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灰樹(7.5)
「暇だなー」
想像が現実なるとか考えて興奮してたのに一気に冷めた。
暇だけが残る。
鞄のあれやこれやもまたいつかまで使えず重荷になる。
「馬鹿みたい」
すっげー馬鹿みたい。
考えてみれば、ありとあらゆる場面で俺は惨めだ。
「炎の時も司野さんの時も二之宮の時もさっきも」
馬鹿みたい。
「間違ったり…手遅れだったり…何にも出来なかったり…」
本当に使えない奴。
いつだってそう。
肝心な時に俺の手は届かない。
「かっこ良かったのって最初だけかなぁ」
自分で言うのもあれだけど…。
最後は馬鹿みたいに辿り着く。
「やっぱ俺が上でしょ」
俺の方が身長高いし。
キスだって8割俺からだし。
でも…
寝てる時は洸祈の方が積極的。
いや待て。
推してるのは俺だろ?
俺が喘ぐのか!?
キモいな…。
ほら、洸祈が喘ぐとすると…。
いいかも。
それに構図もねぇ。
潤む瞳。
微かに開閉する唇。
汗ばんだ額。
弾む―
「馬鹿やろー!!!!!!」
何考えてるんだ馬鹿っ!
あぁ……虚しい。