23日目 【僕が何も考えずに怒鳴って言ってしまった言葉が、妹をここまで傷つけてしまうなんて思ってなかった】
(ノ゜ο゜)ノ オオォォォ-
「妹っ!!」
洞穴の中へと入ると、僕はすぐにそう叫んだ。
やはり妹はまだ泣いていて、自分は子猫を抱きながら、母に抱かれ頭を撫でられていた。
それを見て、申し訳なさが僕の心を満たす。
「お兄……ちゃん……」
さっきまでずと泣いていたからだろう。どこか弱々しいかすれた声で、妹は呟く。
僕が何も考えずに怒鳴って言ってしまった言葉が、妹をここまで傷つけてしまうなんて思ってなかった。こんなことになるなんて、考えてなかった。
だって、普段の妹なら絶対言い返してくる。前なら絶対、『えらそーに言ってるけどお兄ちゃんだってダメなとこがあるぜよ!!』くらいのことは必ず言ってきてた。
そう考えるとやっぱり妹も、こんな状況になってしまって心や精神がガタガタだったんだと思う。
だから妹。
「さっきはごめん……!!」
そう告げると同時に、僕は妹に頭を下げた。
すると、妹は僕の予想の斜め上どころの騒ぎじゃない反応を示す。
「…………だ、誰だお前っ……!!」
そう、僕の謝る姿を見て、妹は驚きながら一歩後ろに飛び退いたのだ。
いやちょっと待って。どういうことなの? あれ、妹ってばさっきまで落ち込んでなかったっけ? なのになんでよくありげなファイティングポーズで僕を威嚇してるんですか?
わけがわからないよ。
「妹、これはいったいどういうことなの?」
まるで偽物の身内を見かけたかのような顔をしている妹に、僕はそう問いかける。
「お兄ちゃんが……あのお兄ちゃんが素直に謝るわけないし……!!」
「ヒドい!!」
結構真面目な顔して、妹はなんかすごく傷つくこと言った。
いや、確かに思い返してみれば、今まで妹と喧嘩した時は必ず妹の方が先に折れて謝ってきていて、僕からはあまり謝ったことはなかった。
でもそれは体外妹のわがままが原因だし……いや、“兄”という、自分の方が上の立場にあったためか、くだらない意地が邪魔して自分から謝るのは嫌だったのかもしれないけど。
でも……それでもさ。
「僕だって自分が100%悪いと思ったらそりゃ素直に謝るよ! というか妹は僕をなんだと思ってるんだよ!」
妹の言葉についムキになって反論してしまった。
違う、こんなはずじゃなかった。僕の予定では『僕が謝る』。『妹が許してくれる』。『ハッピーエンド』な流れになる予定だった。
たしかに、妹が許してくれるのを期待していた僕も僕だけど、それは妹が優しい心を持ってるってことを理解しているからであって、僕だって罪悪感がないわけじゃない。
でもだからって僕が素直に謝罪したのを気味悪がるのはどうかと思うんだけどね!? 僕でも結構傷つくよ!?
「いや、お兄ちゃんが素直に謝るなんて前だったら絶対にありえないことだし!! 正直お兄ちゃんと喧嘩したときは私から謝らないとなんか調子が狂うぜよ!!」
「変わった子も居たもんだっ!!」
なぜ妹は自分にとって不利益(?)になるようなことにこんなにもムキになれるのだろう。
さっきまで涙を流し落ち込んでいた人だとは思えないような妹の姿を見て、僕は静かにそう思った。
でもその分、前の僕がどれだけ自分から謝ろうとしなかったのかが、僕自身でもわかるほどに伝わってっくる。
いつも妹にばっかり謝らせて、僕はなにをしていたんだろう。兄として情けない。
今だって妹と口論になっている場合じゃない。何を言われたっていい、気味悪がられたっていいから、とにかく全力で謝ろう。
「妹!!」
「っ……!?」
僕が突然大声を出したために、妹は黙ってしまった。
やばい、ちょっと感情が高ぶりすぎた。抑えよう。
「妹にも、そして母さんにも、僕はひどいこと言った。僕が素直に言うと気味悪いかもしれないけどさ……二人共、本当にごめん!!!」
再び、僕は深々と頭を下げる。
照れくさくもあるし気まずくもあるけれど、今までで一番清々しい気分を僕は確かに感じていた。
そんな僕を見て、妹も僕の気持ちを受け止めてくれたのだろう。
「……うん。私の方こそ、ごめんなさい……ぜよ」
妹は申し訳なさそうだが、どこか嬉しそうにそう言ってくれた。
妹だって強がってみせてるけど、本当はすごく不安なんだ。僕が頼りになるようにしっかりしなくちゃね。
「さて……ケンちゃん」
いやだから僕の名前は翔太です母さん。
「子猫、飼ってもいいわよね?」
一段落ついたのを確認すると、母は僕に確認するように提案してきた。
ふっ、何を言っているんだ母さん。そんなもの……。
「イイに決まってるじゃないか」
こうして我が家に一つ。新しい家族が加わったのだった―――――――。
(ノ゜ο゜)ノ オオォォォ- ヽ(´ー`)ノ マイ L(゜□゜)」ガッ