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啼く鳥の謳う物語2  作者: フタトキ
短編4
130/400

犬猿の友(2.5)

「このとーりだって。あとで何でもしてあげるからさ」



と、


言われている間に既にこうだ。

文句の1つや2つ…ではなく、9つは言おうとして、

「口閉じて下さいっ」

閉じるしかなく。



「餓鬼っぽすぎないか?これなら琉雨(るう)でも…」

「ルーは小さすぎますよ」

「それにしても、俺の好みの真逆だな。双蘭(そうらん)さんがいれば良かったのに」

…………………………………。




「ぐちぐち言うんなら俺を選ばなきゃええやんけ!!!!」



…………………………………。

司野由宇麻(しのゆうま)、生まれてこのかた、今日、初めて…―



女装しました。


「司野!“俺”じゃなくて“私”だろ!!」

「酷いやんか!」

ロングスカートにない胸を隠すように上を厚着して、髪には軽くウェーブがかかり、眼鏡は外されてコンタクト。目に直に異物を乗せるなんて怖いから嫌だったのに、「パパ」と一度だけ呼んでくれると言われたら、無意識の内にドライアイになりかけるまで目を見開いていた。ごろごろして目を擦ろうとしたら、両腕拘束。そして、「知ってるか?無闇に目を弄ろうとしてレンズが眼球の裏っ側にいっちゃった人の話」を耳元で延々と聞かされたら、腕の拘束は必要なくなっていた。

「可愛いって」

「可愛いですよ」

「イヤや!絶対にイヤや!」

由宇麻はクッションを胸に抱くとソファーに転がった。

「あとで何でもしてあげるって言ってんのになぁ」

ソファーの端に座った洸祈(こうき)は琉雨を膝に乗せて由宇麻の頭を撫でる。

あったかくて、大きい手。

せやからって、気持ちええだけでその手にはのらんで!

「それは惜しいけど女装は絶対にイヤや!」

「じゃあいいよ。琉雨の努力無駄にしやがって。梨々(りり)さんに頼むから。ノリでキスとかしちゃうかもだけどいいよな?あ、お前に許可取る必要ないか」

梨々が崇弥と…―

…………………………………!?

「崇弥の馬鹿タレ!!!!結婚しちゃえばいい…くないんやぁ!!馬鹿!馬鹿ぁ!」

砂雫石(さしずく)梨々ちゃん、俺の彼女よろしくな!」

偽名は自らのガールフレンド以上の仲の名。

由宇麻はうーうーと唸るしかなかった。



「何で(れん)君やのうて俺なん?」

「大阪弁はともかく、“私”だろ?…確かにあいつは女役者だけど、歌専門だってさ。オペラでもやるなら女役できるよ。だと」

歌いながら自己紹介する彼女…。

「無理やな…」

「精一杯可愛い声出せよ」



俺は男や!

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