積み重ね
中央広場では、黒衣の王の軍勢がヘンロの阻止により攻撃を止めた。
中央広場——ソドリン城最大の円形広場——はすでに死体で埋め尽くされていた。広場中央のヘンサー像が全てを見下ろす中、噴水は死体で赤く染まっていた。ジョン軍は死体で防御壁を築き、市民であろうとジョン軍兵であろうと、人間の死体なら何でも積み上げて黒衣の王を防ごうとしていた。
シアンもその中にいた。彼は今、死体を引きずっていたが、死体の鎧が重く感じられた。攻撃が突然止まったことで、彼らは防御を築く時間を得た。しかし、この突然の停止は彼らに疑問を抱かせた。一体何が起きたのか
「ちくしょう、この死体、本当に重い。鎧を脱がせようか。でも、それだと時間がかかる…」
その時、遠くから急かす声が聞こえた。早くしろ、いつまた攻撃が来るかわからないと。
「よくも人をこき使うものだ。自分たちで運ぶわけでもなく、ただ『早く早く』と急かすだけか」
シアンの隣の兵士が不満そうに小声で呟いた。二人の女性の死体を引きずっていた。うち一人は妊婦だったが、誰が殺したのかはもはや判別できなかった。
この悲惨な光景を目にし、シェーンは心の中で祈った。神が女性と胎内の子に安らかな天国を与えてくださいますように。今に至るまで、シェーンは誰一人殺したことがなかった。もし神が彼らの死を望まれるなら、それは「序」である。世界の法、教会の神法に記されたもの。
天シア・バヨ聖典にこうある
この世に生きる者は、喜びも悲しみも、生も死も、全て「序」の選択である。人の祈りは、祈られる者の幸運を改善し、天の広大なるものはそれを許し、神殿の人となることを許す
祈りのことは彼が数えきれないほど行ってきた。死んだ女性のために祈ることは、彼にできる唯一の善行だった
女性の遺体は地面に押し付けられ、擦り続けられ、すでに傷だらけで、顔すら判別できないものもあった。地面に刻まれた血痕は雨に流され、
「…なぜここでこんなことを…これは神が与えた試練なのか?だがなぜまた虐殺なのか…」
傍らの兵士は彼を睨みつけ、苛立ちながら言った
「お前も上層部は口先だけだと思うだろ! シェーンだって我慢できずに罵りたくなるさ、奴らがどれだけ酷いかは見て取れただろ!」
シアンはそれを聞いて一瞬呆然とし、ただ無言でうなずいた。この死体で築かれた防御壁には、ほとんどが馴染み深い顔ぶれだった。かつて笑い合い、同じ部隊で、酒を酌み交わした仲間たちが、今やこの死体の壁の上に横たわり、もはや声を発することはない。
瞳孔は虚ろで、光を宿していない。かつて生きていた命が、今やこれほどまでに哀れな姿となっている。
新たな死体を一つ一つ慎重に確認しながら、シェーンはカオの姿が見えないことに安堵した。親友がどこへ行ったのかはわからなかったが、たとえ自分を見捨てて逃げたとしても、心から彼の幸せを願うつもりだった。
男性の死体を再び積み上げると、その目はまっすぐシェーンを見つめていた。鼻はすでに失われており、非常に不気味な光景だった。
「…どうか幸せな彼岸へ辿り着けますように…」
「幸せな彼岸だなんて、まだそんなこと言ってるのか?俺たちにそんなチャンスあると思うか?あの『神法』がどれほど厳格か、お前は知らないんだろうな。俺たちが頂点に立つことなんて絶対にないんだ」
兵士は諦めながら死体を積み上げ、目に尽きない悔恨を浮かべていた。神法の厳しさは皆が理解していたが、口に出さなかっただけだ
幸福の彼岸に到達すること自体が「神の選」を必要とし、しかも「試練」を経なければならない。これは生まれた瞬間から始まる、極めて「ランダム」な選択であり、神法においては身分や地位、動物や植物さえも選ばれる対象となる
だから時折、神聖な動物が現れるのだ
「…!あれだ!シオン!早く見てくれ!」
兵士が叫び、驚愕の表情で空を指さした。シオンは不思議に思ったが、彼の指す方向を見た。
ソドリン城の空は真っ暗だったが、深藍色の巨大な光の輪が浮かんでいる。その中心には無数の星のように輝く点があり、雲が払いのけられたかのように、光の輪の中には一片の雲もなく、巨大な夜空の鏡のようだった。
「これは一体…」
シェーンの瞳孔が震えた。これほど不思議な空は、彼が生まれて初めて見る光景だった。時刻は夕暮れ時を間近に控えているはずで、太陽はまだ存在しているはずなのに、今この空にはただ星々が散りばめられているだけだった。星々はかすかな光を放っているが、はっきりとは見えない。何より不可解なのはあの光の輪だ。なぜ現れたのか?そしてなぜこの城の上空だけに?




