起床の呼びかけ
外の貴族たちはのんびりと起き上がり、カードによって容赦なく起こされた。もともと豪華な朝食を楽しむつもりだったが、もうそんな余裕は許されなかった。強制的に起こされ、装備を着て出発を余儀なくされた。
「こんな乱暴に起こすなんて何だ!お前みたいな下賎な貴族が!」
「これは陛下の命令だ。聞かないなら陛下が処分するのを待て。ひとりくらい欠けても問題ない。」
カードは冷たく言い放ち、傲慢な貴族には一切容赦しなかった。ここは軍隊であり、貴族のプライドが通用する場所ではない。反抗すれば、より過酷な代償を払うだけだ。
その貴族は言葉を聞いて体を縮め、恐れを覚えた。昨日ナクトの姿を思い出し、全身が抵抗を示していた。 彼は慌ててベッドから飛び起き、急いで装備を着始めた。カードはそれを見て満足げに頷いた。
「よし、陛下もこれならまあ受け入れられるだろ、お前みたいな奴が。」
その貴族はカードの言葉に不満げな目で睨み、怒りを込めて言った。
「チッ、何だその言い方は。帰ったら父に教えてやる、服従って何かってな。お前みたいな小貴族がこの地位にいるだけでも上等だ。もっと上に行くなんて無理だ。」
だが、カードは怒るどころか、顔に余裕をたたえ、慌てることなく、哀れむような目で彼を見た。
「お、お前!その目は何だ!俺は伯爵だぞ!」
「うん、知ってる。ただ、お前…可哀想だなって。」
「は?何!?何だその言葉!俺は貴族だぞ!お前みたいな可哀想な虫けらと比べ物にならん!!」
その貴族は吼え立てた。伯爵である自分が「可哀想」と言われるなど、侮辱以外の何物でもない。彼の目の前のカードは拾われた者であり、黒袍王の副官とはいえ、血統や身分では正統な貴族に及ばない。 だが、この彼から見れば下等な虫けら同然の男がこんな風に反抗するなど、耐え難いことだった。
「お前みたいな拾われた奴が!可哀想だって!何者だ!!」
「まさにその反応が可哀想なんだよ。頂点に生きる貴族だからな。」
カードはそう言い残し、振り返りもせず立ち去った。まだ騒ぐ貴族を無視し、テントを出た後、彼は清々しい気分になった。あの嫌な連中と向き合わなくて済む。




