた。
「ん? どったの?」
「いや姉ちゃんこそどったの?」
下は土なのにあぐらをかいて座っており、満足気にはじけるような笑顔を向けてくる姉。
そんな姉の両手には、その辺に生えていたであろう雑草が大量に握りしめられていて、おまけに口からも大量に生えている。
「……って、道草を実際に食べてる人初めて見たよ!!」
「もふもふぐもももぐもひでぶ!」
「口に雑草を入れたまま喋ってないで早く吐き出しなさい!!」
どれだけ頬張ったのかはわからないが、両頬を焼いたモチのように大きく膨らませている姉。思わず、『あんたはハムスターか!』と、ツッコミたくなるほどである。
「もががぐももうっ!! ううっ……!!」
突如姉が自分の口を自分の手のひらで覆い、わなわなと震えながら顔色が見る見るうちに真っ青になっていく。
「ん? 姉ちゃんどうかしたの?」
「うぷっ……」
「はっ!? このパターンはまさか!?」
姉の顔色が、とうとう変色の限界点にとどいた。その瞬間。
《諸事情により表現することを一時的に中断しております。しばらくそのままでおま「ぶぉうぇおぇぇ!!」
読者さんへの配慮を途中でぶった切りおったぁぁぁぁァァッ!!
「ね、姉ちゃん大丈夫?」
「だ、大丈夫じゃない……死ぬ。コレは死ぬ。いや、もはやすでに死んでいるのでは? とうとう機関車がすべからく動き出したのね……」
姉はもう元気になったようだ。立ち直りが早い。
あと言っていることがまったくもってピンとこないのは姉の特徴の一つなのでお気になさらずに。
「姉ちゃん、落ちているモノをとりあえず口に入れてみる癖早くなおしてください」
きっかけは、姉がまだ6歳だった頃のとある出来事だった。
当時、幼稚園に通っていた姉。そんな姉を連れて、ある日散歩をすることになった幼稚園。
そしてその散歩途中、幼稚園の先生が言った。『このように、普段何気ない場所にある(以下略』。
その言葉に感動したらしい姉は、普段何気ない場所にあるモノはすべて美味しくいただけるものと勘違いしたまま成長し、今に至るわけだ。
もちろん、幼稚園の先生は『でもだからと言ってむやみやたらに食べるとお腹壊し(以下略』と、ちゃんと注意を促したんだと思う。 姉が聞いていなかっただけだ。
……さて、姉の過去をベラベラと語っている間に姉は完全復活を遂げたと思うので、そろそろ家(洞窟)に戻るとしようか。
「姉ちゃん、そろそろ帰るよ」
「ぐももぐもぐふふもふ!!」
……あぁ、姉は学ばない子だったんだっけ。忘れてたなぁ。
いや、でも今さっき酷い目にあったばかりなのにまさかそれを再び繰り返すなんて普通思わないよね?
「ぐもぐぐも……うっ!!」
《諸事情により表現することを中断しておりますので、このままキレイなオチで終わりま「ぶぉうぇおぇぇ \(^o^)/オワタ!!!」
汚っ!!
思いのほかキレイに終われました。