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どこ、ここ?

よろしくお願いします。

見知らぬ場所に座ったまま動けなかった。


周囲は座っている自分よりも高い赤い草が生い茂げっていた。

自分が居る場所だけ円形に土が剥き出しになっており、境目の土の色が違うように思う。


それよりも…

自分が今、居る場所。

そもそも自分が誰なのか。

分からない事が多く、思い出そうと考えるも面倒になってきて空を見上げると太陽が二つあった。


左側に赤、右側に青の太陽が見えた。

どうやら夢をみているようだ。

なるほど記憶が不確かなのは夢の世界にいるからか。


自分の不調に納得すると大きな欠伸が出て途端に眠くなってきた。

夢の中でも睡魔に襲われるなんておかしな話だが上は暖かな日差し、下はポカポカの地面、優しく吹く心地良い風とくれば昼寝の条件にはピッタリに思う。

好条件が揃って寝ない理由が思い浮かばない。

よし寝よう。


「いや、起きて下さい、マスター」


いざ寝ようと転がると鈴のような可愛い女の子の声が聞こえた。

起き上がるのは億劫だから目だけを開けて声の方を見ると何か小さいモノが飛んでいた。

なんだ虫か。


「寝ないで下さい、マスター」


そのナニカは俺の額に乗ってきた。

その際にフワリと甘い匂いを感じた。

瞼をペチペチと叩いてくるが痛くはない。

目を開けるとそこには…近過ぎて何か分からなかった。


「あ、マスター優しく、お願いします」


ナニカを確認しようと額に手を伸ばし、言われた通り優しく掴み、地面に置いて顔をそちらに向けて見るとそれは羽の生えた人型だった。


背丈は20cm程と人形のような大きさのそれは地面に降ろした時にバランスを崩して倒れたがそそくさと起き上がって自分に頭をペコリと下げた。

チョコレート色の肌。

ボブでキャラメル色の髪。

銀色に輝く複眼のような目。

周囲の草原と同じ真紅のレオタード。

虫のような薄い黒の半透明な羽が背中から2枚。

左右に2本づつ、合計4本の腕。


頭に浮かんだ妖精という言葉が口から出る前にそれは話し出した。


「マスター、おはようございます。

お菓子の精、チヨコです。

事情を説明しても良いですか?」


妖精…チヨコは俺が頷く前に話し始めた。

とりあえず話を聞いておこう。

質問はしても良い?


「はい、ワタシの答えられる範囲であれば。

まず、この世界はマスターが居た世界とは別の世界です」


………夢の世界じゃなかったのか。


「マスターは神の駒として選ばれました。

神の気に入ったゲームの能力を再現されてこの世界に送られています」


神の駒?

ゲームの能力?

よく分からないうちに色々されたの?


「マスターは了承済みです。

ゲームの能力を再現する際にマスターの魂の容量が足りなかった為、神が不足分を補いました。

その影響で大半の記憶が失われています」


魂の容量を補った?

記憶を失ってる?

神の駒とか言ってたけど何か目的でもあったんじゃないの?


「安心してください、マスター。

ワタシもゲームの再現として造られたサポートキャラです。

マスターの代わりに役目も能力の詳細も理解しています」


…役目って何?


「マスターの役目はこの世界を手に入れる事です。

世界を神に捧げましょう」


………はい?

どうやって?


「マスター、そちらの植物を抜いてみてください」


チヨコはフワリと浮かぶと風で揺れている真紅の草を指差してきた。

疑問に答えてもらっていないなと思いながら起き上がって赤い草に近寄り根本を掴んで抜いてみる。

高さの割にすんなりと赤い草は抜けたが同時に跡形もなく消えてしまった。

掴んでいた手を開けてみるがそこには何も無かった。


「マスターが入手したモノは先程のようにポイントに変換されます。

ポイントには様々な用途があります。

まずはポイントを貯めましょう。

ワタシが止めるまで植物を抜いてください」


ポイント?

これがゲームの再現って事なのか。

草むしりをするゲームってなんだ?

更に疑問に思いつつチヨコに言われるがまま草むしりを始めた。


黙々と、淡々と、永遠と草をむしった。

元々、草が生えていなかった土が剥き出しの地面を5倍大きくした所でチヨコから止まるように言われた。

簡単に抜けるとはいえ結構な時間、草むしりをして疲れた。


「お疲れ様です。

 ワタシを召し上がりますか?」


…はい?


「ポイントを消費して服を創りました。

マスター、服を着てください」


チヨコが変な事を言った気がするが目の前に何かが落ちてきた為、それを拾いあげる。

パンツだった。

改めて自分を確認すると裸だった。

黙ってパンツを着た。

露出が減った。


「ポイントを消費すればアイテムが創れます。

次は…」


ごめん、チヨコもうちょっと草をむしって良い?

パンツ以外にも服を揃えたいんだけど。


「ではマスターは植物を抜きながらお聞きください。

次は…」


それから数時間をかけてチヨコの説明を聞き流しながらポイントを貯めて服を一式揃えた。

アイテム創造

・パンツ

・Tシャツ

・ズボン

・サンダル

・麦わら帽子

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