初日 【これで袋の中には野鳥が6羽ほどくたばっている状態となった】
僕の名前は水滝 翔太。現在中学3年生を勤めさせていただいてます。
最初のプロローグを見ていただけた方は、僕が今どんな状況に立たされているのかご理解いただけるものと存じ上げますが、中には『UFOにさらわれて記憶を消されてしまった』という方や『校長先生の話が長すぎて見る時間がなかった』という方もいるかもしれません。
そんなわけで、プロローグでお話ししたことを簡単に説明したいと思いますので、皆様方お付き合い下さると嬉しく思います。
まず僕には父と母、姉と妹がいます。
そして驚くことに僕たち家族には約1億円の借金が。
金なし家なし彼女なし(笑)の僕らは、近所にある裏山の洞窟内で生活している。
この小説は、そんな絶望の淵に立たされた僕達家族が、約1億もある借金をなるべく早く返し終え、なるべく早く人並み程度の生活を取り戻す事を胸にみんなで切磋琢磨する。と、いったような事を目標とし日々奮闘する様を描いた物語なわけです。
そんなわけで、コレがプロローグの内容です。お付き合いくださり誠にありがとうございました。
で、とうとう本題に入りたいわけなんですが、コレと言って特別お伝えするようなことが特に思い浮かばないので、見たまま聞いたまま感じたままを自由気ままにお伝えしていきたく思います。
てなわけで今僕は、超大バカドアホな姉と一緒に朝食となる野鳥と大乱闘中だったりします。
「姉ちゃん! そっち行ったから捕まえて!!」
大量の木々を必要最小限の動きでくぐり抜け、僕は茶色い野鳥を姉のいる場所へと誘導する。
約3ヶ月もの間このようなことを毎日毎朝繰り返していれば、嫌でも慣れてきてしまうのだ。
「ふふふ、ここであったが百年目……って、誰が100歳越えのお婆ちゃんだ!!」
僕が追い込んだ野鳥を、よくわからんノリツッコミで叩きのめした姉。しかも手刀である。
姉のよくわからんノリツッコミをモロに受けた野鳥は、『ピギュ!?』という呻き声(?)を上げ力尽きた。本日6度目の光景だ。
「1時間ちょいで6羽も狩れるなんて……」
洞窟に住み始めの頃は、まったく狩れないどころか蚊を退治することで精一杯だったのになぁ。
慣れって怖い。
「まるでチャングムポゥカーチャンね」
ごめん。なにを言いたいのか全然わかんない。そのどや顔をみる限りとても上手いたとえを言えんだろうけど物凄く伝わってない。こんな不出来な弟を許してください。
とにかく、我が家(洞窟)でお腹を空かせた妹並びに両親が待っているんだ。早く食料を持ってってあげないと。
先ほど姉が仕留めた野鳥を拾い上げ、持参してきたスーパーの袋に入れる。これで袋の中には野鳥が6羽ほどくたばっている状態となった。
ふと、僕の右隣に立っている姉に視線をずらしてみと、どうやらどや顔のレパートリーが止まる事を知らない状態に陥ったのか、姉が1秒毎に変顔を連発しているではないか。
そんな姉に『そろそろ戻るよ』と声をかけた僕は、姉と共に大体約80歩先の我が家(洞窟)に向かって歩き出したのだった。