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啼く鳥の謳う物語2  作者: フタトキ
あなたと共に歩む
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夢の終わり(5)

「今回のオレ達の仕事は何ですか?」

『邪魔者を排除すること』

「邪魔者……例えば、あのアロハシャツの彼とかかしら?」

『ああ。あれは厄介だぞ?そうだな……リクがノワールと行け。月葉(つきは)はアロハシャツの男だ』

「え?……俺達が(きり)では?」

『付き人の方だ』

「ちょっ、付き人の方ですか!?俺達二人で?」

『リク、行けば分かる』

「………………分かりました。ノワール!来い!」

「………………」








(あおい)の体温好き」

「体温?俺は……熱い」

「熱くなった葵の体温も好き」

互いに汗で肌をしっとりと濡らした葵と千里(せんり)

頭痛薬のお陰か、体調の戻った葵を千里は布団の中で組み敷いていた。

千里は葵の鎖骨にキスマークを残す。

「夏の暑さは嫌いなくせに」

「それはあつい違いだよ。僕は真夏日でもあおとセックスするのは好きー」

「真顔で言うな。俺は真夏日は嫌だ」

「じゃあ、今日みたいな真冬日はしたいんだ?」

鎖骨以外にも身体中に千里にがっつかれた痕を残す葵がそっぽを向いて「もうした後で言うな」と言った。

今夜はその手の行為をしない予定だった葵だが、うとうとしている間に千里の毒牙に掛かっていたのだ。

「誰にも邪魔されない二人っきりのお部屋にいたらせずにはいられないから。今日のあおもすっごく良かったよ」

「良いって何が……」

葵は呆れを口にしただけで、勿論、千里に返答を求めていたわけではなかったが――

「ふーむ。あおの勉強になるなら教えてあげようかなー。先ずは声」

千里は葵の隣に寝そべると、人差し指を天井に向かって高く上げる。『1』を示す指をいい、葵の良かったところは複数あるようだ。

葵はこれから予想される千里の発言にうんざりとした表情を浮かべるが。

「あおは『そこがいいっ』って素直に教えてくれるから助かってます!」

「…………もう言わん」

「で、次は感度。あおって元々触覚が敏感な方だけど、僕の開発とあおの努力で全身くまなく感度良しになったよね!嬉しいよ!」

千里がそこまで言った時、葵の頭の中で何かがプツンと切れた。

葵の限界である。

「次は――」

「次を言ったら年越しは一緒に祝わないからな!!」

千里の額にデコピン食らわせた葵は彼に背中を向け、二人でシェアしていた毛布を体に巻き付けて奪い取る。そして、千里の裸体が露わになった。

「あぐ……おでこ痛い…………寒い……」

「お前のせいだからな」

千里とあれやこれやをする仲になってからは自らも性的な知識を収集している葵だが、下ネタに関しては生理的に嫌悪している。千里は楽しませているつもりかもしれないが、葵にとっては苛めに近い。

無言になる葵。千里はそんな彼の背中を見る。

まぁ、千里も葵の態度の意味は理解できているのだ。

彼はからかい過ぎたかなと思い、葵の髪を撫でてからベッドを降りた。布団の中からローブを引っ張り出し、羽織る。

「千里……どこに行く?」

葵が背中を丸めたまま小さな声で千里を呼んだ。

呆れた割に千里が離れることには過敏になる葵――千里は寂しがり屋の葵に隠れて笑むと、にやつく顔を戻してから葵を振り返った。

「どこにも行かないよ。何か喉渇いたし、ほらあれ、コーヒーメーカー?っぽいのがあるから、カフェラテセット使ってみようかなって。僕が落ち込んであおを置いてどっかに行っちゃうと思った?」

自分の意思で無視したとは言え、千里の負の感情に対するメンタルは豆腐並と思っている葵は、千里に図星を突かれて肩をびくつかせる。そんな彼の様子を見た千里も自分想いの葵が愛おしくて堪らなくなっていた。

