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啼く鳥の謳う物語2  作者: フタトキ
生きる代償
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夢遊(5.5)






それ以上、闇を見ちゃいけない。










(せい)、そこの窓開けて!」

「うん」

清は千里(せんり)の指した窓を開ける。そこから入るのは漆黒の胴に紅蓮の瞳の小鳥。

「鳥?」

「あお!僕に体を預けて!!」

小鳥の登場に疑問符を出す(あおい)にコートを掛けた千里は彼を背負おうとした。それに何?と葵は体を退く。

「あの鳥が後で説明するから!清、付いてきて!」

「うん!」

千里は渋る葵を背負い、洸祈(こうき)が作った黒曜石の御守り付きの鍵束をひっ掴むと小さな洸祈を呼んだ。



清を連れて今すぐそこから離れるんだ!!!!



『蓮からの伝言。清と洸祈は過去と現在で入れ換わったそうです』

「清のいた過去と洸祈のいた現在が入れ換わったってこと!?」

千里の腰に腕を回した葵は千里の背中と自らの腹の間にいる清の頭に乗るセイと言う名の小鳥に問い掛ける。

『それも一部の記憶だけを残して。清は清として生きてきた時だけの記憶を。もし同じなら洸祈は過去を忘れ、清から後の記憶だけを持ってる』

「何でそんなことに!?」

『呪いです。呪いにより、洸祈の魔力が暴走して空間を歪めた』

「何で呪いが―」

「あお!」

千里が会話を途切れさせた。

「先に訊くことあるでしょ。セイ君、何故逃げるの?何から逃げればいいの?」

現在、セイの言う通りに二之宮蓮(にのみやれん)の邸宅に向かっている。

『清が奪われないようにクロスから逃げて』


クロスが指すのは…―政府―


「政府は何故清を欲するの?洸が手に入れられないから?清に洸の記憶はないし、洸本人である可能性は寧ろ低いよ?」

『洸祈が拒むから詳しくは話せないけど、清にも十分利用価値があるから』

「洸…」

君は一体何者なの?

千里は乾いた唇を軽く舐める。その背中に葵は額を付けた。

「熱…つらい?」

「ううん。…千里、清をもといた場所に帰して、洸祈を連れて帰ってからだよ」

分かってるよ。

だけどさ、葵…泣きそうな顔だけはしないでよ。

「あいつにもう隠し通す自信はないだろうしね」


千里はハンドルを切った。

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