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ホームレスファミリー  作者: 本樹にあ
◆開幕◆
1/84

前日(プロローグ) 【このちょっと変わってる毎日が、僕たち家族の日常なんだ】

初めましての方は初めまして。お久しぶりの方も初めまして。最近ご対面している方も初めまして。俺…ことポンジュニアです。

このたびは[ホームレスファミリー]にごアクセスいただき誠にありがとうございます。

皆様に少しでも楽しんでいただけたらなぁ。と思い投稿した次第です。



(中略)



フィーバーァァイヤッホォォ~フャッホィ~グボォォプオペーー!!!

 突然だけど、僕の名前は水滝(みずたき) 翔太(しょうた)。ごく普通の中学生だ。

 今年の5月に15年目の誕生日を迎え、誕生日に母から貰ったルービックキューブを毎日のようにたしなんでいる。

 まぁ、貰ったその日に崩したっきり1面すらも揃えられていないのだが……。

 そして現在は7月中旬。夏真っ盛りの季節である。

 節電節電と世間が騒ぐ中、僕の家は電化製品なんて全く置いてないので安心だ。

まぁ、電化製品どころではなく住む家すらないんだけどね。


「翔太ー! 朝だぞー!!」


「もう朝ッスか……」


 朝、父さんの豪快な声が僕の目覚ましだ。

 あの出来事から約3ヶ月経った今でも、砂利だらけな洞窟内での寝心地の悪さは慣れそうにない。


 さてここで本題にはいるわけだが、なぜ僕がこのような事になっているのかというと、あれは今から丁度3ヶ月前に(さかのぼ)ることになるのでお付き合いいただけたら幸いだ。


 ――――そう、あれは今から3ヶ月前のことだ。


 自分で言うのはちょっと気が引けるが、僕ん家はかなり裕福だった。

 だがそれは生まれてきた頃からではなく、僕が小学4年生の頃に起きたある出来事のせいなのだ。

 ……そう、その出来事とは。


 まず最初に父。

 父は、自分で興した会社で大成功を果たし、世界的規模の有名な会社に育て上げた。その結果お金がザックザクである。


 そして母。

 母は、父が会社で大成功を果たしたその日に、何を思ったのか女優を目指し始め、その結果まさかまさかの大成功をしてハリウッドへと羽ばたいた。それでかなり儲かってる。


 次に姉。

 当時小学6年生だった姉は、世間一般で言う超が付くほどの大バカドアホ小学生だ。そんな姉がある日なぜか『私は天才ダーッ!』とか言いながら家を飛び出し、それからしばらくして帰ってきたと思いきや未だ発見されたことのない恐竜の化石を発掘したらしくテレビ出演とともにお金をたんまり貰った。


 おまけに妹。

 当時小学1年生だった妹は、小学校からの帰宅途中に拾ったらしき野球のボールを『ネット上にうpしたらなんか物々交換方式で儲かったぜよ』とか言って見たこともないような額のお金が家に届いたのだが、コレはさすがにおかしいと思い調べてみた結果、真っ当な取引故の産物だった。


 僕は僕で、ある日ノドが渇いたので自販機のスポーツ飲料のボタンを押したら、なぜかヤクルトが4本出て来てムシャクシャしたのでたまたま通りかかった宝くじ屋にてスクラッチに挑戦した結果、なんか1等賞が当たってしまいガッポリ。


 そんなわけで、僕ん家が裕福なのにはこういった理由があるわけなんだけど……。

 その裕福な幸せもそう長くは続かなかったんだ。


 『不幸の後にはそれに対をなすほどの幸せが待っている』


 ずっと前に読んだ本にそう書いてあったが、逆に考えれば『幸せの後にはそれに対をなすほどの不幸が待っている』ということだ。


 そう、あれは、僕ん家が裕福になってから約5年が経過した、今年の春頃の出来事だった。


何の前触れもなく、突如として父の会社は大暴落。何があったのか、今の僕の知識ではまだ理解できなかったが、どうやら一種のクーデター的なことが起きたらしい。

 そのせいで抱えた借金約5億円。


 次に母。

 母は高級食材ばかりの食生活で激太りし、女優業もやめざる終えない状況に。

 その叩きつけられた現実によって大量のストレスをため込んでいた母は、ある日何を思ったのかあからさまに怪しい宗教にのめり込んだ。

 そこにつぎ込んだ金額、約1億5千万円。


 さらに追い打ちをかけるようにやらかしたのが、父のコネで無事高校2年生になることが出来た姉。

 ある日突然『はっ!? 銀河が私を呼んでいる!!』とか言いながら家を飛び出して行き、何をやらかしたのかわからないが大量の罰金を手土産に帰ってきた。

 その額なんと驚愕の約3億円。


 そんな中、続いてやらかしたのが小学生6年生になった妹。

 ある日、小学校からの帰宅途中に拾ったらしきテニスボールを『ネット上にうpしたらなんか物々交換方式で騙されたぜよ』とか言って見たこともないような額の請求書が家に届いたのだが、コレはさすがにおかしいと思い調べてみた結果、真っ当な取引故の産物だった。

 その額ヤバすぎ約6億円。


 妹がしでかした父の会社の火の粉よりもお高いお値段に、父が『父さんの会社なんて所詮その程度なのだ……』と落ち込んでいて未だ立ち直れていないのはまた別のお話。


 そして最後に、みんなに負けじとやらかしたのがこの僕。

 中学校からの帰宅途中、友達に『おい翔太! 野球やろうぜ!!』と誘われたので、参加してボールをかっ飛ばしたさいに、ボールが綺麗な放物線を描いて近くの家の窓ガラスに飛び込み、割ってしまった知らん人ん家のガラスの弁償代。

 そのお値段約3万円。


 そしてそれらすべてを合わせた金額の合計が、約15億5003万円。

 そんでもって当時我が家にあった全財産が13億ちょい。

 全財産をつぎ込んだとしても、約2億5千万円の赤字。


 その後、家や家具など、生活に必要な物をすべて売っぱらい、『衣類』『食料』『住居』すべてを失った僕達に唯一残ったのは約1億円の借金のみとなった。


 そんな中、頭が悪い超大バカドアホの姉が言った『家がないなら、洞窟に住めばいいじゃない!』というポジティブ発言を真に受けた両親と妹(僕以外全員)が、本当に洞窟で暮らす計画を立て始め、なんか偶然近所の裏山にて洞窟を発見し――――


 ――――それから3ヶ月経過したのが今の状況である。


「早く起きるのよケンタッキー! これから朝食用に野鳥を一狩り行くわよ!!」


 右手には頼りなさそうな細い木の枝を。左手に虫取り網を握りしめ、子供のような純粋さで瞳をキラキラさせている残念な姉の姿を朝っぱらから見せつけられることになった僕。

 あと僕の名前は翔太であって、ケンタッキーとか言うチキンな名前じゃない。姉は相変わらず超大バカドアホだ。


 そんな僕達の最終目標は、約1億円の借金をなんとしてでも返しきり、今までの生活……いや、少なくとも人並み程度の生活に戻ることである。

 そのために、僕ら家族は毎日頑張っているんだ。

 みんなで協力し一つの目標に向かって頑張る。


 それが今の僕の。


 このちょっと変わってる毎日が、僕たち家族の日常なんだ――――――


「早く行くわよケンタ!」


 だから僕は翔太です!!

ダイナミック借金!

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