「葵も何か飲む?コーヒー、ココア、カフェラテ……あ、抹茶ミルクもある。濃厚ミルクと宇治抹茶?」

「……抹茶がいい」

「はーい。僕もココアに変えよっと。今夜は甘い気分」

千里は初めて操作するコーヒーサーバーの説明書を片手に一先ずココアセットに入っていた原液をそれらしい窪みに嵌め込む。

次は…………説明書には写真やイラストが入っているが、今一分からない。

「まず、右側面のレバーを上に上げてタンクのロックを外し、サーバー後ろのタンクを図のように…………」

ややこしい。

直感的に操作できるゲームなら得意だが、操作に決まった手順を要するものは千里はどうにも苦手だった。

かつ、そもそも彼は活字が嫌いだ。

「うー……ココア……」

唸った千里は首を45度傾ける。

ココアを飲みたいし、葵には抹茶ミルクをあげたいが、お手上げである。

「千里、説明書。俺が見るよ」

ローブを羽織った葵が千里の脇から手を入れ、説明書を受け取った。そして、流し見る。

「タンクの水は今朝ホテルの人が新しいのに取り替えたみたいだ。原液は……出来てるな。コップをそこに入れて……そこの緑のボタン押して」

「ん。赤いランプ点いた」

「そのレバー下ろして」

「んー……こう?」

「そうだな。後は待つだけ」

ベッドに腰掛け、一息吐く葵。千里も自分の為に重いだろう腰をあげてくれた彼の隣に座る。

「あおの説明あったから簡単だった。ありがと」

「千里がてきぱき動いてくれたから早かったんだ。ありがとう」

お互いにお互いが感謝し、照れ臭そうに膝を見る葵と弛んだ頬がどうにも締まらない千里。そして、彼らの視線はこぽこぽと音を発ててタンク内の水を沸かすサーバーにいつの間にか釘付けになっていた。


コンコン。


「ドア……誰か来たか?」

「二人っきりの神聖な時間に誰なのさ――」

『千里君!葵君!俺や!司野(しの)や!大丈夫か!?』

ノックする音に混じって由宇麻(ゆうま)の声が二人の耳に入る。何だかただ事ではない由宇麻の勢いに葵と千里が顔を合わせた。

「え?何?」

「さぁ。でも、由宇麻があんなに慌ててるとか……」

「僕がドア開けてくるね」

千里がローブの帯紐も直さずに部屋のドアを開ける。すると、ドアノブを掴んでいたらしい由宇麻が前のめりに部屋に入って来た。

へぇ、はぁ、と息が荒い。

走ってきたようだ。

「僕達は大丈夫だけど……由宇麻こそ大丈夫?慌ててどうしたの?」

「き、気付いてないん!?」

半裸の千里に抱かれた由宇麻は顔を上げると、必死の形相で千里の羽織るローブの襟を掴んだ。千里はそんな彼の姿に“ただ事でない”の大きさに気付いた。

葵に至っては既に私服に着替えており、千里の着替えも腕に抱えている。

千里も動きやすいように着替えを葵から受け取ると急いで着替えた。そして、由宇麻は葵に無理矢理椅子に座らされて休憩を取らされていた。


「で、何があったの?」

葵が訊き、小休憩で呼吸が整ってきた由宇麻は深呼吸の後、話し始めた。

「デッキで夜景見てたら千歳(ちとせ)さんの鴉が現れたんや。そしたら、遊杏(ゆあん)ちゃんがデッキにやって来て鴉に怒ったんや。何しに来たんやって」

「千歳さん?二人のお祝いに来たのかな?でも、遊杏ちゃんが怒るって……」

紺のパンツに足を通し、白地に青色の模様の入るセーターに顔を突っ込む千里。

千歳には世話になった記憶しかない彼は千歳に信頼を置いていた。しかし、由宇麻も含め、葵は渋い顔をする。

「千里、千歳さんの鴉が問題なんだ。何かが起こる前触れ……」

「そうなんや。きっと悪いことが怒るんやないかって……で、ちょっとしか見れんかったんやけど、デッキでアリアスって人も見たんや」

「え?アリアス!?」

「え?ありあす?」

驚く葵と困惑する千里が真逆の反応をし、由宇麻はどっちに返事をすべきか迷う。が、今回は小さく頷くことで場を濁した。

「下で(れん)君に会ったんやけど、千歳さんがアリアスの部下と交戦してるって。千歳さんの邪魔をアリアス達がしてるみたいな。蓮君はアリアスがいるってことはきっと千里君か崇弥(たかや)が狙いやって言って……俺は千里君と崇弥に危険を知らせんとあかんて思って来たんや」

