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つかれた

赤い草をむしる。

赤い草が消える。

赤い草をむしる。

赤い草が消える。

赤い草をむしる。

赤い草が消える。

赤い草をむしる。

赤い草が消える。

赤い草をむしる。

赤い草が消える。


少し移動する。


赤い草をむしる。

赤い草が消える。


「マスター、ポイントが貯まりました。

お疲れ様です」


チヨコの声を合図にその場に座り込んでしまった。

うん、疲れた。

頭上にあった日が傾き、地平線に沈む一歩手前まで赤い草をむしり続けた。

労働の対価としては夕日が眩しい。

もし赤い草が消えずに残っていたならば草の山がいくつも出来上がっていたに違いない。

何も生えていない大地が今日の成果である事は理解しているが何も残っていないと虚しいものだ。


行動の証が目に見えないせいだろう。

無気力になりそうだ。

ポイントは稼いだかもしれないが、代償に空腹と疲労のダブルパンチが辛い。


「マスター、どの蟲娘(むしむすめ)を創りますか?」


チヨコからの問いかけに数秒だけ考えたが何も知らない自分が選ぶよりゲームのシステムを理解していると言ったチヨコの選択の方が今の状況に合った的確な判断ができるだろう。


蟲娘。

それはゲームのキャラクターの総称らしく、長々と説明をされたがよく分からなかった。

一言で表すならば、人の姿をした虫だとチヨコだと言っていたが…

チヨコのように手足が6本でも生えているのだろうか?


とりあえず、飲食を解決できる蟲娘をチヨコにお願いした。


「分かりました。

では、ワタシのオススメを創りましょう」


チヨコがそう言うと何も無かった場所から人が現れた。

ポイントで服を出した時と同じように。

全裸の少女が現れた。


「万能の蟻型です。

スキルはマスターの要望にそったモノを選んでいます。

今後の目標はこの個体を女王まで育てる事で…」


チヨコは長々と説明をしだしたが、それを聞く前にやる事ができた。

疲れた体に鞭を打って追加の草をむしってその子に服を着せた。

このゲームは恥じらいというモノを捨てているのか!?

………今後は服を準備しておこうと決めた。


体力が限界に近かった為、丈の長い黒いワンピースとサンダルの二つしか出せなかったが無いよりはマシだろう。

周りでで慌てて草をむしっていたこっちに見向きもせず体を隠しもしない少女になかば被せるようにワンピースを着せた。


サンダルは近くに置いた。

極限草むしりで声をかける気力は残っていなかった。

置いてたらそのうち自分で履くだろう。


ワンピースを被せる時に失礼だと思ったが、好奇心に負けて少女の体を観察した。

しかし、虫の要素が分からなかった。


いたって普通の人にしか見えなかった。

少なくともチヨコのように異形では無い。

背丈は自分よりも低く、綺麗なおかっぱ頭のせいでより幼く見えた。

髪は黒く艶があり、雪のように白い肌に美しく映えた。

表情には感情と言ったモノが乗っておらず、現れてから一度も言葉を出さず、こちらをじっと見上げていて少々、不気味だ。


そうこうしている間に日は完全に沈み、周囲はすぐに暗くなった。

月光だけが頼りの夜だ。

星空は綺麗だが周囲は暗闇。

世界に一人だけになってしまったと錯覚してしまいそうな程、何も見えなくなった。


チヨコやさっきの少女はまだ近くに居るだろうか?


「はい、マスター」


声をかけるとすぐにチヨコから返答があった。

不安は簡単に薄らいだ。


とりあえず、お腹が空いたから何か食べたい。

あの子を出したら解決できるって話だったけど…

この暗闇で料理でもするの?


「いいえ、マスター。

早速、スキルを使わせましょう」


チヨコの声を合図に誰かに押し倒された。

まぁ、先程現れた少女以外に誰が居るのかという話なのだが。

次は体に乗られ、顔を両手で固定された。


どういう状況なんだ?

月と星空、それを隠す少女の影。

体と顔に少女の熱だけを感じられる。

何をする気なのかとチヨコに尋ねようと口を開けると柔らかいモノが押し付けられた。

それからすぐに熱くてドロリとした液体が口の中へと流し込まれた。


突然の出来事に驚いてそれを吐き出そうとするが口を綺麗に塞がれているらしく飲み込むほかなかった。


「スキルは蟲娘を創った際に初期スキルとして三つだけ指定できます。

今回はその内の一つ《蜜集め》を使用しています。

《蜜集め》は周囲に植物が存在する場合、時間経過で蟻蜜を生成、貯蔵する事ができます」


それはとても甘かった。

確かに飲食を解決してほしいとは頼んだ。

チヨコの説明も聞いていなかった、こちらも悪いだろう。


「この蟻蜜には体力を回復する効果があります。

ゲームでは数少ない回復スキルであった為、今後の食糧問題と一緒に解決できて合理的です。

安心して世界を侵略できますよ、マスター」


ただ、呼吸が苦しくなるまで流し込み続けるのはどうしてなんだ。

暴れようとしてもまるで岩が乗ったように彼女を降ろす事ができない。


蟲娘という少女は小さな見た目の割にずっと力が強いようだ。

とはいえ、回復スキルとやらで窒息させてくるとは恐れいる。

体力が回復する前に呼吸を止められて殺されてしまう。

薄れゆく意識の中、そんな事を思った。

アイテム創造

・ワンピース

・サンダル


蟲娘

1体

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