作戦室(4)
「言っただろう、お前が嫌いだ。これは恩恵なんかじゃない、神の悪趣味だ。お前と出会わなければ、後のことも何も起きなかった。今の状況も含めてな」
「殿下…」
涙が羅の表情をわずかに悲しげに染めながら、ジョンは続けた
「俺は逃げたりしない、ロ。だがお前には許す。俺のそばを離れた方がお前は幸せだ。褒めたくはないが、俺が見た限り、お前の実力は軍団長をやるには十二分だ。これは控えめな評価だ。お前は俺の面前で全力を出さないからな。将軍になれると言う者さえいる」
そう言いながらも、ジョンは目の前の男が決して逃げないことを知っていた。逃げるつもりならとっくに逃げている。ただジョンのそばにいて、彼を守りたいだけなのだ
「殿下…私があなたのそばを離れないことはお分かりですよね…」
「その通りだ」
二人が沈黙している間、戸口で兵士が控えめにノックしていた。その兵士は恐怖すら感じていた。ここは「危険地帯」だと知っていたからだ。今この時に入れば罰せられるかもしれない。しかし手にした通告は待てない、すぐに伝えねばならない
「あの…お二人様、お入りいただけますか…重大な報告が…」
「構わない。早く入って、用件を話せ」
「黒衣軍の攻撃が突然止みました。中央広場で、何かに阻まれたようです。いや、突然止まったというより…内輪もめのようです」
ジョンはそれを聞くと突然笑い出した。どうやら問題の核心に気づいたようだ。計画が功を奏した。ヘンロの余計な善意が、勢いよく押し寄せる攻撃を阻んだのだ
「ロー、ほら、成功したじゃないか。ヘンロの役立たずな偽善がね。普通の人々が理由もなく戦場に駆り出されるのを見て、彼は必ずやそんな無意味な憐れみを抱くだろう」
ロはジョンの笑いを見て、一抹の悲しみを覚えた。相手の善意はわからないが、ジョンの善意はすでに埋もれてしまっていた
ジョンには応えず、ただ静かに彼のそばにいた。それが彼の最大の責任だった。殿下は結局のところ、目の前にいるこの人なのだ




