スケルトン・ナンバー
魚人の雨ごいのお陰で、外は土砂降りに。
ハルト達はずぶ濡れになりながら校舎を目指した。
学校で最も大きい玄関口の中にある、下駄箱のあたりは、俺達と同じように雨宿りに来た奴らでごった返していた。まったく、あの魚人はとんでもない事をしてくれたもんだ! いくら水不足が解消できるって言ったって、こんなに皆が迷惑被るのはいかがかと思う。やるんだったら、学校の無い日にやってほしいものだ……ああ、でもせっかくの休日が雨になるのはそれはそれで嫌かもしれないな。
湿度の異常に高くなった下駄箱でさっさと靴を脱ぎ、俺達は人気の少ない北校舎3階の階段のところまで歩いて行った。そして辿り着くなり、階段の途中の段差にミヤは腰を下ろした。
「はーっ、今日は傘持ってきてないんだけどな」
「ごめんね。トウジって急にああいうことする事があるのよ」
「このまま、教室に戻ったら床がびしょびしょだからな。少しこのあたりで乾かそうぜ」
「うん!」
俺は、カッターシャツの上の方のボタンを全部はずして襟を持ってをパタパタさせる。こんなことで乾くはずもないが、何となく涼しい。そうしながら、改めてミヤの方を見た。濡れたエメラルド色の髪から水が滴り落ちるその顔は、まるで水浴びをした子犬にも似た純粋無垢な小動物的可愛らしさを放っていた。俺は、思わず見とれてしまったが、ミヤの視線がこちらを向くと、つい照れて、視線を下に向けてしまった。そして、そこで俺はある事に気付く。
ななっ!?
今まで気付かなかったが、良く見るとミヤの上着が透けているではないか! 確かに夏服だから生地が薄いのは間違いないが、まさかこんなに内側が見えるとは思わなかった。ぺったりと張り付いた服の合間から、透き通るような肌と、吉田の家にあるとは思えない可愛らしい薄ピンクのブラジャーが見える。それは、とても艶めかしく色っぽく写った。しかし、更に良く見ると、俺はミヤの体にある特徴的なものがある事に気付いた。
「ハルト、そんなジロジロ見て、どうかしたの?」
「いや、あのさ……」
「え……?」ミヤは透けている事に今になって気付いたようだ。、
「ちょっと! 気付いてたなら早く言ってよね!」
「そうなんだけど……その、胸にある文字は何だ?」
<38>
それは右胸の上のあたりに、黒色ではっきりと刻まれていた。
「あ、これはアザだよ。生まれた時からあるんだ。数字になってるなんて、ちょっと不思議でしょ? 私の名前の由来はこのアザなんだってお父さんが行ってたよ」
「なるほど、38だからミヤか……」
「そうなの。ちなみに、お兄ちゃんとトウジにも似たようなアザがあるんだ! お風呂で見せ合こしたから間違いないよ」
「そうなのか?」これは間違いなく何かある。
「それは、やっぱり数字だったりするわけか?」
「うん、お兄ちゃんが<50>でトウジが<12>」
「……へぇ。ってことは、まてよ? 全部足したら100にならないか?」
「正解~数学得意じゃないハルトでも流石に気が付いたか。そうなの、私達兄弟のアザは合計100なんだ。意味深だよね!」
「まったくだよ……」
俺は、その意味について既に1つの仮説を思い付いていた。
これは多分、魔法のハサミで吉田を切った時、その切り分けた部分それぞれの割合なのではないだろうか。タケヒコが、今までの吉田の50パーセントで、ミヤが38パーセント、魚人が残りの12パーセントと考えれば納得がいく。あれから、ハサミを使っていないが、一度何かで試してみる事にしよう。
「ハルト?」気がつけば、ミヤは不思議そうな眼でこっちを見ていた。
「もしかして、答えが分かったとか?」
「違うよ……このまま、授業が始まるまでに服が乾かないんじゃって心配していただけだ」
「なんだ、残念」
ミヤが腕組みをしてブラジャーの見えそうな部分を隠したところで、廊下の向こうから足音が聞こえてきた。俺は、階段を1段下りて迫りくる者の方を向いて待ちかまえる。
!!
これは悪い偶然か?
俺の目に入って来たのは、何と、さっき俺達を睨みつけた長塚だった。