「アリアスって誰?教えてよ、あお」

恐らく、話の中心人物の一人であろう“アリアス”が分からず、上手く話の全容を掴めない千里は話に付いて行きたいが為に葵の腕を揺すった。葵なら教えてくれると信じて。

「政府の依頼で俺が運んでいた荷を奪いにやって来た奴だよ。列車の。お陰様でお前が怪我をした」

「……列車は覚えてるけど…………誰?」

確かに、青春18きっぷを使って用心屋全員で旅行した時に千里は列車の中で一人でずっこけて膝を擦りむいた――が、思い当たる人物がいない。そもそも“荷運び”をしていない。

葵は「忘れたのか?」と言いたげに目を見開き、由宇麻は和やか雰囲気を醸し出そうとしている二人に割って入る。

時間が惜しいのだ。

これ以上のロスはしたくない。

「兎に角、一緒に崇弥のとこ来てや!俺だけやと何かあっても何もできんし!」

「洸の部屋ってどこだっけ?」

「18階や」

「イチャイチャしてたらどうしよう……てか、きっとしてるよ?邪魔したら洸に怒られる……」

「…………行くんや!何かあってからじゃ遅いんや!」

「千里、由宇麻の言う通りだ。洸祈(こうき)が狙いなら、陽季(はるき)さんの身も危ない。行くぞ」








黒魔法。

それは人を不幸にする魔法。

誰かを呪う。

誰かを傷付ける。

だが、特別な魔法じゃない。

黒魔法とは使い方を誤った魔法。

魔法とはその人の意志で簡単に黒になる。

結局、魔法の意味とは使用者次第なのだ。

だけど、黒があれば白もあるわけで……。

しかし、正しい使い方をした魔法を白魔法と呼ぶのではない。

白魔法は特別な魔法だ。

人を幸福にする特別な魔法だ。


それは例えば――



『崇弥!陽季君!おるやろ!開けてぇなぁ!』

『まだ帰ってきてないのかな?』

『いや、ドアの隙間を見ろ。部屋の明かりは付いている。俺達の部屋と同じなら、キーがないと部屋の明かりは付けられない仕組みだ』

『シャワーでイチャイチャとかは?てか、あおの魔法でいるかいないか分からないの?』

『……イチャイチャしてたらそれも分かるから嫌だ』

『え……そうなんだ。ならしない方がいいね』

『崇弥!陽季君!大丈夫かー!』



「ん………………」

誰かが……知っている声が…………――

「こ……き……」

ねぇ、洸祈も聞こえない?

誰かが俺達を呼んでいるような。

「洸祈……?」

腕の中にいたはずの洸祈の温もりがない。

一体どこへ……。

部屋の電気を付けっぱなしにしていたせいで眩しさから目が開けられないでいた。だから俺は滑らかな触り心地のシーツに指を滑らせて洸祈を探す。

しかし、スイートルームのダブルベッドは広く、腕を伸ばしきっても端には着かない。が、その頃には眩しさも慣れてきていた。

「洸祈……洸祈……?」

薄目で周囲を見渡す。

手探りでも発見できなかったが、やはりベッドにはいないみたいだ。

では、どこへ?

トイレ?

シャワー?

