夢遊(3.5)
「ゆー、ゆー、ゆー!」
「うーん」
「ゆー!!」
「ひゃっ!!?」
耳に響く大音量。
由宇麻はふわふわと目を分けると緋が飛び込んできた。
「たか…清君!」
二階の寝室に清を寝かして自分はソファーに寝ようと目を閉じかけた時だった。
ゆー。と慣れてない呼称につい無視しかけてどうにか開けると物体が飛び込んできた。
それは清。
「なんやぁ?」
眉をしかめて返す由宇麻。
それに…びくり。
「あう…ごめん…なさい」
闇に消える清。
「あ…清君!」
言い過ぎたかも。
由宇麻はソファーから出ると清を探して手を伸ばし…。
「いたっ!」
すってんころりん。
もう無理や…。
「ゆー…ゆー…ゆー…」
あ…仔猫が泣いておる。
由宇麻は体を起こすと鞭打って立つ。
「清君、ゆーはここやで」
カーテンが翻った。
そこか…。
「ゆー…ゆー…ゆー…」
端から漏れる月明かりに緋の瞳が揺れている。由宇麻はそろそろと足下に注意して清に近寄った。
「清君、ここにおるで」
「何処っ」
目線高くを清は見渡す。
俺が這いつくばってちゃあ、見えないか。
「ゆー…ゆー……っく…ひっく…ふえっ…うっく…」
まずいまずいまずい!
突いていた膝を立てて由宇麻は清を抱いた。
「ゆーや。ここにおるで」
「ゆー!」
お父さん。は消え、ゆー。となった由宇麻は清の頭を撫でるとソファーに戻る。
「で?どないしたん?」
「狼がいつもは一緒だから…」
寂しいのか…。
比較的に甘えん坊だから。
父さん嬉しいで!!内心叫んで由宇麻は清の泣き顔にティッシュに当てた。
「俺と寝ようや」
「うん!」