痛み分け(2.5)
だって……無理矢理……―
あぁ、そうだよ
僕は毎夜、毎夜、君を無茶苦茶にしてたよ
まぁ、妄想だからね
確かにそれも考えたさ
きっと気持ちいんだろうなー
って考えたよ
君と初めて同じ夜を過ごしてから、僕の妄想はリアルになった
映像だけじゃない
声、吐息、感触、鼓動…―
それから1週間そのことしか考えられなかったね
それを僕は少しずつ現実にしていった
君が怖がらないように
君が痛がらないように
ゆっくりと
僕は君に快感を与え
君は僕に愛をくれる
時々、止まらない時もあった
僕が快感をねだったから
それを愛しい君は許してくれる
で、だ…―
「僕ね、あの時の君の帰り道を通って近くを屯してる奴を全員殴り倒したい」
分からないから僕は片っ端から復讐する。
「せんっ……危ない…から…」
その顔で言われても…
君がそうやって堪えてると崩してあげたくなる。
ここが君の弱点の一つ。
「んっ!!!!」
跳ねる体。誘ってるの?
「あお、僕は君を愛してる。年老いて惚けても、死んで生まれ変わったとしても僕は君以外を愛することはできない。そんなの嘘。君はそう思うと思うよ。でもね、僕は言うよ、僕は君以外を愛することはできない」
僕の全てを掛けて言うさ。
掛けるのは馬鹿らしいね。
掛けるまでもない…僕は君以外を愛することはできない。
君を愛してる。
僕は大真面目さ。
この世の全ての人間が笑おうとも、たとえ君が笑おうとも、僕は君を愛してる。
「僕は君が快楽を感じた時どんな顔するか知ってるよ」
ぎゅっ目を閉じて、唇を堅く閉じる。やがて開く唇から熱い吐息。潤んだ綺麗な瞳で僕を見詰めて微かに笑う。
それが…―
「ほら、僕は我が儘。だからそれが僕以外の人間に見られるのはイヤなの」
ねぇ、分かってよ。
僕は守る側、君を守る側だよ。
僕が君を守るのは君が守られないといけないからだよ。
僕がいないと君は知らない奴を押し退けることすらできない。
だからだよ。
ねぇ、自覚してよ。
お願いだから…―
今更の後悔。
前日のお泊まり。あの時、指先も動かせないくらいぐらぐらにしとけば良かった。そうすればこんなことにはならなかった。
ゆっくりなんて忘れて…―
「僕は君を襲った奴をぎったんぎったんにしたいよ?コンクリート詰めにして日本海に沈めたいよ?」
そうすれば収まる。
そんなわけない。
収まるものか。
ねぇ、葵。
本気だよ?
今の僕は平気でそれを実行するよ。ねぇ、聞いてる?
「でも、僕はそれができない」
実行できるけどできない。
「…千里」
何故って?
「葵、君だからさ。君だから僕はそれができない」
あお、葵が嫌がるから僕は君を無茶苦茶にできない。
あお、葵が悲しむから僕は奴等を殺せない。
君を愛してるから。
ねぇ、苦しい。
どうしようもできない。
ねぇ、あお。
どうすればいい?
あお、苦しい。