俺は恋人の帰りを待つか否かで悩みながらのそのそとベッドの上を徘徊していると、指先にぐちゃぐちゃのまま放置されていた洸祈のバスローブが触れた。

てことは、洸祈は全裸か?いや、俺も全裸だけど。

「さむっ……」

ひんやりと冷たい風が俺の背筋を撫でて来て、振り返れば、寝室と一繋ぎになっているリビングルームのカーテンが棚引いていた。どうやら、ベランダの窓が開いているようだ。

風呂場でスキンシップからの雪崩れ込むようにベッドで二回戦だった為、ベランダの窓がしまっていたかは断定できないが、真冬に窓を開け放しにしている程、俺は暑がりでも寒さ好きでもない。

となると、洸祈が開けたのだろうか。

『陽季さん!陽季さん!大丈夫!?』

「千里君?」

誰かの声に起こされたと思ったら、やはり、知り合いが部屋のドアを叩いていた。

しかし、寝室はドアから一番遠いところにある為、耳を澄まさないとときちんとは聞こえない。

だからこそ、ドアには確かチャイムがあったはずなんだけど……。

「今出るよー」

俺は洸祈のローブを着、ベッドを降りた。ふかふかももふもふのスリッパが俺の裸足を気持ちよく包む。

しかし、何かあったのかな。千里君の用事って葵君かな?

「はる、駄目」

ドアへと歩いていると、靡くカーテンの隙間からベランダの窓枠に凭れる洸祈が見えた。

勿論、裸ではなく、スーツのようでそうでない服装。曖昧なのはベランダ付近が薄暗く、黒っぽい服装なのか見えにくかったからだ。

「洸祈、冷えるよ。窓を閉めてベッドに入ってて。温めてあげるから。千里君が来たみたいだから俺が用事を聞いておくね」

「駄目……」

「洸祈?」

早く千里君の用事を聞いて洸祈と触れ合いたいと思っていたら、音もなく俺の背後を取っていた彼に背中に抱き付かれた。洸祈は両手で俺の視界を塞ぐ。

冷たい手のひらだ。

すっかり冷えてしまっている。

「“駄目”って、大丈夫だよ。緊急の用事じゃない限りは彼には遠慮してもらうから」

寝起きの俺の体温を自分の手に集中させ、包むように洸祈の手の甲に重ねた。

その時、俺と洸祈の結婚指輪がぶつかり、カツンと鳴る。

おんなじ手のおんなじ指に填めた指輪。

二人の愛であり、絆であり、信頼の証だ。

「洸祈、放してくれる?」

「…………放したら……きっともっと悪いことになる」

またマリッジブルーになってしまったのか。もう結婚したのに。

「もしかしたら悪戯しに来ただけかもしれないけど、今日はワイワイ楽しく過ごすがモットーなんだからさ、多目に見てあげよう?」

だから洸祈も楽しくなって欲しい。明るいことを考えて欲しい。

そして、俺はゆっくりと洸祈の手のひらを放させた。

「……そっか…………」

しかし、どうしたのだろうか。声に元気がないどころか暗い。

一杯頭を撫でてあげたくなったが、その為にも今は千里君の用事を済ませなくては。

ほんの30秒でいい。待っていて、洸祈。


『陽季君!陽季君!崇弥は狙われとる可能性があるんや!!』


この関西弁は……司野さんまで来ていたようだ。

これで洸祈も少しは喜ぶかな。

「はいはい。今出ますって」

ドアを開けると、直ぐ目の前に司野さん。その後ろに千里君と葵君がいた。

3人とも俺を見た瞬間に強張っていた表情を柔らかくする。

「遅いよ。洸は無事?」

そもそも無事かと聞かれる程の何かには遭っていない。まあ、無事を確認させて気が済むのなら、それに越したことはない。

「洸祈、無事かだって。顔を見せてあげなよ…………」

何をそんなに心配していたのかは全く分からないが、洸祈の顔を見せて安心するならと、俺は洸祈を振り返った。

が、なんかおかしい。

洸祈が全体的に黒っぽいと思ったら、黒いオーバーコートを着ていた。

内にも黒い詰襟のジャケットを着ており、下も黒のパンツ。ジャケットの前に二列に並んだ銀のボタンが部屋の明かりを僅かに反射させる。

いつものパーカーにジーンズではない。

それに何より、表情がどんとりと重々しい曇り空のように暗い。

嘘だろう?鬱になっているのか?

「洸………………何でそれ着て…………」

「千里?どうした…………って……その服…………」

千里君の用事を優先したのは間違いだったと過去を嘆き、一体どうすれば洸祈が普通に戻るのかと俺が焦っていると、俺の背後から顔を覗かせた千里君と葵君が言葉に詰まっていた。しかし、洸祈の服装など俺には些細な事。

それよりも洸祈の心を救ってあげないと。

「だから言ったのに……悪いことになる……」

洸祈は僅かに俯き、前髪が目を隠した。

「洸祈、何か俺に出来ることはある?」

微力だとしても、少しでもお前の役に立てるなら何だってするから。

洸祈、どうしたの?

悲しいの?

辛いの?

泣かないで。

「……………………」

洸祈がふるふると頭を左右に振った。

その仕草で分かった。

多分、俺は洸祈を抱き締めてあげないといけない。

今の洸祈は誰にも言えない何かを一人で抱えている。だけど、重くて重くて、いっそのこと全部捨ててしまいたいと思っている。

だから誰かが支えてあげないといけない――そんな気がするのだ。

「はる、12時過ぎちゃったね……昨日はずっと一緒に居てくれてありがとう」

壁の時計は12時13分。だけど、だからなんだと言うのだ。

「今日も一緒だろ!明日も明後日も!約束した!」

俺を不安にしないでくれ。

そんな苦しそうな声で「ありがとう」と言わないでくれ。

「約束…………だろ?」

約束しただろう?

ずっと一緒だって。

誓っただろう?

なぁ、洸祈!

「……忘れない。約束したことは忘れないよ。だから陽季も…………忘れないで」

千里君と葵君が俺の背後で何やら言い争っている。

と言うより、互いに声を荒げて興奮している。

でも、俺には夜風に乗って聞こえてくる洸祈の台詞しか耳に入らなかった。


「陽季…………………………ばいばい」


床全体が淡く発光し、「陽季さん、下がって!」という千里君の声と同時に襟首を引っ張られる。

しかし、洸祈のもとへ行こうと前のめりになっていた俺は、その勢いで後ろへと千里君諸共転んでしまった。序に葵君まで巻き込んでいる気がする。

「千里……重い……」

「ちょっと!重いのは僕じゃなくて陽季さんっ!それより、早くこの陣から出ないと!」

そうだ。

この光は魔法の光だ。

魔法を使えない一般人の俺だけど、用心屋や魔法に関係する世界に接したことがあるから分かる。

だが、開いているドアから廊下を見た時、ずっと奥まで床が光っていた。

多分、俺達に逃げ場はない。

でも、ないならないで、無力な俺が魔法の使える千里君と葵君の邪魔をしない方がいいと必死で起き上がろうとした時、


「緊縛調律」


「こ………………き……」

とても大きな衝撃が頭にきて、俺の視界は一瞬でブラックアウトした。

~おまけ 2月9日「漫画の日」~


「千里、漫画ばっかり見てないで、本を読んだらどうだ?」

「いーじゃん、漫画も本と同じで文字を読んでるんだから。一緒じゃん」

「漫画は絵が入ってるだろ。あと、文字も短い台詞しかない」

「それのどこが悪いの?絵が入ってて悪いことはないし、漫画何冊も読めば沢山文字読んでることになるじゃん」

「……………………………………」

「流石の僕も現代っ子として漫画は否定させないんだからねーっだ」

「ふむ。なら、この俺が本の素晴らしさを教えてやろう」

「…………洸。そのドヤ顔はなにさ……」

「いいか!本を読むやつは絵がない分、想像力がつく。どんなファンタジーでも想像できる力がつく。そして、妄想力がつく!」

「…………妄想力……使い道は?」

「葵にあーんなことやこーんなことが頭の中でできるようになるぞ!何よりも、頭の中でだから葵に怒られない!」

「あんなこととかこんなことって?」

「ふっ…………俺に聞くようじゃあ、お前の妄想力はまだまだだな…………本を読めよ」

「分かった!僕、本を読むよ!」


「………………………………洸祈、怒るよ?」

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